2013年12月29日日曜日



 今年も残すところあと1日となりました。6月に書いたメモに、2013年上半期で気になったヘビのモルフというのを書いてきましたが、今日はその下半期偏を覚え書き、というか走り書きですがちょっと「おっ」と思ったいきものをマークしておきたいと思います。写真はレティックの「スノー」とされる個体。最近ドワーフのモルフも加速度的に増えていて、これは日本の家庭事情を鑑みても嬉しい変化といえます。ただアミメを飼う人々って「おっきい蛇を飼いたい」という特別強い欲求を持っている人が多いと思うので、それらドワーフアミメの人気が出るかといえば、また別の話題となる気がします。

・BWCボア
 1980年代後半発、マハラジャやゴールドがビンビン(死語)だった丁度同じ頃、我らがボアコンモルフも黎明期を迎えていました。その当時生み出された古き良き「ボアウーマンズキャラメル」。これとまたまた古き良きシャープストレインアルビノのミックス配合が、約30年たった今、パラダイムや現在最もナウい(死語)「第二の白いボア」アークティックグローの作出にとってとても重要、というハーペトカルチャー史的ロマン溢れるモルフです。余談ですが、白いボアといえば以前、リューシスティックボアの作出にとあるブリーダーが成功したらしい・・・というような事を書いたことがありましたが、フタを開けてみるとあの個体はブラジルで捕獲されたWCだったのだそうです。先日ニュースでそのブリーダーがブラジルから違法な手段で生体を米国に持ち込んだかどで送検されておりました。なんともロマン溢れない話ですが、このような「なんとなくインチキ臭い人々」が間断なく現れては消えていくのもこの文化の魅力のひとつです。

・ブラッドパイソン「マグパイ」
 特に言う事はありません(笑)
 見たらわかる素晴らしさ。血統によって多少見た目にバラつきがあるようです

・ワキアカガーターヘビ(Thamnophis sirtalis parietalis)「ブルーフェイズ」
 何らかのハイポを思わせる退色の加減によって淡いパステルブルーになっているワキアカガーターの比較的新しいモルフ。新しいといっても、ブリーダーもとでは過去2年位”繁殖プロジェクト進行中”的ステータスになっているので、もしかしたら一代限りの変異なのかも。

 次点 Macropisthodonのヘンテコな仲間達。中国人のフィールドハーパーのウェブサイトを見ていて分かったんですが、ハブモドキのみにスポットがあたっている感があるこの仲間、他にも魅力的な種が非常に沢山いたんですね。興味深かったです。

2013年12月19日木曜日


 普段日本で何気なく喋っている爬虫類の標準和名・標準名は風情があったり面白いものも多いですが、反面いかにも外国語のように聞こえても実は和製語というケースや、間違えた発音を元にして作られたと思われるようなものも時おり混じっていて、結局やはり学名を覚えているしかないという事が結構あることに気が付きました。例えば、ワニの仲間の「ガビアル」は、この単語の持つなんとなくエキゾチックな響きから外国語をそのまま取り込んだカタカナ語なのかなと思いそうな所、実は外国語圏では「ガリアル」と言うのが一般的だと、最近知りました。調べた所オリジナルはガリアルだったのが、最初に間違って紹介されて、それが学名に定着したらしい。さらに米語圏ではこの「ガリアル」はどちらかというと「ギャリオー」に近い発音となり、日本産CBの管理人としてはいちいち顎に力を入れてガンバらないと発音出来ないんですね(それは自分だけか)。この学名の誤りが通称名としてそのまま使われている例に、ポピュラーなペット小動物である「モルモット」なども挙げられます。米語ではギニーピッグと言わないと通じないこの生き物、因みに「ギニアの豚」という英名すらも正しくなく(モルモットはギニアに生息しない)、それもどうなんだと思わされます。

 話を爬虫類にもどすと、もうひとつ気になっている例として「ボア・コンストリクター・インペラトール」があります。誰でも知ってて使っているこの「インペ」は学名を踏襲しているタイプの標準名だけれど、管理人のラテン語つまみ食いの知識を振りかざすと正しくは「インペラートル」ではないのかなと思っているんですね。さらに面倒なのは英語圏ではこの「インペラートル」を英語の発音に直した「インペレーター」が主流になります。またこの日本語の標準名の場合、亜種小名はラテン語読みであるのに、種小名の方は「コンストリクター」と英語読みで全体が統一されてない点も少しムズムズくるものがあります。しかしながら、自分にとっては昔から図鑑や発行物にで馴染みのある「ボア・コンストリクター・インペラトール」で刷り込まれている名前なので、イザ会話時に正そうとしても、難しいものがあります。言っても通じないから必然的に直すハメになるのですが・・・・・・。ハメと言えば、以前遊びに行った旧ソ連圏にあるテラリウムセンターの人々も、「カメレオン」を、どんなにがんばっても「ハメレオン」と混ぜて言ってしまう癖が直らないと嘆いていました(ロシア語ではハメリェオンと言うため)。これらは個別にみると大したことのない問題のように思えますが、生き物の名前を正しく伝えられないという事は会話していて疲れる原因になるので、なるべく正確に覚えておきたいもののひとつです。

 写真は管理人の家の矢筈砂ボア、またはジャベリンスナボア、またはJavelin sand boa、現地語ではザパードヌィ・ウダフチク、究極的にはEryx jaculusとおぼしきヘビの「プンたろう」。英語圏ではただRussian sand boaとよばれる事の多いこの種類は、スナボア属(Eryx)の知られざる基亜種。や、ややこしい。


2013年12月18日水曜日

 日本の義務教育機関は理化系科目を最初から英語で教育すればいいと思う。

2013年12月10日火曜日

 ずっと観賞魚とか水草をやっていて、長じて両生類や爬虫類の飼育を始める人を「上陸組」などと呼んだりする事があるけど、陸上動物から水中の生き物にシフトする、逆の場合はなんて言えばいいんだろう。日淡とか国産グッピーなどから、既に一度「上陸」している自分などの場合、もしこれからまた魚に挑戦するならば「再び水に戻ったグループ」ってことで、海獣類になるのかな。(マナティ組?)

 両爬虫類を飼っている個人でもブリーダーさんでも、専門店を見るにつけても、過去に魚(特に水草水槽やビオトープなど)のバックボーンがある人の生き物飼育の「基礎力」に感銘を受けることが、最近多くなりました。勉強もかねてまた、真面目に魚をやってみたいと思う時があります。アクアの世界は元来凝り体質な人々のあつまりだと感じますが、そのためもあってか新しい便利な器具や土などまでもが、知らぬ間にどんどん出てきていて新鮮です。いつも頭と知識をリフレッシュさせておくため、たまには他の生き物の世界を覗いて、刺激をもらうのもいいかもしれません。

2013年12月8日日曜日

 数日前に爬虫類は意外と頭がいいというメモを書きましたが、昨日のニュースに「鼻に小枝広げ止まり木探す鳥を誘惑 ワニの餌取り方法」というものが載っていました。主にアメリカアリゲーターの間で観察されたものですが、エサをひきつけるために道具を使うというのは、一部の鳥や哺乳類にはしばしば見られる行動だけど、爬虫類としては今まで知られていた彼ら一般の頭の使い方とは一線を画すもので、本当に本当だったら大きな発見です。仮にこれが条件反射の応用だったとしても尚、すごい事です。去年のメモに書いた「いつかおおきな池で、おおきなワニを飼ってみたい」という気持ちがまた新たになりました。爬虫類好きならきっと誰もが憧れる存在・・・それがワニ。

 しかしこのようなニュースを見た、時どこか納得させられる雰囲気が、ワニの仲間にある事も事実です。その頭脳に関する逸話は実に沢山あって、よく知られたもので言えば飼い主とそうでない人を完璧に区別する、親が子を保育する事などに始まり、またある水族館の人の話では池で飼われているクロコダイルが、給餌の時間飼育員の方へ口を開けて待機することを覚え、さらには、エサを投げて貰いながらだんだんと水中へ向かって後ずさりしていく行動を繰り返すようになった=こうすることによって、食べ物をばらまく動物(人間)もまたそのうち水に落ちるのではないか、という思考をしているのではないかと考えられていることなど、枚挙にいとまがありません。あの神秘的な黄色やみどり、ヘーゼル色の瞳の奥深くでどのような事が起こっているのか分かるには、きっとまだまだ時間が要ると思いますが、これでますますワニが好きになりました。

2013年12月5日木曜日


 東海岸の上の方は本格的に寒くなってきました。と言っても今住んでいるDCエリアは以前住んでいた五大湖周辺の街と比べたら、ぜんぜん全く可愛いものです。なんといったって昼間ちゃんと気温がゼロ度以上になります。吹雪が半月降り続くなどということもありませんし。とはいえ、今は野生の生き物にとって厳しい季節であることにかわりなく、この間池で見たカメたちもあれが最後のダメ押しの日光浴だったようです。今は完全に、森からも湖からも爬虫類の気配が消えました。写真は、とある日に森で見たカタアカノスリの最後。傷も羽の乱れもなかったので、なんらかの中毒か、もしくはおそらく経験の浅い若い鳥がエサを暫く取れていないところへ急に気温が下がりそのまま衰弱死したのではないかと考えています。


 ところで最近日本はボーナスシーズンなためか、ヘビに関する質問のメールが送られてくることが、ちらほらと見られるようになりました。メールやグーグルの+1、コメントなどで、内容は何であれ、フィードバックをしてくれる方にすごく感謝しています。一通一通、一こ一こ友達が書いてくれたようなつもりで読んでいます。「どこかの誰かが見て(読んで)くれている」という感覚は何かを書いたり、熱意をもって調べたりする大きな原動力になりますね。

 管理人は、たとえシュミの範囲内のことであっても、サイエンス系の情報は基本、オープンにされているべきという考えなので、微力ながら、「どこかの誰かの役に立つかもしれない」というスタンスで、サイトやブログなどをやっています。しかしタダで提供されるものってなんでもそうだけど、手に入れてもあまりありがたみは感じられなかったり、特に印象に残らないという問題もありますね。1000円かけてとったUFOキャッチャーのキューピーと、公民館のバザーでもらえたキューピー、どちらも同じMade in Chinaだけれど、UFOキャッチャーで取ったやつのほうがよほど価値ある気がするように。であるがゆえ、例えそんな「タダで提供されるもの」であっても、読んだ物をもとに自分の頭でいろいろ考えてみたり、それをアウトプットして、書いた人にまた送ってみたり、そういう建設的行動につなげていける事、つなげていける人っていいなと思います。

 一方で、自己紹介もなく短文で「日本のXXXで売られているYYYはアメリカ(ヨーロッパ)では何円位ですか」「次日本ではやりそうなモルフってなんですか」「飼っているロンギコウダを(できれば安く)売ってくれませんか」というようなメールや、また質問の答えを得ると突然ぱったり交信が途絶えてしまう方なども、少数派ですがおられます。これにはがっかりします。その方に対して、ではなく、私は、そういう細かい事がなんとなく気になってしまう自分自身の「ダサさ」を感じるのが嫌なんです(笑)。まだまだ無私・無我の精神とは程遠い管理人です。リアクションを下さる際はその点、宜しくご懸案ください。

2013年11月30日土曜日

Panamanian Golden Fron (Atelopus zeteki)

 以前ヘビの知能ってどのくらいなんだろうというメモを書いた時、まったく根拠なく「大型のヘビでだいたいキンカ鳥くらい」という予想をしたことがありました。それ以降も爬虫類の知能に関する本や資料などがないかちょくちょく気にはしていたのですが、基本的にあまり話題性のある題材ではないらしく、大した収穫はありませんでした。しかしここへきて「冷血=愚盲ではない」という新聞記事を発見!やはり世界のどこかにはこの題材について一生懸命調べている人々がいたんだな~と、感慨もひとしおです。記事の概要はと言えば「爬虫類って皆が思っているより頭が良いのだぜ」という啓蒙メッセージに終始している感はありますが、もうひとつの要点として、爬虫類の仲間における行動の柔軟性(外部の状況の変化に応じて自分の行動を変化させる能力)が、従来考えられてきたよりももっとずっと発達していることが特筆されていました。

 記事によるとこの「行動の柔軟性」とはよく鳥類や霊長類の間で報告されるもので、要するに個体が全く新しい環境に置かれたとき、自分の従来の行動を容易に変化させることで食料確保を可能にする、という類の頭の使い方だそうです。例えばある実験で、最初景色を頼りに迷路を攻略していたアカアシガメが、カーテンによる覆いをつけられた後即座に「作戦変更」を行い、体系的に迷路を探索する方法を編み出す、プエルトリコ産のアノール(Anolis evermanni)が、本来捕食と水を飲むためのみに使われる舌を使って、餌の上に被せられた紙蓋をはじいて外すことを素早く学習したことなどが、この「行動の柔軟性」の例として挙げられていました。

 近年さまざまな分野において爬虫類や両生類に対する理解が深まると同時に、これらの動物の真の知能を探る実験がより彼らの生態に即したものになってきていることも、今回の発見につながったようです。今後もまた「頭の悪いいきもの」と思われ軽んじられて(無視されて)きた動物のなかから、すごい能力をもったヒーローが出てくるかもしれません。

 (写真)国立動物園に居るゼテクフキヤヒキガエル(パナマキンイロガエル)。このパナマ固有のヒキガエルの仲間は、環境の悪化、密猟、カエルツボカビ症によって2007年を最後に生息地で観察されなくなったため、現在では野生個体は絶滅したと考えられている。写真に写っているカエルはツボカビ症の猛威が予測された地域から事前に採集されていた個体のうちの一匹で、およそ12年の生を研究と繁殖プログラムに捧げる、か細い未来の担い手。

2013年11月29日金曜日

 ひとつまえのメモに書いた池を今日も覗きました。気温は6℃だったので、もっとカメがいるかも・・・・・・と期待しだけど今日は1匹も見られませんでした。今日は、予報では終日曇りで晴れ間が出ても気温は上がらないと出ていたので、カメの天気占いもなかなか正確だと感心した。

2013年11月27日水曜日

 野暮用で家から30キロほど東へ離れた街へ。途中、息抜きにおりた公園の池をなにげなく覗いてビックリ、なんとキバラとアカミミガメが甲羅干しをしていた。晴天で日はかなり照っていたが気温は2℃しかなかった。

2013年11月15日金曜日

 以前書いた爬虫類に関する「何某」の「某」に応募したという件の計画ですが、今ちょっとづつ動いています。先週中に審査に通って、面接を済ませ、早ければ来月から登用される模様。今日はその施設「何某」の衛生ユニットでワクチン接収を済ませてきました。今の所まだ本登用されるかどうか分かっていないので、本格的に決まったらここにも書きたいと思います(???)

2013年11月7日木曜日

"Amazonia(アマゾニア)" in DC zoo is my a-favorite exhibits among many. 
Although I wouldn't say the building is quite spacious, the two-storied enclosure showing the ecosystem of the tropic wildness is still blows my mind. 

 ここのところ数日であった爬虫類の話題数点。まず2月のメモに書いた、本来今週末に行われるはずの爬虫類と両生類の法律に関するシンポジウムは、先日の合衆国政府閉鎖の影響で延期になりました。遠足前の小学生のように微妙にウキウキしていた管理人はちょっとがっかりしました。という事で今週末は、国立動物園のアマゾン温室で程よくあったまって来ようかなと計画しています。

 話題その2、しかし人間と言うのはある程度衣食住足りて、このような突然ぽッと空いた時間が出来るとろくな事を考えないものですね。自分の場合、突然思い立って爬虫類関係の「何某」にある、「某」に応募してみました。・・・とこうして書くと全く意味不明なんですが・・・いずれなにか動きがあった場合また書きます(???)。

 話題その3、爬虫類界における「良きソマリア人」のはなし。先週サンディエゴであったエキスポで、13歳の男の子が誰かが会場に置き忘れたロージーボアを運営者に届け出、それに感心したブリーダーとズーメッドからボアコンストリクターの子供と飼育ケージを贈与されるという一幕がありました。この男の子はケージ代と生体代を乏しいお小遣いから捻出するという2年がかりの計画の最中だったそうで、彼にとっては非常に嬉しいサプライズだったことでしょう。こういった事はアメリカ人の、ちょっと古臭いタイプのヒーロー譚として結構よく聞かれるはなしではあるのですが、子供にとってはコミュニティにとって何かいいことをする←→リワードがあるという健全な相乗効果と成功体験につながるので、いい事と言えるでしょう。自分の幼少時代をふりかえってみても、子供のすることを客観的に評価して、報酬をくれる大人の存在ってわりと大事だったと思う。それと同時にこんな出来事は、「ねこばばは卑しい」という恥の精神が老若男女全てに浸透している日本ではニュースにもならないはずで、そこに文化の違いも感じました。

 話題その4、ヘビは瞳の上を覆う鱗(スペクタクル)を流れる血流をコントロールすることで視界を最大化できるというはなし。これはカナダのウォータールー大学の人がコーチウィップスネークの瞳を観察した結果分かった事。個体が驚いたり興奮したりするとスペクタクルの中を走る微細な血管のネットワークが収縮して、ちょうど窓のブラインドを空けたような状態になり、結果ヘビがより良い視界を確保するのを助けるんだそう。人間でも興奮すると交感神経のスイッチがオンになり、結果体の特定のパーツが収縮する、という事は起こるので、理屈抜きでも納得出来る話ではあります。

 話題その5、もうひとつ目の話。人間の虹彩パターンは個人個人異なっており、この事実はセキュリティ情報を取り扱うシステムなどにとって重要だったりしますが、ヤモリの虹彩パターンもまた一匹一匹違っている事が分かったそうです。それだけだったら「あっそ」で終わりそうなものでだけど、この事はヤモリの種の保全にすごく重要なんだそう。なんでも、ヤモリの個体数や棲息密度などを調べる時、従来のペイントを施したり特定の指先を切除するやり方では、生存競争の中で不利になる可能性があるのではないかとしばしば議論がなされていました。瞳をスキャンするやり方なら(個体を捕獲する必要は未だあれど)個体に撮って苦痛やダメージを与えずに、100%の精度で個体識別が出来るということで、注目されています。ヤモリの仲間はよく宝石みたいな綺麗な目をしているけれど、綺麗なだけではなくこんな所で役に立つとは。このやり方はヘビにも使えるような気がしますが、もしそうなら画期的です。

2013年11月5日火曜日

The exotic animal store in Rotterdam, Netherlands I used to live nearby was found last July within a disastrous condition
- Hundreds of reptiles and rare mammals were starved to death.

 上の写真は以前オランダに住んでいた時、近所の日サロの跡地にある日忽然と出来ていたエキゾチックペットのお店。ここ、中に電気は点いておれど、一度も実際に営業しているところを見たことがないというあやしさ10万ペソな店でした。改装が始まってから数ヶ月たっても一向にオープンする気配無く、近所の人も、時々外から覗くなかなか綺麗な店内と、不思議な営業形態(?)のギャップに首をかしげていました。それがだいたい2年前のことです。

 先日知り合いが教えてくれたところによるとここのお店、なんと真夏の店内に100匹以上のエキゾチックアニマルの死骸が放置されていたという、スプラッターな事件で新聞沙汰になっていたのです。猛烈な悪臭が近隣一体を包んでいる中、お店の経営者は近くの川辺でのんびり(??)していた所を逮捕されたとか。この店のあるスヒーブルクスという場所はごく普通の郊外の住宅街で、日曜になると緑のオウムをたくさん止めた乳母車を押す老婦人が日向ぼっこしていたりと(今思ったけど、これも十分あやしいかも)比較的のどかな場所なので、周辺住人はさぞや驚いたことでしょう。ニュース報道を見ると、よくりんごソーダを買っていた地元のガソリンスタンドとかビール屋のおじさんが、とばっちりを受けてインタビューされていた。一体全体どうしてこのような事になってしまったのか見当もつかない事件ですが、爬虫類に限らずエキゾチックアニマルのお店や個人コレクター・ブリーダー等の間でこのような話はなぜか定期的に聞かれます(アメリカでもついこないだこんなニュースがあったばかり)。ペット史の浅いこれらの生き物は犬や猫に比べ倫理基準が発達しておらず、多様な飼育形態に関する基準もまちまちで、また基準を作ること自体もおそらく不可能なため、超過密飼育や、様々な理由で本来飼育するに適さない人でもどんどん生き物を買えていってしまっている現状があると思う。この趣味を長く・楽しく続けていくにあたって、飼育者や商業活動に関わる人達皆が爬虫類・両生類という貴重で繊細な生き物を扱っているという自覚をすること、また個人個人のモラル感が今後ますます重要になっていくのではないかなと、この事件を耳にして思いました。

2013年11月4日月曜日

 カメに関する面白い記事を、今月号のナショナルジオグラフィックで見つけた。曰くタマゴの中で起こるカメの発達ってとても変わっていて、途中まで他の脊椎動物と同じように発生するものの、16日目あたりで突如肩の骨(肩甲骨とか)があばら骨の内側へ移動するという。体の外側に配置されたあばら骨は時間と共にくっつきあい、こうして脊椎動物の世界では珍しい「エグソスケルトン(外骨格)」が形成されるそう。管理人は、カメの甲羅のなかみ(?)ははじめから甲羅の内側にあるものとばかり思っていたので、びっくり&おもしろかった。記事の終わりの方まで読んでみたら、この研究を発表したのは日本のイリエさんという方がシナスッポンの卵を用いて解明したと書いてあった。こういう所で日本の人を発見するとなんか嬉しくなる。


 そういえばスッポンに関してはいつかメモしておきたかったちょっとしたトリビアがあるんです。
 
 まずスッポンは口からもオシッコを出来るという事。厳密に言うと排泄とはちょっと違うみたいですが(ちゃんと総排泄孔からも排尿する)、汽水域など塩水の混じった環境で暮らすスッポンの場合、体内の水分ロスを最小限にするために口から高濃度の尿素を排出するんだとか。スッポンが水中や、水場で水面に口をつけて「口をゆすぐような行動」をしている時は、尿素を排出している可能性があります。実際に水を飲んでいる場合もあるので傍目には区別は難しそうです。

 それからスッポンは実はスーパー鼻が良いという事。遺伝子解析の結果スッポンは1,137個の嗅覚受容体をコードする遺伝子を持ち、これはイヌにおける同遺伝子(811個)の実に1.4倍にもなるんですね。つまり、スッポンは潜在的にイヌよりも鼻が利く可能性があるということ。実際どのくらいの嗅ぎ分け能力があるのかは分からないですが、個人的にこれは少々納得できる話です。というのも以前アメリカ北部のネイティブアメリカン居留地の近くに住んでた時に、彼らが水中に沈んだ仲間の遺体を捜す時、大きなミズガメに長いひもをゆわえておき、数日後にひもを辿って見つけ出すという伝統的なやりかたがあった、という逸話を聞いたためです。川や湖といっても五大湖周辺なのでかなり広大な場所です。その水の中で肉の放つわずかな匂いを嗅ぎ分けるミズガメの嗅覚は、そうとう優れたものだといえそうです。

2013年11月3日日曜日

 「おサルさんがヘビを嫌う」という話は日本では比較的昔から知られている事ですが、この(人間も含む)霊長類全般に見られる忌避行動のメカニズムが、最近解明されてきています。(参考1)(参考2)(参考3

 一番新しい説によると我々霊長類は脳の一分野に、ヘビの姿を知覚することに非常に長けた特別な神経細胞群をもっているのだそうです。これは有史以来サルが、ヘビに対して被食者という立場にあったために発達したものとみられています。普段の生活の中で「動き・変化のあるもの」を見る事に重きを置いている哺乳類にとって、藪や木陰にじっと潜んでいるヘビを見つけ出す事はより高度な認知能力を必要とします。そのため長い進化の過程で、脳の中にヘビにまつわる視覚情報をより敏感に感受できるパワフルなプロセッサーが形成された・・・という事みたい。この研究を始めた学者さんはそもそも初期霊長類の視覚(と脳)の進化そのものが起きた二大要因が採集活動とヘビの脅威に対応するためであったと考えているほど、ヘビは霊長類にとって危険な敵だったんですね。我々人間の祖先もかつて何万年もの間、毒ヘビや大蛇の脅威に晒されていたのでしょう。今回の実験では飼育下で生まれ今まで一度もヘビを見たことがないニホンザルが使われたそうで、これによりヘビに対する忌避反応が先天的なものだと分かりました。今までは母ザルや他のサルを見て学習するのでは?といわれていたんですよね。思うに、脳の回路や伝達物質、ホルモン分泌の量、レセプターの感受性などは遺伝によるところも多いと思うので、たとえば恐怖を感じにくい脳を持ったサルの親子がヘビを比較的恐れない、などの個体差は生じるかもしれません。
 
 となると「じゃあヘビが好きな人ってナンなの?」て気になります。ここから先は管理人の想像なので話半分で読んでほしいんですが、多分このヘビを知覚する神経細胞群はあるけど、それがどういうわけか恐怖や憎悪を感じる分野ではなく、どっか別の所・・・例えば幸福感とか快感を感じるような場所にワイヤリングされているんではないかと思う。人間の脳とは宇宙並みに複雑なコンピューターであるため、門外漢の自分にはこの程度の抽象的なアイデアしか考え付かないですが、爬虫類好き、ヘビ好きの脳は、一般的な人々の脳に比べてきっとどこか異なる回路があるに違いない!と、勝手に考えています。

2013年10月29日火曜日

 先日、オランダの古き良き毒蛇キーパー達が「毒蛇のモルフを作って増やす事は(100歩ゆずって)許せるとして、ローカリティ等を気にせず乱交雑したり、ハイブリッドをたくさん作って売りに来る一部のブリーダーが増えていることだけはマジいただけない」「最近はインブリードの繰り返しで神経や内臓に問題のあるヘビを売るブリーダーが見られる、マジゆゆしい」とぼやいている場面を目にした。毒ヘビのミックスは日本でもハブで一時期問題視されていたように、交雑個体がどのような構成の毒を持つか分からない点が多いために、危険が伴う行為なのだ。また病気になったからと言ってすぐにホイホイと病院へ連れて行くことが難しいこのようないきものを買うに当たって「いかに健康・健全な個体を入手するか」は非常に重要な問題で、キーパー皆がかなり敏感になっている印象を受けた。

 でもこれって無毒ヘビのブリーダーの間でも考えないといけない問題じゃないかな。最近アメリカでもどこでも、この趣味の世界に若い人口が増えているように感じるけど、昔から居る「ちょっとウザ目のご意見番」的な人がもっとクラウドの「良識」として機能していかねばいけないのではないか?と思う。それは一方的に皆で「xが正しい、イケている」と決めてゆこう!という事ではなく、それぞれの立場から、周囲のバランスを見ながら発言できる人材がもっとたくさん居れば良いのにネ、という事だ。

2013年10月26日土曜日









#BLACKFISHを見た。これは飼育下のオルカが人に危害を加えて(殺して)しまった個々の事件例を軸に、実際の元飼育員との対話を交えながら、この生き物と人間との関係性を考えるというドキュメンタリー作品。この手の話になると過度に感情移入したメディア作品が多いのではじめはあまり興味を持っていなかったけど、野生下でオルカの群れがいかに家族をもとにした「社会」の中で生き、またそこから隔絶された孤独感とストレスの中で育つ事がどのように個体に影響を及ぼすかについて少し知る事ができた。

 比較的知られた事実だけど、オルカは普段家族を基礎とした小規模な群れで暮らし、「言語」に相当するようなフレーズを持っている。生活パターンや構成の違う個々の群れは方言に相当するようなサインを常にお互いに送りあっていて、それが包括的に「群れ独自の文化」のようなものを形成するのだそうだ。各国・各地の水族館がオルカショーに着目した7、80年代は、この事は殆ど知られていなかった。そのため世界のさまざまな場所から若いオルカが連れてこられ、一緒の水槽に入れられた。これは、例えば長州藩の人と松前藩の人と、蘇芳藩の人が一箇所に軟禁されているような状態だ。彼らの場合「同じ日本人で似たようなものを食べる」以外は、文化も、習慣も、似ているようで違うのだ。ひょっとしたらそのうち子供くらい出来るかもしれないが、精神的に充足した人生は送れるかと言えば、それはまた別の問題だ。またもしその中に会津藩の人が居れば、何かの拍子に長州藩士と決闘になる可能性もある。水族館の話にもどると、実際、飼育下で何も問題なく成長したオルカ同士がある日突然攻撃しあい、タンクメイトにケガさせたり、殺してしまう例は今までにいくつも観察されているという。このような行動は野生下では殆ど見られないそうである。

 ドキュメンタリーの中でストーリーのメインに据えられたフロリダシーワールドのオス「ティリカム」は今まで少なくとも3名の飼育員の死に関与しており、一部の専門家は30年に渡る水族館生活の中で、この個体が精神に異常をきたした可能性を指摘している。このオルカは数年前に自分も実際見たけれども、隔離された水槽の中で特に何をするわけでもなく、くるくると螺旋を描きながら水槽を上下しているのが印象的だった。

  脱線するけど、使役動物としての歴史の長いゾウも非常に家族の繋がりが濃い生き物で、若いときに群れから狩りだされて捕獲されたゾウがサーカスなどで使われる日々を過ごすうち、ある日突然凶暴化するケースというのが散見されるそうである。もちろん季節やホルモンバランスにも左右されるだろう問題だけど、ほかにも要因があるような気がする。ゾウやサル、オルカの脳を調べると、感情を司る分野が相対的に大きいのだという。本来一生涯を共にするはずだった家族との別離はこれらの動物にとって、癒やしがたいトラウマを残す可能性があるとはいえないだろうか。程度の差はあれ感情をもち、社会性のある生活を営む動物を飼育することはさまざまな工夫やケアを必要とするだろうし、またそのことの是非はともかく、過去に動物園が払拭しようとしてきた「見世物としての動物」のイメージを水族館もまた、脱却すべき時期に来ているように思う。

2013年10月24日木曜日

 今月中旬、日本では「オサンショウウオの会」大会がありました。今回はチュウゴクオオサンショウウオとの交雑問題を大きく取り上げたということで、その現場でもある京都はぴったりな開催場所に感じました。

 京都は、管理人にとっては学生時代短期滞在した場所でもあり、また初めて野生のオオサンショウウオを見られたのが忘れがたい思い出のひとつとなっている、愛着を感じる所です。それは西の確か亀岡という地域だったかな、山間部の道の駅のようなお茶屋さんで昼ごはんを食べ、ふとお店のすぐ下を流れる沢に目をやったらなんか当然のような顔をして「いた」んです。車や人でそこそこ賑わう交流地点のすぐわきだったので、まさかそんな場所で出会えると思わず大変びっくりしたのを覚えています。透明な浅瀬をゆっくり進んでいたオオサンショウウオは、不思議な病気に冒され最後は亀になってしまった「蔵六」のように、ぼこぼこした肌にぶつぶつとした暗色の点がたくさんあって、見るからにぬっとりと湿った大きな体に、驚くほど小さな目をしたへんな生き物でした。沢は浅かったのでもっと近くで見てやろうと小石の並ぶ砂州に降り立った所、どういうわけかそれに勘付いたようでまるで魔法のようにいなくなってしまいました。近くで教官やクラスメイトも見ていたので自分一人がゆめ幻を見たというわけではありません。いまでも、あの大きな体で、水しぶきも上げずいったいどのようにして雲隠れしたのかはなぞのままです。

 そんなオオサンショウウオを見てもうひとつ記憶に残っているのはその「手」です。なんか、人間の子供みたいなちょっと不気味な手をしていました。

2011年にセントルイス動物園で産まれた、オザークヘルベンダーの幼生

 アメリカにいるオオサンショウウオの眷属といえばヘルベンダーですが、特にオザークヘルベンダーの間でこの手(四肢)に異常のある個体が近年次々と観察されていることは、あまり知られていません。2011年に世界で始めてオザークヘルベンダーの飼育下繁殖に成功したミズーリ州セントルイス動物園の職員によると、野生下で四肢の先を欠いて産まれてくるヘルベンダーの数が年々増えており、同州内において局所的に60%以上にこの奇形が観察された場所もあるとのこと。他の両生類と同じく、呼吸などの生命活動の多くを皮膚に依頼するサンショウウオの仲間は、水中にある病原菌や汚染物質なども簡単に体内に取り込んでしまうため、環境の変化にとても敏感です。職員は、ヘルベンダーの保護活動にあたって水系から化学物質を厳密に排除し、またツボカビなど有尾類に感染するポテンシャルのある菌が接近しないよう細心の工夫をしています。このビデオなどでおおまかな取り組みを見ることが出来ます。

 うちの州にも南の山の中の方へ行けばイースタンヘルベンダーが見られるけど非常に珍しいらしいので、そのうち出会えたらいいなーと期待しています。それまでは、国立水族館のニホンオオサンショウウオに「お前もずいぶん遠くまで来たな」と話しかけながら夢を膨らませておくことにします。

2013年10月21日月曜日


シペどんって言うとどことなく日本昔話風で可愛い?キタミズベヘビ(Nerodia sipedon sipedon)です。もっとずっと北部、カナダの国境近くに住んでいた時も近所で見かけていた、アメリカ北東部ではいわば「お馴染みの」ミズベヘビの基亜種。ヘビはもともと皆泳ぎはうまいですが、ミズベヘビ達の泳ぎもまた大変見事です。ただこの仲間は水に入ると全身全く茶色にしか見えなくなって、図鑑で見るような見た目ではなくなってしまい、たまたま運よく近くまで来なければどの種類なのかまでは分からないことも多いです。上の個体も、はじめ「モールキングが泳いでるなんてめずらしい」などと思いましたが、カメラのレンズを通してあの独特な円錐型の顔と、キールのある鱗を見ることが出来ました。

 ペットとしてはあまり人気はありませんが、キタミズベヘビは大人になると大きさのわりにかなり見ごたえのあるヘビだと思います。体長は最大で1メートル強ほどだけど、実際目にするともっと大きく見える。まれに赤味を帯びた(エリスリスティック)個体が見られることもあります。水辺のヘビの他聞にもれず食べ物に関してはかなり貪欲なようで、死んだフナなどにも食いついていたりするし、またどうやっても飲み込み切れなさそうな魚にも一応トライするあたり、ガーターヘビと共通のスピリットを感じますね。そうそう!一番ビックリしたのは去年、北部の川までサケの遡上を見に行って、水面から飛び上がるサケの鰓蓋あたりに食いついている大きなキタミズベヘビを見た事。人間の大人でも一抱えくらいあるサケに躊躇無く挑戦するパッションに、「シペどん、やるな」と大変感心した出来事でした。

2013年10月19日土曜日

 昼間の気温もさることながら、夜急激に寒くなる日々が続いています。このあたり一帯(東海岸北東部)の季節は、長い夏から長い冬に一気に転換するような感じがあります。うちの玄関に居ついているトウブシマリスも先週の末を境に見なくなったので、冬眠に入ってしまったのかもしれません。湖のカメたちも目にしなくなりましたね。今日の午後、少し暖かかったので湖畔を歩いていた所、地元の人が釣り上げていた一匹のキバラガメが久々ぶりに見た野生のカメでした。おもしろかったのは、このキバラガメが一生懸命くいついている釣り糸の先には、釣り人の昨日の残りと思しきフライドチキンがくっついていたのです。カメも冬眠開始秒読みで駆け込み的にカロリーを欲してるんだなと思いました。ヨーロッパでは全く見かけない光景ですが、フライドチキンはアメリカ人の、特に子供や若者の間では結構ポピュラーな釣りエサです。

2013年10月18日金曜日


 街中にハロウィングッズが溢れる季節になりました。上は先週末に行われたシカゴのエキスポで出展された水槽のデコグッズ、右上になにげにツボにはまってしまった「ナガクビ赤ちゃん」も。こういうタイプのキモかわいさや作り過ぎない安いホラー感は、日本人の作るグッズではなかなか出せないもののひとつ。右下のアフリカマイマイ赤ちゃんなどバカバカしくも「とにかくキモがらせ(笑わせ)たい」という意気込みを感じます。

 ベンダーのレポートによると今回かなり盛況でオークョンやその後の懇談会も大変盛り上がったとか。今回はボールパイソンの変り種「フルスケールレス」が売りに出されていたみたいですね。写真を見た感じではナンかのイモムシみたいな雰囲気と質感の可愛いヘビで、ボールパイソン×スケールレスの相性はナミヘビのそれよりも良いのではないかと思いました(かわいさの点で)。ボールのスケールレスは今年の9月に100%遺伝する事が分かったばかりで、今回売られた個体は検証を行ったファームでとれた第一世代だということです。

2013年9月30日月曜日

 現在住んでいるバージニア州には二種類のクビワヘビが生息しています。自分の住む北部ではホクブクビワヘビが、2時間ほど行けばホクブとナンブの混在する地域になり、そこからさらに4時間ほど走ればナンブクビワヘビの生息域になります。おもしろいのはこの「車で二時間」の間に見られる生き物ががらっと変わること。爬虫類のみならず、昆虫や鳥の分布図も変わってしまうし、関係ないけど人々の喋る英語のイントネーションも全く違う。そこから先は、アメリカでは「サウス」と呼ばれる保守的で独立心旺盛な人々のテリトリー。東海岸の南の果てはフロリダです。

 フロリダといえば、マイアミ市街地から65キロ南に位置するターキーポイントという原子力発電所があります。原子力発電所の周囲は人間の居住地の建設や商業活動が合衆国法で禁じられているため、広大な海と湿地帯に囲まれた発電所の周囲は図らずも希少なアメリカワニ(Crocodylus acutus)のサンクチュアリとなっているとか。ひとたび事故が起これば環境に与える影響の大きい放射能を扱う施設だけに皮肉なことです。

2013年9月1日日曜日



 ここのところ前庭の改装と緑地の剪定のため、日の出前・日暮れ時を狙って活動するというスナボア的行動をとっていた管理人なのですが、昨日コンクリートのたたきにこもっと盛り上げていた落ち葉を除けた所、おそらくハッチ直後と思われるホクブクビワヘビ(ノーザンリングネックスネーク・Diadophis punctatus)に遭うことができました。見つけたときはあまりの小ささにスネ毛が動いた!メクラヘビ的な何かかと思いましたが、よく見ると大変小さな可愛らしいクビワをしており、クビワヘビは、ちゃんと生まれたときからクビワヘビなんだ・・・と妙に感心しました。頭部の、大型でつるっとした質感の鱗が目立ちます。バージニア州の爬虫類・両生類データベースによると、オレンジ色っぽい褐色で、無斑の腹部はこの亜種に共通する特徴みたいです。この仲間を育成するには正しいエサ選びはもとより個体によっては最初定期的にエサを口に持たせて、食べさせてやるなどの細かい工夫が必要になるものが結構いるため、ペット飼育にはあまり向かない種だと思います。

2013年8月30日金曜日

 日本では明日から鳥・哺乳類・爬虫類の非対面式通信販売が禁止になりますね。人間の心理的に、なにか変化が起こる時はそのネガティブ効果に目が向きがちであるっていう説があるけれど、ほんとにその通りだなってことで、今後どんな問題が起こりそうかパッと思いついた事を書きます。

 ①イベントが販売の主流になる可能性がある。地方などではすでにそんな状況になっていると思いますが、通信販売専門店はもとより、「地域のお店」などがイベント以外に収入を得られる機会が大分少なくなります。地方地域の文化的過疎化がまた一歩進む要因となるでしょう。爬虫類業者の中には奇抜な人もいるので、自分が移動しながら販売することを考える人も出てくるかもしれません。いずれにせよ、爬虫類は比較的ストレスによって状態を損ねやすい生き物だという前提がある以上、移動販売が販売形式の主体になるというのはこの趣味にとって思わしくないでしょう。

 ②人々の消費活動に波が出る。これは①の問題に付随して起こること。業者は一回一回のイベントにより多くの資本を投じることになり、消費者もこれにあわせて生き物を購入するというサイクルが発生します。一方、消費活動に波が出るという事は、販売側により金銭的リスクが生じることになり、これに恒常的に耐えていけるお店というのは限られていくでしょう。イベントの無い期間中売る当てのない生体をストックしながら経営を維持する力のないお店は、イベント時期に合わせて大量に商品を仕入れ、十分に立ち上げる間もなく売らざるを得ないという事が起こりえると思います。これは動物愛護とは真逆の商業活動といえます。そして、このような環境下ではイベントでのお店同士の競争がより激しくなり、そのマイナス効果として現在もう既にあるような「安売り至上主義」的トレンドが加速することも考えられます。

 ③情報の不透明さが増す。販売説明書の項目の細分化で、国内のブリーダーが動物を売るだけのために自分の住所を公に配布しなくてはならなくなりました。だけど、常識的に考えてこのような場面で正直に住所を書く人はあまり居ないと思います。自分の仕事場など代替になりうる場所を記入するか、最悪虚偽の住所を書いてしまうかも知れません。そこで重要なのは、記入された情報が正しいか否かではなく、このプロセス自体に疑いの余地があるということです。つまり信憑性のない形式的な手順を踏むために手間だけが追加されることになります。この趣味の世界では飼育下繁殖個体が野外採集モノより値が張るなどということも普通に起こりえるわけですが、より高価で販売に手間のかかるCBをさばく面倒を請け負うかわりに、WCをどっさり捕まえてきてイベントで安く売るなんていう事が横行したら、それこそ本末転倒かと思われます。国外に目を向ければ、日本人のスタンダードでは考えつかない程プライバシーの尊守を重んじる外国人の個人繁殖家などが、上にあげたようなプロセスを嫌って日本との取引きをしたがらなくなる可能性もあります。

 ④飼育できる爬虫類のバラエティが減る。地方のお店は、イベントなどでより確実に生体を売って行かなければならなくなります。そのため移動などに比較的強く、販売する個体を手軽に近場(国内)でまかなえ、またイベントなどで確実に売り上げを作ることが出来る、言い換えれば「強健で繁殖が容易な人気種」がより主体となって販売されていく可能性があります。今まで「店主の趣味に走りながらコアなファンを獲得」していたようなタイプのお店が、悪い意味でのウケ狙いをしなければ生き残れなくなるかもしれないのです。

 ⑤趣味が個人主体から企業主体になっていく。総合量販を得意とする企業が活性化し、個人経営の小規模店は消える。これは個人商店は今すぐ消える!といっているわけではないです。ただし、企業内での流通ルートと諸地域への窓口をもう既に持っているという点で、「ペットのコジマ」みたいな、チェーン展開している企業が今後ますます有利になっていくのは間違いないと思います。しかしこうして見ると今回の法施行は、間接的にペットのコジマみたいな業態を後押しするものに見えてきますね。コジマは皆も知ってる通り、とっても動物愛護的なお店なのでよかったですね(笑)。また、こういう量販店全店舗が扱える爬虫類ってどんなものか想像すると、おそらく④であげたような生き物たち、つまりコーンフトアゴボールケヅメベルツノトカゲモドキ各種、「以上!」です。また①で書いたみたいに、遠隔地へ商品を送り届けるという点で、今まで個人商店どうしだったお店が協力し合って流通パイプを築いていくことにも繋がるかもしれません。こうしてビジネス上強いコネクションのあるお店同士が連合して動くようになり、そのような連合がいずれ企業的な性質を帯びてくるかも知れません。

 これらの要素がつみ重なって、今後爬虫類飼育という趣味のボランティア的(愛好家の熱意によってのみ支えられる)側面を強化し、同時に経済的な規模は縮小するということになると思います。日本は国土が狭いからそれでもまだまだやっていけるかもわかりませんが、この趣味の「おもしろ度」は間違いなく、また少し減ったかなという気がしますね。国の発行する法律が国民ひとりひとりの自由な経済活動を禁止するという点でちょっと社会主義入ってる気もします。走り書きみたいになってしまったけどまた後で思いついたことがあれば書きます。

2013年8月16日金曜日

 更新 エメラルドツリーボアの頁を編集しました。

 ボアコンストリクターに限らず、南米やアジア原産のヘビを飼う時は特に、いつも新鮮な水が水入れにあるように気を付けるといいと思います。水入れの中は一見きれいに見えても、実はバイオフィルムみたいなものが出来ていたり、水自体にもゴミやホコリが入ってしまったりしてますよね。そのような事が続くとヘビはあまり水を飲まなくなってしまい、知らぬ間に個体を脱水ぎみにしてしまってたり、またそれが長期にわたると腎機能にも影響があると考えられています。実際ヘビが飲んでるかどうか定かでなくとも水は最低3日に1回は交換、水入れは毎回スポンジで擦って洗い、霧吹きの水も忘れずに取り替えるよう気を付けたいところです。

 とまあ、何を言いたいかというと「ヘビの水の管理めんどくさいな」という事なのです(笑)。ミズガメのようにあからさまにドロドロになる事が比較的少ないヘビの場合、水換え自体も忘れてしまいがちですよね。それで最近、飼育部屋の片隅に小さな食器洗浄機があればいいのになあと思ってます。家庭用食器洗浄機自体、日本でも4、5万円しますから「その分でもう一匹動物が飼えるじゃん」という感じですが、多数のヘビを飼育するにあたってこの水やりの手間が省けるというのはかなりの時間短縮になる気がしています。食洗機の中って熱湯が出ているのでピンセットや霧吹き、トング類の消毒もあわせて一度に出来るし、多分手洗いより速く、確実に除菌されているはず。水道代は手洗いより低く抑えられ、空いた時間はウェットボックスや全身浸かれるタブなどの掃除にまわすことが出来る。てことで、爬虫類飼育者の「三種の神器」は加湿器(除湿機)・ミニ冷凍庫・ミニ食洗機ってところでどうでしょうか?(なぜか疑問形)。

2013年8月13日火曜日

 オビに短しタスキに長しな感じの数日間の休みが一応「夏休み」という形で現れたのですが、相変わらず家の内装を直す以外は「せかいのレーサー早見表」などという本当にしょうもないものを作ることに費やしています。

 しかしこのヘビについて調べれば調べるほどほど、あらためて中東やアフリカというのは、文化的には未だ西洋諸国とは大きな隔たりのある場所なのだと思います。ひとつきほど前もアフリカのモザンビークで爬虫類・両生類を含む新種が多数発見されるというニュースがありました。調査が行われた保護区域周辺は30年間内戦が続いていて多くの生き物が激減するか、重大な危機に瀕してしまって、結局アメリカの資本で調査が行われた結果貴重な動植物が一気に1200種以上記録されるという異様な事態に到ったというものです。現在アフリカや中東、中央アジアや南米のいたるところにこういった内戦や紛争が恒常的に続いている場所があるけれど、そういう場所で小さな生き物達が一体どのような状態になっているのか、殆ど知られていない現状があると思います。誰にも見つけられずに絶滅してしまった生き物も、実はたくさん居るのかもしれない。

2013年8月12日月曜日



 北半球にお住まいのみなさん、最近暑いですね。家のまわりの雑木林も盛夏の様相を呈しています。管理人の住むワシントンD.C.エリアでは近年、もうここは熱帯かと思うくらいの激しいスコールがやってくるようになったですが、結果今の時期泥っぽい小川の流れが林のなかにいくつも走り、カエル達の為にあつらえた様な環境になっています。上は数日前に撮った卵の写真。卵塊の中に均一に卵が分散する感じからキタコオロギガエル(Acris crepitans)とか、もしかしたらハイイロアマガエル(Hyla versicolor)とかかななどと想像していますが、また戻ってきてオタマの様子も見てみようと思います。尾の先が黒いオタマジャクシならコオロギガエルということになります。ここにはこのほかにフォーラーズヒキガエル(Bufo fowleri)と思しきオタマもおり、水辺にいる親達の鳴き声も含めなかなか賑やかです。

 また先週末は他州の爬虫類エキスポに行ってきました。後で別記にするかもしれませんが、ナミヘビで綺麗なものがいくつか・またボアの新品種をひとつ見つけたことが良かった点ですが、その他Maryland reptile farmのラリー・ケントン氏から貴重な最初のぺルビアンロングテールボア輸入にまつわる話を聞くことが出来たりと、今回は爬虫類以外の点で有意義なことが多かったように思います

2013年7月29日月曜日

 更新 「コラムのページ」に訳カエルの次はヘビが?北米で新しい真菌性の感染症に専門家の警笛をアップしました。

 最近また両生類の保護に関する米国内の一部の法律に動きがありそうで、気になるところではあるけど、これに関してはまだあんまり思うことが無い。有尾類は結構好きなのでもし飼えなくなったら残念だな、位。わけのわからないお役所仕事的法律(※)さえ制定されなければ良いと思う反面、個人的には、両生類は今よりももっと真剣に保護されたほうが良いと考えています。カエルやイモリって、場所によってはどこでも居るから軽んじられやすいけれど、実はかなり繊細なので大切にしていかなければいけない生き物です。イモリなんか日本でも皆興味本位で買ってみて→数年後飽きて→干しちゃったり、煮ちゃったり、溶かしちゃったりっていう末路をたどるものがかなり多いんではないかと思う。両生類は一部のカエル等を除いて基本的に消費される一方なグループでもある。ペット産業上でそのような消費のされ方をしてきた生き物に対するつけは、やっぱりどこかで払わなくてはいけない。 ※今回の法律(通称CatX)は、法改定のプロセスがより体制寄りで、様々な立場にいる人々が色々な意見を差し挟む機会が殆ど設けられないうちにどんどん制定されていきそうなところが大きな問題点として話題になっている。

 全然関係ない話題をもうひとつ。土曜丑の日を前に、日本の新聞ではウナギの価格の高騰が騒がれていますね。マグロの時もそうだったけど、日本の報道機関はある特定の食材の確保に規制が設けられようとする時、価格が上がるとか、もう食べられなくなる、ということにばかり注目して、「なぜそうなるのか」を詳しく啓蒙しようとする姿勢に欠けている。牧場で育つ産業動物と違い多くの魚は未だ、野生の生き物であり、資源です。メディアが主導で保護意識を盛り立てていかなければ20年たらずで世界の漁場は荒廃するだろうという、かなりヤバイ状況であるのにもかかわらず。と、ウナギ絶ち暦5年目の管理人は思ったのでした。

2013年7月24日水曜日

 パリ第6大学の研究者による最近のコモチカナヘビの研究で、おもしろい事が分かったらしい。内容はこうです。研究者が南仏で捕獲した120匹のコモチカナヘビのメス親から生まれたばかりの幼体のうち、半数に施設内で「最初の餌」をやり、残りの半数には何もせずにもとの生息地に放ち、その後2年にわたって追跡調査をしたそうです。すると、始めに餌をもらったグループはリリースされた場所に留まった個体の割合がより多く、また餌を貰わなかったグループは、2年後により大きな子供を生む傾向にあったことが分かったんだそうです。これによりコモチカナヘビの行動は、彼らの生活史における初期のほんのささいな出来事に起因して、変化するのではないかと考えられました。これって、前者のグループは生まれて早々に捕食に成功するという体験によって「餌が豊富にあるだろう」と想定されたその場所に留まり、後者のグループは、生まれてから一定期間を飢えて過ごしたために、その後より活動範囲を広げて、子世代に到るまで生存に有利となるような行動が誘発されたということになるのかな。子が大きくなるというのは何らかの遺伝的なレベルで活性化されているようにも思えます。

 遺伝的云々といえば、以前読んだものなどによれば、我々人間の遺伝子も食生活や生活習慣によって案外簡単に活性的になったり・不活性的になったりするようです。極端な例だとある一世代の人が飢饉や旱魃など経験する事によって、それ以降の子世代はより効率的に脂肪を蓄えるようになったりとか。これは、もともと厳しい自然があったアフリカやヨーロッパにオリジンのある人々がアメリカに来て劇的に太る原因のひとつとされています。コモチカナヘビに見られたように、日ごろの些細な選択の結果、実は何らかの変化が知らず知らず我々の生活に起きているという可能性も、結構あるのかも知れない。

2013年7月15日月曜日

 寝る前にJ.G.フレーザー著、青江舜二朗訳「火の起源の神話」を少し読んだ。各地の先住民の民話を集めた本です。昔話で、こと話題が火とか雷・大水となるとヘビの出番が多いので読んでいておもしろかった。そして昔うちのまわりに住んでいたチェロキー族の民話によると、このへんのブラックレーサーやブラックラットスネークが今でも黒いのは、彼らの先祖が「火を取りに行こうとして失敗した(煤で焼けてしまった)」からだそうです。ブラックラットスネークはつい先週も藪で見たばかりだったので、なんだか彼らを急に身近に感じた。

2013年7月13日土曜日

 更新 「見聞録」に地方の湖に行った時の事をすこし書きました。爬虫類の事はチョットだけで大部分は釣った魚を食べる話に終始しています
    「コラムのページ」にコブラバイパー(アゼミオプス)の博物誌についての個人のブログをのせました。


 最近、例の「ちいさいロンギ」がもうあまり小さくなくなってきた件について。2歳まであと4ヶ月を残すところとなりました。余り熱心に餌をやってないので爆発的成長は見せないもののなんとな~くじりじりと大きくなってきており、3月のメモに写っている水入れにはもう入らなくなってしまいました。しかしこうやって改めて写真を見ると、もう一匹のロンギとは顔が大分違なります。「大きいロンギ」の方はもっと顔に丸みがあって目が占める比率も少し大きめで、どことなくカエルっぽいちょっと間抜け顔です。誰が言い始めたのか「犬顔」「馬面」として吻が長い印象があるとされる亜種ですが、その中にもこうして色んな顔の個体がいると思うとなんだか人間みたいですね。ヘビは一部種類ではオスとメスの頭部の比率に有意差が認められることもあるようなので、ボアの顔立ちに性差があっても不思議はないかもしれません。

2013年7月10日水曜日



 これ、ボアコンストリクターのキーパーの間で最近ちょっと話題の道具で、スペキュラム(スペクラム)といって様々なサイズのヘビ・トカゲ等の口を開けさせるためのものです。爬虫類にとって口腔内の様子は個体の健康状態のひとつのバロメーターであり、実際アメリカのブリーダーの中には、買う前にヘビの口の中を見せてくれる人もいます。また毒蛇のキーパーや研究施設などでは時おり採毒等も行わなければなりません。ところが一説によるとこの口内のチェックの時にヒト・もしくは個体が怪我を負うケースが案外多いのだとか。またこの行為そのものが個体にかけるストレスもかなりのものなので、この口チェックを手早く・容易にしてくれる道具の登場が待たれていました。スペキュラムは大体2500円程度で様々なサイズがあり、使用者いわく「かなり便利」との事。日本でもテレホンカードが絶滅危惧種となっている昨今、あると便利かもしれません。※ここを読んでいる(超少数と思われる)人たちでもし欲しい方が居たら、左サイドバーのメールアドレスにてお知らせ下さい。

 ところで爬虫類とは全然関係ないけど、ニュースを見て「えっ!」とびっくりした事・・・・・・コモンマーモセットって盲腸に味覚があるらしい。舌の様に味蕾があるわけではないので、危惧したように日々ウンウンを味わっているということではないにせよ、味を感じ取る特定の蛋白質が分布していて、その数(密度?)自体は舌のそれとあまり変わりがないらしい。ここから先はリンク記事からは脱線するけど、もっとおどろくのはヒトの腸にもそのような味覚の受容体があるらしい。さらに甘みだけでなく、辛み、苦み、脂みまでも感じ取っているとか。腸というのは栄養の殆どを吸収する器官なので、こうして消化物の味をもとに食べたものについて体が分析、それをもとにして各種ホルモンの分泌を促すことが重要らしい。

2013年7月7日日曜日

 シシバナヘビが好きで買ってる人がまわりに皆無なので分からないんだけど、どういう点がグッとくるんでしょうか。みんな、あの顔が好きなのか。それともイモムシみたいな体型が可愛いのかな?最近比較的良いクオリティの「レッドアルビノスーパーコンダ」というモルフ(レッドアルビノとアナコンダのコンボモルフ)を見る機会があって、確かに風貌と模様のない真オレンジのボディはきゃわわな感じでしたが、アドレナリンが駆け巡るほどの興奮はなかった。誰か、経験豊かな先輩にシシバナの見方を教えて欲しい今日この頃です。

2013年7月6日土曜日

 環境省の動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案概要に対するパブリックコメントの募集が締切日まで5日をきりました。日本国内でボアコンストリクターの飼育規制解除がなされる数少ない機会です。管理人はおおまかにわけて

 ①ボア・コンストリクターのヒトへの危険性について誤解がある。

 ボア・コンストリクターは、他に指定を受けているビルマニシキヘビ・アミメニシキヘビ・アナコンダ・ヤブニシキヘビなどと比較して体格、体重・体長(飼育下では最大でも±3メートル)、攻撃性などいずれにおいても劣り、懸案事項の言う「人を獲物として積極的に襲ってくる」生物に該当しない。ボア・コンストリクターがヒトに致命的な危害を加える例は、本種の飼育数が日本と比べて格段に多い米国内のみならず、本種が野生下にて生息する南米諸国においても極めて稀である。したがって、本種は規制対象種のリストからは除外されるべきである。

 ②貴重な動植物の保全という観点からも、安定して供給される種の存在は重要である。
 私たちヒトが常に知的好奇心・知的探究心をもつ存在である限り、ペット産業においても「珍しい動物を飼ってみたい、収集したい」「大きなヘビを間近に眺めてみたい」等という強い動機をもつ一定数の爬虫類愛好家が現れることは回避し得ない。しかし、これらの動機はしばしば動植物の保全を推進する現代の潮流に逆行するものである。ボア・コンストリクターは欧米において普通のペットとなり既に40年以上の歴史をもち、飼育法や累代繁殖法も確立され、家庭のコンパニオンとして、またコレクタブル・アニマルとして、多くの愛好家達の需要にマッチすることが分かっている。今後ペットトレードによる野生動物の搾取を減らし動植物を保全するという観点からも、ボア・コンストリクターの様に安定的に供給されるペット爬虫類の存在はますます重要になっていくと思われる。

・・・みたいな点について書きました。これらが今の所思う「ボアコンが規制されてひっかかっていた点」です。しかし規制したり、緩和を検討してみたり、こうやってチョコチョコ法律を翻すことにあまり意味があるとは思えないな。そういえば9月に改正動物愛護法の施行も控えているし、色々変化の年となりそうですね。丁度、未来の動物の売り方について最近考えていたこともあるので、これについては別記します。

2013年6月29日土曜日

2013年のモルフ(勝手に)まとめ、前半戦


 2013年もだいたい中盤、今年上半期見聞きしてきたヘビの中で自分的に今、ナウいと思われた新モルフについて、覚書もかねて勝手に列挙してみます。

 以前のメモ(2012.11.21)でも少し触れてますが、まずは欧州産カーペットパイソンの新モルフ。三月末に発表されたスノー、また今週公式にメディアにのったばかりの最新モルフ「アルビノゼブラジャガー」、ほかにもサングロー、キャラメルジャガー/グラナイト、もはや言われるまで何のヘビだか分からない、銀灰色・無班のモレリアと化したエギザンティック・スーパーゼブラなど、なかなか綺麗な品種が沢山生み出されています。飼育下での改良が進んでいるので、廉価で驚くほど発色の良い個体が手に入る事があるのも魅力的。小さいうちはどうなるか見当もつかないから博打運も試せます。

 次にブラジルレインボーボアのハイオレンジ。と言うと、「前からいるやん」と少々面白みに欠けて見えますが、これらのモルフはエキスポなどで目にすると年々綺麗になっていってると感じているので、「現時点で一番きれいなブラニジのモルフはハイオレンジ」という結論(暴論)に達しました。この種におけるハイオレンジやハイレッド、なんとかグローなどのモルフの良いところは、単純ですが選択交配の代が進むに連れて徐々に・着実に目に見える形で成果が出てくる点です。個人的にこういうこつこつとした努力と継続的な投資をした人のみが報われるという努力・友情・勝利型モルフに対して、好感度が高いです。ジャンプを読んで育ったせいだと考えています。

 さらにコーンスネークからラベンダー系統のモルフとして「ムーンストーン」は実際見てかわいいと思ったもののひとつ。コーンに関しては完全なる門外漢の管理人なので少し調べてみましたが、あまり古いデータがでてこなかったので比較的新しい品種と考えました。アネリ×ラベンダーを基にした品種だそうです。しかし、こうやって書くと前にもそんな品種があったような気がするんですね。ナミヘビは個人ブリーダーが数年足らずで「系統を確立した」とか言ってオリジナリティを主張しはじめたりするところが、一部熱狂者層をのぞく大部分のファンのモチベーションを削いでるような気がします。そして結果的に購買者層を狭めていると思う。ローカリティと違って、モルフの細分化のしすぎは諸刃の剣的なところだなと思うのは、グッピーなどがそれでマーケットそのものが矮小化したと感じているせいもあるかもしれません。いきものの「品種」なんか所詮は暗号通貨なので、その意義を共有できる新規の「ファン」の流入が継続してないと、そもそもの価値も失われがちになります。

 そしてボアコンストリクターからは「スーパーオニキス」と「ムーングロー」。スーパーオニキスは見た目汚いパターンレスですが、次につながる面白い品種。アルビノ化すると「アルビノ・マッドネス」というアホなネーミングの品種になります。ムーングローは最初に生産されたのが2007年と言われているため特にナウいというわけではないかも知れませんが、最近繁殖家が少しづつ増えて、徐々に手の届くヘビになりつつあるという点で自分の中でポイントが高かった。スノーにハイポ・アルビノ・アネリのトリプルへテロを交配した品種で、サドルの色がスノーよりもよりラベンダー色に近く(幼体時に顕著)、リューシスティックを除いた中で「今最も白いボアコン」と考えられています(元親の系統により黄みが強くなるという人もいる。)

 最後に管理人の中で備長炭のように地味に、かつじりじりと燃えていたのは

 ① 旧大陸産スナボア全般、中でもとあるスナボアの一亜種。ロマンを感じます
   入手のあて僅かにあり、しかしどうなるか分からない。
 ② ハイブリッド・ツリーボア達、とりわけアマゾン×エメラルド(写真参照↑)。
   ハイブリッドに全く興味のない自分でも、納得できるかっこよさ。
 ③ チビヤモリ なぜか興味を持ってしまった(瞬間風速的な興味の可能性あり)。
 ④ スポッテッドパイソン「グラナイト」いつ見ても「いいなァ」と思う物件(主観)。
 ⑤ ニシキガメ
 ⑥ IMGソノラボア「レオパード」←これは10年ちかく言っている気がする

 のむっつ。あれ、大部分はモルフではなかった。品種についてこんなにごちゃごちゃと書き並べておいてナンですが、個人的には小さくて・茶色(黒)っぽくて・生命力の強そうな、いわゆる「ふつー」のノーマルな生き物が好きな傾向にあります。茶色って、とてもいい色だと思っているんです。お弁当だって茶色っぽいおかずが多いほうがおいしいし。

2013年6月27日木曜日

Ecnomiohyla rabborum - アトランタ動物園ウェブより        

 こちらも最近暑くなってきました。野外の色々なところで様々ないきものを目にするにつけ、ヘビ以外の爬虫類について考える機会も増えています。今日は、去年死んでしまった最後のピンタゾウガメ「ひとりぼっちのジョージ」に続き、ひっそりと滅びようとしているカエルがいることを知った。上の写真のカエルはアマガエル亜科「Rabbs' Fringe-Limbed Treefrog」という種。直訳するとレブズ・ヒダアシキノボリガエルってっところかと思いますが、2005年、すでに希少種となっていたパナマ産本種の数十個体が研究者によって米国内の施設に移送された後、野生下に残された個体郡はカエルツボカビ症によって消滅。飼育下に置かれたカエルたちも繁殖することなく徐々に死に絶え、また同時に捕獲されていたオタマジャクシもラボの中で上陸することはありませんでした。この写真の大きなオス「トーギー」は現存する最後の一匹で、研究者の報じるところによると健康状態は大変良好、けれども非常に年老いているとのことです。

2013年6月24日月曜日

 今日は飼育部屋にタイマーを設置。いままで何気に20年近くヘビを飼っていて、一度もタイマーのお世話になったことがありませんでした。昼間の明かりと夜の赤外線ランプの切り替えは今までずっと手動で行っていました。だから夕方出かけて朝まで遊んでいる場合などは昼の電気はつきっぱなし・・・などということは、正直よくあった。つまりヘビの体内時計に無頓着だったという事です。飼育環境のハイテク化には程遠いけど、これでちょっと「文明開化」くらいには近づいたかな。

2013年6月21日金曜日

ピクタ


 近所の湖にカメ餌を持って行き、水面にわざとバラバラと音を立てながら撒き餌するとスライダー各種にトウブニシキガメなどが見られる事が分かりました。見た感じではスライダー6:ニシキ4+αでカミツキガメ、ニオイガメくらいのニシキガメの健闘ぶり。見ていてうっとりするようなきれいなヌマガメです。ヌマガメといえば自分の住んでいる街から南に半日ほど車を走らせると、アミメガメの生息域に入るのですが、こちらもいずれ見てみたいところ。

 写真のカメは岸辺付近の小魚をタナゴ針で釣っていじめていたところ、水底のボサから急に飛び出してきてひっかかったものです。おそらく子ガメの頃にも人につかまったのか上顎に大きな古傷があった。野生の亀を捕まえたときいつも感動するのはその力強さ。筋肉モリモリで、片手でつかめる大きさでもみんな驚くほど重い。

2013年6月20日木曜日

 南米の珍種、チリダーウィンハナガエルが絶滅したとされた。進化論の父・チャールズ=ダーウィンが南米を旅したときに見つけたといわれる、鳴嚢の中でおたまじゃくしを育てる南米のユニークなカエルの一種は80年代を最後に生存が確認されていなかった。

2013年6月10日月曜日

 ここのところ庭+改装やリフォームをちびちびとやっています。まとまった更新がない時はグーグル+のコミュニティに走り書きをすることにしました。G+は使ってる人があまり多くないという最大難点がありますが、ユーザの方はぜひ情報交換しましょう。今後はまとまった記事はこちら、更新情報とちょっとした品種などについてのつぶやきはG+、の二人三脚でやっていこうと思います。因みに例の携帯端末用あやしいサイトの方も、まだ死んだわけでなく、時おり害にしかならない日記を垂れ流していく所存ですので今後も宜しくお願いいたします。

2013年5月9日木曜日



 メモにすこしあいだが開いてしまいましたが、休日、天気が良い日が続いたので裏庭に棚を作ったり地面を掘り返したりしていました。この状況皆さんなら分かるかもと思うんですが「なんか、池掘って、亀飼いて~」と、なんとなくミズガメ飼育欲が沸いてきませんか?普段ヘビの事ばかり書いていますが、管理人はミズガメも結構好きで、特にイシガメ、ヤマガメの仲間に興味があります。日本に住んでいた頃は「世界のイシガメ水槽」と題して古株のハナガメはじめ、日本イシガメ、ウンキュウ、リブラータイシガメ、カスピイシガメ?、ミナミイシガメなどを飼っていました。飼っていたハナガメのうちの1匹は、ミズガメ大百科に載った個体だったのも、ちょっと誇らしい思い出です。エレガントで、姿良く(自分にとってはとても「カメらしい」見た目)、丈夫で、有る程度広ささえ与えればケンカなどもせず仲良く暮らすイシガメって本当に良いカメだよな~と常々思います。

 話がイシガメにそれましたが庭の話でした。あっ!もうひとつカメの話題があるのです。最近近所の池にニシキガメがたくさん住んでいる事を発見しまして、ヌマガメとかスライダーが好きな人の気持ちもなんとなく分かったようなつもりになっておる所なのであります。自然の太陽をいっぱいあびて泳ぎまわる彼らの強さ、美しさには目を見張るものがあります。上の写真の木枠で囲われた部分は畑になる予定ですが、もしうまくゆかなかった場合、来年か再来年以降はビオトープに作りかえたいと考えています。掘りにくい土質なのでおそらく長期のプロジェクトになるでしょう。写真奥の柵の向こう側は保護林の斜面が続いているので機械等を入れる事は出来ません。なんだかカメの話題に終始した上オチがつきませんでしたが、この辺にしてまた作業に戻ります。

2013年3月31日日曜日

 今年初頭から密かに最も爬虫類業界を震撼させたと思われるボアコンストリクターの新しいモルフ、「セシウムフェイズ」。スイスで繁殖されたスリナムレッドテールボアからとれたこの個体は今年まで個人繁殖家のもとで内密に育成されていました。今回満を持して一般に公開されると共に、繁殖家から「1ペアのみを販売する」というオファーを受け取りました。詳しくは管理人までメールを宜しくおねがいします。



 ・・・などというポストが私設フォーラムに始めて投稿されてからはや4年が経ちますが、この写真いまだにネット上の爬虫類好きの間を漂っています。やはりそれだけインパクトがあり、ヤラセと分かった後でもなおどきワク感のある写真だからでしょう。ボアコンに対する青色って、自分にとっては夢想すらもしないカラーリングで、言うならば真っ青なバラ、赤いセキセイインコ、黄色い救急車(?)みたいなかんじでちょっとわくわくします。

 管理人にとっては今年が始まってからもう4ヶ月も経っていること自体エイプリルフールという感なのですが、日に日にうららかに若草の香る風を感じ、ほかの全ての生き物と同じように春の訪れに歓びを感じている日々であります。近所の小川にもいつのまにか小魚がいっぱいわいていて、そろそろ野生のガータースネークなども見られるのでは、と楽しみにしています。

2013年3月25日月曜日

 風の便りで、スコットランドの繁殖家グループによってアルビノのアフリカンロックパイソンが登場したと耳にしました。長らくパターンレス以外のモルフがなかったアフロックですがこれがきっかけとなってこれから何らかの改良の動きが出てくるかも。今回の個体はWCのセバエ・セバエのオスで何らかのタイプのT+アルビノ、輸入元では便宜的にラベンダーアルビノと呼ばれているようです。写真を見ると意外なほどきれいで、バーミーズパイソンと比べるともともと浅黒い系の本種の色合いがうまく作用しているように見えた。T+アルビノのわりにあの頭部の鏃模様を強調するような濃色部はほぼノーマル色なので、ちょっと不思議な印象。これからパターンレスを主な交配相手とした繁殖プログラムに導入されてゆくそうです。

 とまあこのような、一昔前なら先に&確実にアメリカの手に渡っていたようなヘビが別の国へ行くようになったという点に、ちょっと象徴的なものを感じています。本国での微妙な立ち居地と法規制とを受けて、今後大蛇トレンドの拠点は欧州へ移っていくのでしょうか。

2013年3月24日日曜日

 週末、今年最初となる爬虫類のエキスポへ行ってきました。年々カエル屋やカメレオン屋のテラリウムが良く見えてきます。このエキスポについては時間のある時に別ページにまとめたいと思います。また先週の話ですが、「さかなクン」が再発見に貢献したあの西湖のクニマスが、ヒメマスと同条件で繁殖に成功したとのニュースを目にしました。おもしろいと思った部分は、孵化はするものの稚魚の生存率が生後3ヶ月で約40%と劣るクニマスについての、研究所の人の「野生のクニマスから養殖した1世代目は遺伝的に人に慣れていないためでは」というコメント。飼育下の環境(制限のある生活スペース、人影、餌など?)についてより感受性の強い稚魚は、こういう早い段階でけっこう死滅してしまうのかもしれないけど、のこり40%の潜在的に外部の刺激や環境の変化に寛容と思われる魚同士をこれから掛け合わせて行けばいわゆる「遺伝的に人に慣れやすい」状態になるのかなと思った。魚ですらこのようなことが起こるので、おそらくCB化の進んだ爬虫類にもそういう現象は多く起きているのではないだろうか。

2013年3月20日水曜日


地元にあるこじんまりとした動物公園へ行ったら、すごく小さな(そして古い)爬虫類コーナーにコーンスネークが2匹いた。どんな爬虫類にも言えることだけど、現地の人が行う、現地の動物のためのビバリウムにとても興味がある。その種類を外で身近に観察したことがあることからくる、自然な表現がある気がするからだ。このケージを見て横に立っていたアメリカ人のおじさんが「俺の田舎では、まさにこんな感じ」と頷いていたのが印象に残った。日曜日に納屋を開けると、こうして道具類のすきまにいるコーンスネークにしょっちゅう出くわしていたという。生き物を飼ううえで野外・野生でのその生き物の生活を垣間見たことがあるというのは、その生き物を五感の中に取り込むという意味でとても大事な事なんではないかと思う。

2013年3月12日火曜日


最近、パイとかグラタンを焼く用の大判ガラス皿が水入れとしてかなり使いやすいことに気が付きました。見た目は悪いけどある程度重さもあり、もち手も付いているし、プラスチックと違って科学物質とかも気にせずどんどん食器洗浄機などにもかけられ、何より中型のヘビがあまり怖がらずにホイホイ出入り出来る・かつ体の厚みの80%くらいまで浸かれる「絶妙な浅さ」がイケている、と勝手に感動しています。(水深に関してはもし深くても中にミズゴケや玉砂利などが少々入っていると安定がいいのか、入ってくれることが多い気がする。)写真の「チビロンギ」はだいたい1歳7ヶ月を過ぎました。なんか、仔育てがメンドイからと一匹しか買わなかったのが、約1年半後の現在は「どうせ育てる手間は同じだからもう何匹か(仔ヘビを)買っとけばよかった」という心理になりました。

 ところで、最近コロンビアンレインボーボアのモルフがいくつか確立されたものが増やされて出回り始めているようです。コロンビアンは、いわゆるレインボーボアの醍醐味を味わえる種かというとちょっと違うと常々思っている管理人ですが、最もペット的なキャラクターを持っている種でもあるのでこうして少しずつでもスポットがあたってゆくのは概良いことのように思われる。

2013年3月11日月曜日

 昨年のバーミーズパイソンとキイロアナコンダに続き、世界中に支部を持つ超大型動物愛護団体・ヒューマンソサエティ(HSUS)が、北米におけるボア・コンストリクター、大アナコンダ、アミメニシキヘビの飼育の規制を求めてロビー活動を展開しています。最近丁度、「私達はヘビをペットとして飼うべきか?」というコラムを読んだばかりだったので、これについて色々思うところがありました。というのも管理人は、ペット・トレードや商業的な利用が目的の野生動物・爬虫類の搾取という問題を踏まえて考えた場合、今回規制対象にされようとしているようなCB化された一部のボア・パイソンやナミヘビの仲間の存在によって、野外採集個体への需要がある程度分散OR抑えられているという現状もあるのではないか、と考えるためです。全体的に見て、今日の爬虫類好きの人々の文化レベルでは「何か面白い動物を飼いたい。手元において間近に眺めたい。集めたい。大蛇やオオトカゲのような、強大な生き物を手中に収めたい。」という欲求を抑えることは困難なため、これらの種類のヘビたちがある意味、人柱のようにその需要を埋めてくれていると思うのです。これらのヘビを飼うということのダウンサイドリスクとして、外来生物による遺伝子汚染や帰化問題があるけれども、そのアップサイドは往々にして無視されがちであると思う。物事の「起こりえるポジティブな効果」というのは、ネガティブな効果よりも検証が難しく、それゆえ「大きな(危ない)ヘビを飼ったっていいじゃないか」という主張には、説得力があるものが少ないと感じやすいのだと思う。

2013年3月5日火曜日

photo taken by Tigran Tadevosyan, Jrvezh, Armenia  

 ちょうど良い機会にジャベリンサンドボアの頁を編集しようと、中央アジアから中東へかけての爬虫類一般について調べていました。上は、その間やけに気になってしまったパレスチナククリィヘビ(Rhynchocalamus melanocephalus sp.)。日本に時々輸入されるククリィヘビの仲間とは属が違うのにそれでもなぜかククリィヘビと呼ばれていて、melanocephalusの名の通り、基亜種では頭部は黒一色になります。この東トルコからイラク・アルメニアなどに見られる亜種satuniniが派手なオレンジで非常にお洒落な感じで特に心惹かれるものがあった。一瞬サンビームヘビを連想させるような樹脂的なテリのある鱗をしていますが、そのサンビームヘビと同じく一生のうちの多くの時間を土にもぐって、もっぱら虫の幼虫や無脊椎動物、アリの卵などを食べて暮らしているのだそうです。今後紛争などが起こらなければ5年以内くらいを目処に中東へ行ってみたいと思っているので、運がよければそのうち出会えるかもしれません。

 それにしても、本種やマッド・スネーク、一部のミズヘビなどにも見られるこの派手な色彩というのは一体何のためなんだろうと、いつもかなり不思議に思います。ぱっと常識的に思い付く可能性としてはやはり他の有毒ヘビへの擬態があるけど、例えば上のパレスチナククリイヘビの場合、アルメニアに生息する有毒ヘビはどれも本蛇とは似ても似つかないクサリヘビ科の仲間で占められているので、理由としてはあまり考えられない。となるとやはり外敵とのアクシデンタルな遭遇があった時、注意を逸らす目的なんだろうか。

 そういえばある時野生のズグロパイソンの写真を見ていてちらっと思ったことがあるのが、目立つ体の模様に対して頭部だけ黒いとか、首に襟巻き状に暗色部があるというのは、身を守るのにけっこう役立つんじゃないかという所です。斑紋のコントラストが激しいので捕食者(特に鳥類を想定)は明色部の多いボディの方に気をとられ、その間蛇は頭部を守ることが出来て、逃走出来る可能性が増すのかもしれない。パレスチナククリィヘビの場合、首の黒い斑のおかげでこのボディと頭部は別の生き物として認識される可能性もある。まーでも、しかしながら、こんなに派手な色使いになっちゃったらもうそのへんの細かな事情はもはや関係ない気もする。実は紫外線の下だと全然違う色に見えてるとか?・・・・・・う~ん。他蛇事ながら無事大自然を生き残っていけるのかと、無駄に心配になってくる蛇です。

2013年3月2日土曜日

 ずっとタタールサンドボア「らしき」スナボアとして飼ってきたプンたろう(メス)ですが、ここのところジャベリンサンドボア(ヤハズスナボア)疑惑が出ています。発端は、次に購入を検討しているスナボアのブリーダーにたまたまプンたろうの写真を送ったところ、ブロッチが真黒いのは模式的な形質からは外れるが、ジャベリンサンドボアの可能性はないかと言われたことでした。氏曰く、メスのタタールサンドボアは結構大型になる(少なくとも80~120センチ)が、それに対して80センチあるかないかのプンたろうは若干小さい。また、ジャベリンサンドボアは生息する範囲が広域にわたるため、亜種間の違いも含め個々の個体のもつ体色や斑紋のバラエティもかなり多様で、そのため本やウェブなどで見られる写真の一枚一枚はあまり頼りにならない事も多いそうです。調べてみると確かに目じりから口端まで続くストリークがあるということと、体鱗列数、噴腹鱗の数及び、尾下の鱗の数がだいたい当てはまりました。ただし、これらの特徴は中央アジア~ユーラシア、欧州産のスナボアには比較的ありふれたものだということと、プンたろうとある程度似た見かけのヘビはジャベリンサンドボアの中にも、タタールサンドボアの中にも見られるという点で、これが個体のローカリティからくるものなのか、先に挙げた二種いずれかの亜種だからなのか、もしくは何らかの亜種間雑種なのか、今の所はっきりしていません。そんな疑問を残しつつ、これからは「おそらくジャベリンサンドボア」のプンたろう(メス)をよろしくお願いします。

2013年2月24日日曜日


「プンたろう」と霧吹きとの関係は、猫がやたらと湯船の水にこだわっているあの感じに似ていておもしろい。霧吹きに入っている水と水入れの水は全く同じものなのに、シューっと吹きかけてもらう方がいいらしい。体にかかった水は首をまげて、丸まりながら器用に飲んでいく。目なんか殆ど見えてなさそうなわりに霧が飛んでくる方向もちゃんと分かっているらしく、こうして霧吹きの方へどんどんよってくる。霧に何か特別な思い入れがあるようだ。うちへ来てから約一年が経ち、ちょっと太ってきたプンたろう。結構動くわりに代謝はかなり遅いと感じるので、うっかり肥満にさせないように気をつけたい。

2013年2月14日木曜日

 1月13日に書いたエバーグレイズのヘビ狩り大会ですが、のべ1600人の参加者が計68匹のヘビを仕留めたそうです。発表によると去年の時点でエバーグレーズに帰化しているヘビの総数は10万匹とされていたので、焼け石に水感は否めないけれども、こうして世間の注目をあつめて問題意識を持たせるという点では成功といえるのかもしれない。新聞によると大蛇の繁殖が確認されてから10年たらずの間にエバーグレイズに住むアライグマとオポッサムの99%、ボブキャットの88%がいなくなったそうです。帰化が確認されたバーミーズパイソンをはじめ数種の大型化する蛇、あとブラック&ホワイトバンデッドテグーはじめ数種のトカゲ達によって、今までエバーグレーズの生態系のトップに立っていた動物達が、ほとんど一掃されてしまったということになります。

 一説によると北米では「気候が2100年までこのままである」と仮定したうえでこれら移入種の本来の生息地の環境との比較を行った結果、12の比較的広大な州でこれら外来生物のいずれかによる移入をうける可能性があるとされるそう(Biological Invasions,pp 241-252)。実際は気候が温暖化していることもあるので、移入を受ける可能性のある地域はさらに北上するのではないだろうか。去年の4月のレイシー法改定をうけて「バナナで釘がうてる州もたくさんある中、無意味な法案が可決した」と書きましたが、100年、200年、もっと長期のスパンで自然環境について考えた場合、今の時点で手を打っておくという姿勢にもまた一理あると思った。

2013年2月13日水曜日

 最近ヘビの事について文を書く機会があって思い出した事。子供の頃、最初に捕まえて飼った、もしくは大切な小遣いを使って最初に買った爬虫類の事って、俗に言う「初恋の人」のような感じでけっこう鮮明に覚えてるものだなあという事。皆さんはどうでしょうか?管理人が最初にいわゆる「買った」ヘビはガーターヘビでしたが、思い出してみると本当に色々な記憶が蘇えってくる。なによりも、自分にも昔日本のヘビ1匹とか、ガーターヘビ1匹しか飼ってなかった頃があって、毎回餌を用意したり床材を頻繁に取り替える事も、一回一回感動&感謝しながらしていた事を、とても新鮮な気持ちで思い出しました。丁度パソコンが廉価で普及しはじめた頃とも重なっていて、爬虫類という趣味をもとに友達の輪が広がることも楽しかった。生き物を飼ううえでの「初心」が色あざやかに蘇り、そういう気持ちを忘れないでいたいと思いました。

2013年2月11日月曜日

 NRAAC、PIJAC、 ARAVなどアメリカの学者、科学者、ホビイスト団体の指揮により行われる2013年の全米爬虫類・両生類法律シンポジウム&ワークショップがワシントンD.C.で開催されることが正式に決まりました。前回のテキサス大会に引き続き、近年米国内で変化や改定の多い法律関係にフォーカスをあてたものになるようです。前回の法改正から約一年、爬虫類産業において「経済的な影響が出た」とはっきり結論付けるむきもあるし、自分のまわりで行われるエキスポではビルマニシキヘビやアナコンダは未だにふつうに売られている(つまり法が全く尊守されていない)こともあり、現在最新の法律事情を知るのには絶好の機会となりそうです。

2013年1月12日土曜日

 フロリダ州のエバーグレイズ国立公園で昨日から移入種ビルマニシキヘビに対する「ヘビ狩りコンテスト」が開催されているそうです。来月10日までの期間中指定区域内で、最も多くのヘビを狩った人には賞金が1500ドル出、さらに大きさを比べて最大のヘビを射止めた人には別途1000ドルが支給されるらしい。駆除は間違いなくすべき事だと思いますが、こうして人の手で野に放たれ、人によって不要とされ殺されるいきものの運命ってなんだろう・・・と思います。