2013年8月30日金曜日

 日本では明日から鳥・哺乳類・爬虫類の非対面式通信販売が禁止になりますね。人間の心理的に、なにか変化が起こる時はそのネガティブ効果に目が向きがちであるっていう説があるけれど、ほんとにその通りだなってことで、今後どんな問題が起こりそうかパッと思いついた事を書きます。

 ①イベントが販売の主流になる可能性がある。地方などではすでにそんな状況になっていると思いますが、通信販売専門店はもとより、「地域のお店」などがイベント以外に収入を得られる機会が大分少なくなります。地方地域の文化的過疎化がまた一歩進む要因となるでしょう。爬虫類業者の中には奇抜な人もいるので、自分が移動しながら販売することを考える人も出てくるかもしれません。いずれにせよ、爬虫類は比較的ストレスによって状態を損ねやすい生き物だという前提がある以上、移動販売が販売形式の主体になるというのはこの趣味にとって思わしくないでしょう。

 ②人々の消費活動に波が出る。これは①の問題に付随して起こること。業者は一回一回のイベントにより多くの資本を投じることになり、消費者もこれにあわせて生き物を購入するというサイクルが発生します。一方、消費活動に波が出るという事は、販売側により金銭的リスクが生じることになり、これに恒常的に耐えていけるお店というのは限られていくでしょう。イベントの無い期間中売る当てのない生体をストックしながら経営を維持する力のないお店は、イベント時期に合わせて大量に商品を仕入れ、十分に立ち上げる間もなく売らざるを得ないという事が起こりえると思います。これは動物愛護とは真逆の商業活動といえます。そして、このような環境下ではイベントでのお店同士の競争がより激しくなり、そのマイナス効果として現在もう既にあるような「安売り至上主義」的トレンドが加速することも考えられます。

 ③情報の不透明さが増す。販売説明書の項目の細分化で、国内のブリーダーが動物を売るだけのために自分の住所を公に配布しなくてはならなくなりました。だけど、常識的に考えてこのような場面で正直に住所を書く人はあまり居ないと思います。自分の仕事場など代替になりうる場所を記入するか、最悪虚偽の住所を書いてしまうかも知れません。そこで重要なのは、記入された情報が正しいか否かではなく、このプロセス自体に疑いの余地があるということです。つまり信憑性のない形式的な手順を踏むために手間だけが追加されることになります。この趣味の世界では飼育下繁殖個体が野外採集モノより値が張るなどということも普通に起こりえるわけですが、より高価で販売に手間のかかるCBをさばく面倒を請け負うかわりに、WCをどっさり捕まえてきてイベントで安く売るなんていう事が横行したら、それこそ本末転倒かと思われます。国外に目を向ければ、日本人のスタンダードでは考えつかない程プライバシーの尊守を重んじる外国人の個人繁殖家などが、上にあげたようなプロセスを嫌って日本との取引きをしたがらなくなる可能性もあります。

 ④飼育できる爬虫類のバラエティが減る。地方のお店は、イベントなどでより確実に生体を売って行かなければならなくなります。そのため移動などに比較的強く、販売する個体を手軽に近場(国内)でまかなえ、またイベントなどで確実に売り上げを作ることが出来る、言い換えれば「強健で繁殖が容易な人気種」がより主体となって販売されていく可能性があります。今まで「店主の趣味に走りながらコアなファンを獲得」していたようなタイプのお店が、悪い意味でのウケ狙いをしなければ生き残れなくなるかもしれないのです。

 ⑤趣味が個人主体から企業主体になっていく。総合量販を得意とする企業が活性化し、個人経営の小規模店は消える。これは個人商店は今すぐ消える!といっているわけではないです。ただし、企業内での流通ルートと諸地域への窓口をもう既に持っているという点で、「ペットのコジマ」みたいな、チェーン展開している企業が今後ますます有利になっていくのは間違いないと思います。しかしこうして見ると今回の法施行は、間接的にペットのコジマみたいな業態を後押しするものに見えてきますね。コジマは皆も知ってる通り、とっても動物愛護的なお店なのでよかったですね(笑)。また、こういう量販店全店舗が扱える爬虫類ってどんなものか想像すると、おそらく④であげたような生き物たち、つまりコーンフトアゴボールケヅメベルツノトカゲモドキ各種、「以上!」です。また①で書いたみたいに、遠隔地へ商品を送り届けるという点で、今まで個人商店どうしだったお店が協力し合って流通パイプを築いていくことにも繋がるかもしれません。こうしてビジネス上強いコネクションのあるお店同士が連合して動くようになり、そのような連合がいずれ企業的な性質を帯びてくるかも知れません。

 これらの要素がつみ重なって、今後爬虫類飼育という趣味のボランティア的(愛好家の熱意によってのみ支えられる)側面を強化し、同時に経済的な規模は縮小するということになると思います。日本は国土が狭いからそれでもまだまだやっていけるかもわかりませんが、この趣味の「おもしろ度」は間違いなく、また少し減ったかなという気がしますね。国の発行する法律が国民ひとりひとりの自由な経済活動を禁止するという点でちょっと社会主義入ってる気もします。走り書きみたいになってしまったけどまた後で思いついたことがあれば書きます。

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