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2017年3月31日金曜日

活動報告

Thamnophis sirtalis sirtalis


 ご無沙汰しております。北バージニアより今日とれたてのイースタンガーターヘビの写真をば(クリックで少し大きくなります)。例の如く、写真では見にくいですがこれ、個人的にガーターの一番好きな体色の傾向です。こうして外で春先の複雑な光を受けていると、「蛍光グリーン」というか、もうそれ自体が発光してるんではないかと思うくらい綺麗に見えるのですけどね~・・・、家に持って帰って飼育ケースなどに入れるとただの「色褪せた黄色っぽいガーター」になってしまって、籠に入れたら茶色くなってしまうあの童話の「青い鳥」に出てくる鳥を彷彿とさせます。

 この場所ではほかに姿は見えないものの、ピッカレルガエル(Lithobates palustris-ヒョウガエルに似てる中型のけっこうきれいなカエル)の、耳を澄まさないと聞こえないワビサビ系のコールも少し聞こえてきて感動した半面、期待していた水辺のサラマンダーはただの1匹も見つけることが出来ませんでした。こういうことがあると、何らかの理由で湧き水の量が減ってしまったのではないか?とか、どこかの家の庭から化学肥料が流れ込んで水質が変わってしまったのではないか?とかすぐ悪い方に考えて人生に絶望してしまうので(笑)、また出来たら若干気候条件の違う日に再挑戦して、何か収穫があることに期待したいと思います。

 さて体重12キロ近くにまで成長した恐竜を体にくくりつけてフィールドグッズをしょって、寒い中大汗をかきながらなぜにこうして歩き回っていたかというと、今自宅で作成している文章にどうしても付け足したい写真を撮りに行っていたのでした。恐竜は生後1年半を迎えますます活発で、最近は微妙に人間の言葉を発するようになってきており、管理人が藪に手を突っ込んだり倒木をひっくり返したりする度に「いた!いた!」とか、「でかい!」等と(対象のいきものがいるかどうかとは関係なく)自分の口真似をしてくるので、なかなか生き物探しに集中することが出来ません。そんな状況にも負けず一生懸命したためている文章ですが、そのうちどこかでお披露目出来るかもしれませんので、その場合はまたこちらにて告知させていただけたらと思います。



2016年3月11日金曜日

ガーターヘビ



 写真上は今朝の午前10時、気温17℃の散歩道で見つけたイースタンガーターヘビ。アスファルトの上にぴちーっと張り付いてバスキングしていたところへ自分達がやってきたので、ハッ!としてシュッと縮まり舌チョロしている所(←ニュアンスすぎ)。このあと威嚇体勢をとって積極的に噛もうとしてきました。

 このへんではおおまかにわけると2パターンの外見をしたガーターヘビがいるように思います。ひとつは上の写真みたいな、クラシックなコモンガーターのパターンをしたもの。ちょっと青みがかったヘビが多い気がします。上のヘビもケータイカメラにはきちんと写りませんでしたが、腹へかけての鱗とその間の皮膚がうっすらと空色をしておりけっこう綺麗な個体でした。冬眠明けなのになかなか肉付きの良い美人です。コモンガーターは月末位から繁殖期に入りますが、今年は暖かい(というかもう暑いくらい)ので、ちょっと早めに出てきてお色直ししている感じでしょうか。これからウッドフロッグ(アメリカのアカガエル)やサザンレオパードフロッグ(ヒョウガエル)の繁殖が最盛期を迎えてオタマジャクシが沸きにわいてくるので、彼女もその子供達も将来安泰ですね。




 ほで、こちらがもう一方、茶褐色のタテ線タイプ。こちらはコモンタイプの写真を撮った場所から数キロの湖のはたの遊歩道で見つけました。本当に同じ種類?と思うくらい異なって見えます。

 これの写真を撮っている時車で通りかかったおっちゃんがいきなり窓から顔を出し「おお!リボンヘビだろ!子供の頃よ~飼ったわ。」と言って走り去っていった(笑)。しかしおっちゃんの勘違いも頷けるというか、ほんとに一見リボンヘビに見えるカラーリングです。それに生活スタイルも餌も殆どまるかぶりなので、ずっと勘違いしたままでも普通に飼えてしまうという。そんな彼らなので以前はガーターヘビとリボンヘビのハーフっていう可能性はあるのか?などと思っていたこともあります。突飛な考えにしても、生存競争上もっとも効率の良いパターンのひとつだというのは間違いなさそうです。そういえば先月末付けで、彼らイースタンガーターヘビは我がバージニア州の「州蛇」に任命されたそうな。本来なら歴史的にも意味を持つガラガラヘビが選ばれそうなところを、州知事に自ら出向いてロビー活動をしていた「ガーターロビイスト」は12歳の少年だったそうです。この国の政治は子供と貧乏人と、ビリオネアによって動かされる傾向があるようです。

2015年12月1日火曜日

ホクブクビワヘビ3匹目

D. p. edwardsii


 ご無沙汰していますが、皆さん楽しい両爬ライフをお過ごしでしたでしょうか。みどもはと申しますと、理由は記事の一番最後に述べますが、この二か月、いままでの人生こんなにつきっきりで生き物の世話をしたことはないというくらい世話にあけくれていました。そうなってくるとやはり生活上のよしなしごと>野外に出る(兼・犬の散歩)>>>パソコンタイム の順になって来ざるを得ないので、なかなか両爬ブログを楽しむ時間がとれていませんでした。

 そこでホクブクビワヘビであります(どこでや)。朝の比較的早い時間帯に見つけたので動きもにぶく簡単に捕まえられましたが、この時の気温が5度ほどしかなく、そんな中で動き回っていた事に驚きました。いつも感心するんですが、こういう生き物って一日の気温の推移をある程度予知できるんだろうか?この日も昼は20度近くまで上がる予報になっていたので・・・。なんとなくさすがだなあと思いました。

 それにつけても今年は異様にあたたかいです。以前の記録を見ると、去年の今頃、感謝祭の食事を食べる頃に雪がちらついていたとか、温度計の最低気温の枠が零下から出なくなったなどという事が書いてあったんですが、この所クビワヘビだけでも先月と合わせてもう3匹見かけています。ほかにもここ2週間ほどでデケイヘビの新しい死骸と、近所の半外飼いネコがブラックラットスネークの亜生体を咥えている(怒)のも見たので、全体的にヘビ達がまだ活動的にしている事に驚きます。日本は最近亜熱帯化しているみたいですがここ北バージニアでも、祖父母の代から住んでいるという人に話を聞くと、やはり昔よりも大分暖かくなっている気がする、ということでした。温暖化、ヒトによる自然環境の改変・消失と、考えだすとどうしても暗い気分になります。最近もこんな話を目にしたばかりで、中国のはなしになりますが、過去40年間で陸上生物の個体数の約半数を失ったとか。無脊椎動物や哺乳類、鳥類等、部門によって減少率は異なるものの、われらが両生類・爬虫類に至っては減少率が97.44%ということで、(この数値にどこまでの信憑性があるかは個々人の判断に任せるとして)自然が圧倒的に壊され、持ち去られ、失われ続けている事実を意識せざるを得ません。

 「つづき」以降に、このクビワヘビの他の写真+おまけをアップしたので、興味のある方がおられましたら。

2015年9月30日水曜日

禁忌きっず


 たまには細かいことは忘れて、ただただ「美しい」「きれいだ」と感じるものを眺めて過ごしたい・・・という心理になること、ないでしょうか。 人間の感じる「美しさ」とは不思議で、基本的には健全さ、健康さ、善、神聖さなどなどの感覚と共に語られるものの、規範や倫理や良識とは一切かけ離れたところにぽつねんと存在している場合もあるので厄介です。美的感覚がスタンダードからちょっとズレてる爬虫類愛好家の皆さんにならきっと、分かってもらえると思うのですが(微妙に失礼)。




 とりあえずこの数年間でジャグポンドロが急にふつくしくなっていてビックリしたという新鮮な驚きがあったことの備忘録として。2番目の写真は4年前にドイツ・ハムのエキスポへ行った時の写真なのですが、この頃モレリアのハイブリッドものといえばカーポンドロが主流だった中、ジャガーカーペットパイソンとかけたジャグポンドロ(ジャガポンドロ)が一頭だけいたのが印象に残っていました。顔は見えないけどおおよその雰囲気は伝わるでしょうか。繁殖者によるとブリードの方向性も、エキゾチックなカーペットの模様とツリーパイソンのトロピカルなグリーンを融合させることに重きをおくカーポンドロと並行して、ジャグポンドロの場合はとりあえず「一体どうなるんだろ?」という、好奇心から実験的なかんじでやっているという話でした。やはり最終的には「ミドリのジャガー」を目指していたのかもしれないですが、それが思いもしない方向に開花したのが一枚目の個体、デンマークの愛好家のコミュニティで話題になっていた写真です。今後どのような風に成長していくのかがとても気になりますね。




 因みにそのハムでの思い出の一枚がこちら。なんてことない通路から小会場を臨んだところの写真ですが、入り口にアプローチも出来ないほど人がうじゃうじゃして、HBMでもこんなにひどくはなるまいという熱気が伝わってきます。中に入ればドイツジャーマン世界の兄貴達に、ところどころ汗でアイラインのよれてしまったゴス男などの入り混じるモッシュピット状態で、3月だというのにモワモワした温室のような空気感だった。これはこれでけっこう楽しかった思い出です。


2015年8月6日木曜日

リューシスティックレインボー




 春先にイヌが来たばかりの我が家ですが、さらに新たな住人を迎えるべく部屋を大改装したり、ドサクサに紛れて自分の爬虫類部屋の模様替えにも着手したりと、ブログを更新する時間がなかなか取れませんでした。私事ですが今年、2015年は自分にとって何かと変化の多い年となっていて、この傾向は今年いっぱい続きそうです。

 そんなこんなで、かわいいヘビのグラビア風写真でお茶を濁そう!という姑息な魂胆丸見えですが、コロ虹のリューシを。この写真はちょっと前にペンシルバニア州のハンブルグといううらぶれた小さな町で開かれた即売会を見に行った時、ブリーダーがNFS(展示オンリー)のコンテナから出して「おさわり」させてくれたものです。このモルフは管理人の自宅のある州の問屋が最初に繁殖したとされているので、なんとなく親しみを感じていましたが、こうして直接手にとって間近に個体を見る機会は今までありませんでした。このモルフのヘビ達はブルーアイなのが特徴ですが、上の個体は(写真では見えにくいですが)半分ブルー、半分ブラックのオッドアイとなっていて、さらにもの珍しさが増していました。

 ところでレインボーボア本来の色彩や紋様がすごくイケていると思っている自分にとっては、こんな風にわざわざ真白にしてしまうのはポイントレスというか、なんかもったいない気もします。コロ虹はボールのようにシリーズでコンプする類の立ち位置には今後も入らないだろうし、高額な割に今後どういう展開が可能なのか不明な変異です。そういう意味では、コレクションの中で真の贅沢品となりえるモルフなのかも知れないですね。

2015年2月16日月曜日

※ブログのんびり更新のお知らせ


 ボランティア先のカパーヘッド。以前書いたかもしれないけれど、子猫を思わせるような、ペコちゃんと鬼太郎の猫娘を足して二で割った的なというか、どことなくコケティッシュな魅力を持った顔立ちの生き物です。魅力は表情のほかにもあります。どういうわけだか知らないけれど、このヘビは体臭がほのかに香ばしい気がするんですよね。例えていうなら、「どっか遠くの家が、パンを焼いているなと気付いた時」のような匂いです。アナコンダのように近くに行っただけで気力が衰えるような臭気を放つ(※)ヘビも居ますが、こんな不思議な匂い、いや香りを持ったヘビもいるんだなあと毎度通りすがるたびに感心しています。そうやって改めて見ると、どことなくパンっぽい色と質感のヘビですね。写真の様な北部の個体群は斑の陰影がより濃い傾向にあるので、丸まってたらカリカリベーコンパン的に見える可能性も、きっと無きにしもあらずでしょう。これは、もしも野外で見かけてもおっ!こんなところにパン♪と拾わないようにしないと。こちらの手が「パンパン」にされること請け合いなので。
 
 ※ヘビ本体と言うより、彼らがずっと漬物のように浸かっている水が臭いように思われる。



 そんなこんなで2月もあっという間に半ばを過ぎてしまいました。散歩道で爬虫類や両性類にほいほいと出会える季節はまだもう少し先ですが、外で鳥類や哺乳類などの様子を見ているともうすっかりと春の繁殖期に向けた行動に変わってきているのがわかり、自然界の春支度は、もうすでに始まっているんだと思わされる事が増えてきました。

 そんな中私個人はといえばどういうわけか急に多忙になってしまい、ここへきて体調不良も重なって、フィールドどころか近隣の散歩にも出られない日々が続いていました。こんな状態でさらに無謀にも犬を飼う計画まで立てちゃったりして(例の安全対策の一環として)、これから一体どうなってしまうのか見当も付かない状況なのですが、それら諸々条件変化の帰結として当面、ブログの更新がスローペースになることをご報告したく思い、エアー筆をとりました。

 とはいえ今後もエキスポ等に足を伸ばしたり、カエル・ウォッチや、生体カウントの手伝い等は出来る限り暇を見つけてやっていこうと考えているので、できればその合間、合間でなにかノートを残せればと思います。更新が不活発になるのに際して、ブログむらなどのリンクを外そうか検案しましたが、ここを通して知り合いになれた方も多い気がしているので、そのままにしておくことにしました。では、もしよろしかったら、今後もまたのんびりお付き合いいただけたら幸いです。

2015年2月12日木曜日

投薬終わりました。


 家のぺルビアンロングテールボア、通称「大きいロンギ」の投薬期間が終わりました。ここで根治してほしかったので、3日に1回2セットの注射のほかに、日に2回のミスティング、毎日ウェットシェルターの交換(ズボラ流に変更したので清掃がとてもらくになった)、温水浴強化月間として、週に2回くらいをめどに、衣装ケースで風呂に入れてやっていました。注射は片手でヘビを補綴しながらもう一方の手で場所を確認→打つとやっていたため、その間のドキュメンテーションが出来ず残念でしたが、最後の方は大分慣れてきて口に注射器のキャップを咥えながら、ちょっとした野戦病院か、ランボー気分が楽しめました(そんなシーンなかったと思うけど)。ヘビ本人は至って落ち着いており比較的元気ですが、ほぼひと月ほど何も食べていないのでやはり一回り小さくなった感があります。これからちょっとインターバルをおいて、少し強めに給餌をして、月末にあるフォローアップの検診までに体重を9割前後まで戻しておく事を、今後の目標としました。ロンギよ、ひとまずお疲れ様!このヘビはもともと非常に穏やかな性格の個体なんですが、毎度、痛いはずの注射にも怒りもせず、大人しく静かに頑張ってくれたので、毎回自分の血液検査の最中に、担当看護師に「今日のは素晴らしいね」「注射の腕が上がったんじゃない」とか、「今回は今一歩だったね」とゴチャゴチャ批評を加える癖のある管理人としては、見習うべき立派な手本を見せられた気がしました。あとは、次の検診でなんかおかしな菌が見つかったりしないことを祈りつつ。

2015年1月20日火曜日

誤解もたまにはいいもんだ


 世の中、迷信を持たれている生き物は数多くおり、その度合いも「毒がある(実は無毒)」ようなささいなものから「天候を操る」とか「殺すと呪われる」ような大がかりなものまで、様々だと思います。しかしこと爬虫類・両生類に関するものとなるとネガティブなものも多く、未だにそれがもとで命を絶たれてしまう生き物が沢山いることを思うと、とても残念です。実際、管理人も以前北東部の田舎に居た頃は、沢に出ると釣り人に踏み殺されたミスべヘビの子供をよく見かけました。地元民の間では、彼らは別種の毒蛇と混同され、毒があると思われていたためです(毒があったからって殺していい理由にはなりませんが)。そしてぺちゃんこになった仔ヘビに出会うたびに、野蛮な連中だぜ・・・ガッデームと毒づいていたんですが、そんな自分だって自宅で巨大森ゴキブリと対峙した日には、自らの左脳が「説明しよう!このゴキブリは日本の黒ゴキブリに200%酷似しているが本来森林にしか棲まない自然界の使者であり、大切な生態系の一員なのだ。ちなみにゴキブリは良質なタンパク質と各種脂肪酸に富んだ未来の食材でもあるのだ・・・・・・」と説くかたわら、勢いよく「メーン(右脳)」と丸めた新聞紙を振り下ろしているので、野蛮さという面においてはさほど変わりはありません。

 こんな迷信ですが場合によってはプラスに作用するケースもあるんだと、先日親戚のロシア人達の話を聞いていて思いました。曰くある夏、彼らが保養地のあるカスピ海沿岸部の街で宿をとったところ、部屋に大きなバルカンヘビガタトカゲ(ヨーロッパアシナシトカゲ)がニョロニョロと侵入して来たそうです。都会から来た彼らからしたらまったく馴染みのない生き物だし、何しろ美川憲一みたいな目をしていて気味が悪かったので叩いて追い出そうとしたところ、宿屋の主人やスタッフが「その生き物は宿を害獣から守ってくれるので、苛めないでくれ」と言いに来たと言います。しかし、この生物に馴染みのある方は気付いたかもしれませんが、このトカゲ、実は極めて非力で害獣と激しくファイトして、勝利する力などないんですね。やばいのは見た目だけで、実際の所は動けない鳥の雛や卵、小さな哺乳類の赤子や、弱そうな虫を追いかけまわして食べる位が関の山だろうと思われます。しかしその田舎町では「アシナシ=とても役に立つ生き物」というポジティブな迷信が浸透しているおかげで、彼らの生活と平穏は守られていたのです。

 迷信とは結局、我々人間の中のどこかの不条理で原始的なところからやってくるアイデアの数々であり、単に話の題材としては非常に面白いものがあります。しかし、勝手な思い込みで、良く知りもしない生き物を殺すことはやめたいですね。今日、こんなとりとめのない話をそもそも思い出したきっかけは、アホロテトカゲが地元民に大変恐れられているという話を小耳にはさんだことによります。なんでもこれらのトカゲは現地では人間が大草原で我慢がしきれず「大」をするハメになった時、後ろからこっそりやってきて尻の穴から人体に侵入し、内臓を食い破ってバラバラにし、襲われた人間はゆっくりとしかし確実に恥ずかしすぎる死を迎えると信じられているのだそうです。腹を抱えて笑ってしまいましたが、こんなふうに畏怖の対象になることで、彼らの静かな生活が守られるのだから、概ねいいことのように思います。

2015年1月11日日曜日

ボアコンの投薬開始

「いいブツが入ってますぜ、旦那」

 一年前、微妙に体調を崩して病院にかかった当宅のぺルビアンロングテールボア、通称「大きいロンギ」ですが、以降飼育環境の改善に努めてきたものの、その健康状態にはぼんやりとした不安感というか、「なんとなくパーフェクトではない感」が漂っていました。結果、今週受けたフォローアップの検診でやはり上気道の感染症が根治していない事がわかり、今後何かの拍子に悪化する可能性があること、また生体の活発さや肉づき等、状態自体はとてもよく治療に十分耐えられることを踏まえて、投薬に踏み切ることになりました。処方されたのはエキゾチックアニマルの間ではよく使われる二種類の抗生剤(写真上、これで一種類・3週間分。もう一種類は冷凍庫の中)で、筋肉注射になるので、なるべく刺激が少ない薬を処方してもらいました。

 困ったのは「あなた自分で出来るでしょ」と、全ての投薬注射を自宅でやることになった点です。針を入れる場所は頸部のちょっと後ろの方にするのですが、今までヘビの首がどの辺なのかなどとは考えたこともなく、「変な所に差しちゃったらどうするべ」という不安感と共に、今若干及び腰になっています。うちのヘビの場合、独立してから3番目のサドル周辺がその場所にあたるようで、ボアコンは柄があるから助かるものの、無地のヘビだったらたぶん慣れるまで全然分からなかったであろうと思われました。


 検診中の一コマ。もうすぐ脱皮期間に入るのでちょっと色味などがぼろかったのが残念ですが、今回も全く人手を煩わせることなくいわれた通りに計りに乗ったり、綿棒でチョンしただけで大人しく口を開けたりして、獣医師の先生に喜ばれていた。因みに前回、「これは爬虫類医療の現場において革新的アイテム」と絶賛された「日本の洗濯ネット」は今回も再び絶賛され、米国アマゾン経由で購入できるかどうかが、真剣な話題になっていた。補綴してくれているのはベテランのセルビア系の美人看護師、彼女を見るのが楽しみでこの病院に来ている熟達したいきものの扱いに、いつも自然と感謝の気持ちがわいてきます。大きいロンギよ、これから一ヶ月、一緒にがんばろう。

2014年12月20日土曜日

スナボアの近況


 ぷん太郎(♀)のケージにも雪が積もる季節になりました。

 というのは冗談で、チチュウカイヤモリのミニテラリウム用に購入した砂の余りを、スナボアにも入れてやった所の写真です。管理人がジャベリンスナボアだと信じているこのヘビ、WCならば、遠い昔こんな光景が本当にあったかもしれないと思うと、わくわくするような、少し切ないような、微妙な感覚に陥ります。ただCBという可能性もあるので、全ての想像は=妄想なのですが。

 ぷん太郎はもうすぐうちに来て3年目を迎えますが、環境に十分に馴染んだらしく最近何となくピカピカしてきました。そこでどこかにいいオスでもいたらいいなとたまに思うのですが、そもそもあまり流通量のないスナボア、加えてこの個体は種類もオリジンもあやふやなので、将来的にもし子供が出来てももらいてがないかもしれません。自分が販売者から聞いたぷん太郎にまつわる情報は、「おそらく」今までに2回下取りに出されていて、CB「かもしれない」「ロシアスナボア」のメスで南シベリア産「らしい」というものだけで、真相は本ヘビのみぞ知るという状況なのです。

 このヘビを見ていると、WCの両・爬のペットトレードの世界では、生体の出自やローカリティなどの正確な情報を提供する、信頼に足るようなシステムがなく、生き物を買う側にとっては結局の所供給者(輸入者やお店)による口伝えや、書面というアナログな手法で伝えられたデータしか、頼れるものがないことを残念に思います。そのような情報は時間とともに失われる可能性もあるし、またどんなに信頼できる会社やお店でも、手違いが起きる事もあるでしょう。そのため極論を言えば、現段階では、WCの生物は野外採集されてペットトレードに乗ったとたん正確な個体情報が失われる一方となり、たとえ生きもの自体としては元気に生きていたとしても、その種・亜種としては「死んだ」状態になっていきます。「死んだ」というのはその個体が将来的にその種・亜種のために貢献する可能性が、限りなくゼロに近くなったという意味です。

 しかし野生の生き物という天然資源が減少傾向にある事や、爬虫類や両生類が非常に長命な生き物だという事を鑑みると、愛好家個人個人が好きで細々と系統維持していた生き物が、我々の趣味を持続可能なものにしていくだけでなく、遠い将来種の保存などにおいて重要な役割を果たすようになる日が、絶対に来ないとは言い切れないのではないかと思うのです。突飛なアイデアに聞こえるかもしれないけれど、希少種のカメなどでは既に一般人のペットを保護団体が買い上げて、繁殖プログラムに取り入れるなどの動きは出てきています。(※ここから先は長い退屈なウンチクになるので、アップするか迷いましたが、日ごろWCの動物に関わりがあって、且つ時間のある人には面白いかもしれない話題だと思ったので、追記にしました。もっと読むのボタンから読めます)。

2014年12月13日土曜日

電球、今年の繁殖成績

 前回のウールマットの話に関して、コメントやグーグルの+、ブログむらのクリックなど、さまざまな反響をいただけ、大変ありがたく思いました。とても励みになりました。ひとつだけ補足したいことがあります。該当記事のコメントでも少し触れていますが、ウールマットはものによっては繊維が強いと感じるものがあるので、両生類の幼体や、サラマンダーでもあまり小型のもの、地面に潜っていくタイプの種類に使う時は注意が必要かもしれないと思いました。もちろん皆さんそれぞれのやり方があると思うので、おせっかいかなとは思いましたが、事故があってからではいけないので。このような生き物の場合は、代替案としては薄切りスポンジや業務用ペーパータオル(できれば漂泊してないもの)などをよく水にさらしてから使えば、手軽ですし、見た目はあまり良くないですが頻繁に取り換えられるので便利です。


 そんなこんなで今年もあと十数日を残す程度となってしまいました。日ごろかなり怠慢な管理人ですが、今年は思う所があり、作業部屋兼・爬虫類部屋の大掃除ならびに模様替えを開始しました。まずは積みあがった道具類・有象無象の整理からはじめ、昨日書籍の大箱と、工具類の大箱を運び終えたので、今日は空いたスペースに爬虫類関係の気狂い器具類を整理整頓するため、手始めに部屋の各所で跳梁跋扈していた電球たちをひとところに集結させました。

これをアップしたあと 新品のソケットと電球もうふたつ出てきました。

 で、出てきた電球の数を見て愕然としたんですが、こんなに買ってきた覚えないんですね。うちには現在、保温が必要な動物はヘビ4頭、極小ヤモリ1匹の計5匹しかいない上、そのうち2匹は同じランプをシェアしているので、予備の電球は最大8こあれば事足ります。しかし、今日こうして出てきた電球の数を数えてみたら、20個ちかくありました。どう考えても電球が自然繁殖してるとしか考えられません。しかもこれみんな新品なんですね。ズーメッドで沢山買い物するともらえる「ありがとうシール」みたいなのまで出てきたし・・・・・・。

 なぜこんな風になってしまったかと言えば、理由はうすうす分かってるんですが、管理人、趣味にまつわる道具類で何か新しいものが出ると脊髄反射的に買う癖があります。中でも得意なのは電球です(カラスか)。しかも買ってすぐに強力な痴呆を発揮して、買ったことを忘れてしまいます。当然、どこに収納したかまで忘れてしまうので、消しゴムよろしく、いつも必要な時に限って必ず出てこず、新しいものをまた買いに行く→忘れる→なくす→買う、この無限サイクルとなってしまいます。あなや。

 さらに、特定の物品の、特定の型が気に入ると、全く同じものでもいくつも買ってしまう癖も、この問題を根深くします。今回はそれで電球のほかに全く同じ防塵マスクが4つと、全く同じ色・型番の大型プラケも数個出てきました。誰も使ってないのに流木がゴロゴロ出てくるのもおかしいな。誤解を招かないように書くと、本人に物欲は殆どありませんしいわゆる収集癖もないので、やはりこの強力な痴呆が問題の核心かと思われます。

 一方たまに掃除すると、面白いものが出てきて楽しいこともあります。今回、爬虫類にまつわるものでは、ウィバリウムガイドの1号(←写真左)が出てきましたよ。本家のビバリウムガイドは布教用に実家に残してきたにもかかわらず、なぜかこれだけが海を越えてやってきたと思うと、可笑しいですね。たぶん全米くまなく探しても、ウィバリウムガイドを持っているのは自分だけでしょう、感動で胸が「じ~ん」と熱くなります。物品の「レアさ」とは、こんなにも相対的なものなのかと。

 ウィバガの下に畳んであるのは、引っ越す時に友人がくれた「野毛山動物園のカメ手ぬぐい」です。絵柄が可愛らしいのでずっと壁にかけてあった(飾ってるつもり)のですが、これを期に、グッズ置き場としてどこか所定の場所を作れればと思います。この手ぬぐいもきっとアメリカ中探しても、なかなか見つからないでしょう(じ~ん)。では、無駄話はこのくらいにして、また掃除に戻りたいと思います。

2014年12月11日木曜日

もう、ミズゴケには頼らない(年金にも)


 このブログでもリンクしていただいている、「自然と遊ぶ」のSigeさんが、日本のヒキガエルの冬眠床 を作る時床材の一部に水槽の濾過機用マット材を使っているのを拝見したのがきっかけで、これはボアコン用のウェットシェルターにも転用できるかもしれないと思い、やってみました。材料は・・・・・・、ともったいぶるのもばからしいくらい単純なアイデアなので、よかったら上の写真を見てください。濾過機に挿入するウールマットを定型に切り、きれいな水をひたひたに入れて使うだけです。本当は汚れが見やすいように白色のマットが良かったのですが、近所のサプライショップには青いのしか売っていなかったので、それを使っています。ボアコンはある程度厚みのある材の方を好むと思うので、薄いマットしか手に入らなかった時は最低でも3センチ分位になるように重ねると良いと思います。(※安全上の補足事項があります)。


 人間に対しては一番よそよそしいウダ美ですが・・・こういう新しい仕掛けを作ると真っ先にやってきて使ってくれるのが、彼女の良い所であります(脱皮前なせいか?)。このブログを書いている時点で設置から1週間ほど経過を見ているのですが、うちにいるボアコン3頭とも普通に活用してくれているようです。水分もしっかり蒸発してるらしく、ケージに手を入れるとほっこりとしています。

 ウェットシェルターの敷材については、管理人の場合、今までいろいろな紆余曲折がありました。理想を言えば100%ミズゴケが良いのですが、大きなヘビだと一度に沢山使うし、再利用できないので、しょっちゅう変えてやろうと思うととても高くつきます。ミズゴケはまた、自然な色合いが良い感じな一方、知らない間に不衛生になっていても分かりにくいのも気になっていました。それで代わりとなる様な素材として布(タオル地)やスポンジ、小さく切った人工芝、玉砂利、くしゃくしゃにしたペーパータオルなどなど順番に色々試していたのですが、保水力に難があったり、水分がほどよく蒸散してくれなかったり、ヘビが嫌がって入らなかったり・・・重かったり掃除が面倒だったり・・・と、なかなかうまい事ぴったりくる材が見つかっていなかったので、今回のウールマットはかなりイケている!と自画自賛しているわけなのですね。洗濯ネットに入れて洗えるし。

 我が家では今年の頭に大きいロンギが少し体調を崩したこともあり(実は今でも若干の健康不安が残っている)、湿度対策だけでなく、水分補給のやりかた全体的にけっこう頭を悩ましてきました。なにより、獣医師のアドバイスを聞いたり、また自分でもこの一年頻繁に南米産の生き物と接し、多くの時間を彼らのいる環境の中で過ごしてみて、ボア類をはじめ熱帯のヘビ達の好む水の摂り方が少しづつ掴めてきていたので、それと比較して自分が自宅で用意してやれる環境では理想とは程遠く、結構フラストレーションがたまっていました。まず、自然に近い環境の中にいるこれらのヘビ達は、喉が本当にカラカラで他に選択肢がない時を除いて、基本的に水入れの水はほとんど飲まないことに気付きました。そのかわり、水遣りの時一時的にできる細い流れのようにチョロチョロしている水を好んだり、雨の様にサーっと体に水分が滴っている状態、しかもそれが一定時間続くと、おもむろにその水を飲みだしたりします。でもそれは、彼らの感覚で考えると当然の事なんですね。自分がもしもヘビでジャングルに暮らしていたなら、手近な場所で比較的安全に手に入る最も新鮮な水のソースは、例えば隠れ家の壁をつたってくる雨水などだと思います。だから、そういうのに似た状況で水分補給をしようとするのは、全く自然なことと言えます。でもそうすると、ボアコンだってイグアナやカメレオンみたいにケージにミスターや、ドリッパーがあった方がいいのだろうかとか、色々考えてしまうわけです。ちょっと話がウェットシェルターから逸れすぎましたが、こういう細かい工夫の積み重ねによって、ペットたちの生活環境が多少マシになっていく可能性があるので、たまに考えてみる価値はあるような気がします。

2014年12月5日金曜日

誰にでも逆鱗はある


 ハイポボアのレルモントフが脱皮して、ぺちゃんこにのされた脱皮殻がケージの床にくっついてしまった(なぜ?)ので、丁度いい機会とばかりに巣材を全て取りのけて大掃除を行う事にしました。ケージの半分の床拭きプロセスが終わったので、今度はもう半分の方へ・・・とヘビに被せておいた業務用ペーパータオルをのけてみたらあらビックリ、なんと無茶苦茶怒っていた(写真上)。しかも噴気音抜きで即バンと来る方の怒り方で。このヘビはうちへ来て二年以上経つけれど、本当に何をされても怒るという事がなかったのでちょっと驚いた。人間と同じく、ふだんどんなに大人しいとされる個体にも、怒りのツボはあるんですね。気を付けたいと思います。

2014年11月20日木曜日

「女の子のための飼い方ブック」


 「猫と一緒に暮らす女の子のための飼い方ブック」という新しい本がアマゾンで売られていた。オビを見ると「一人暮らしでも 旅行に行っても 仕事をしていても 結婚・出産しても 大丈夫! あなたの毎日をHappyにしてくれる猫を飼おう!」と書いてある。そこで世の不公平に敏感な管理人は、爬虫類バージョンのカバーを作成した(↗)。被写体は、自分の身近にいるなかで最もコネコに似ている爬虫類だと思った、動物園のカパーヘッドをチョイス。さあ、表紙はできたので、あとはどなたか内容のほうをお願いします(笑)。また、女性向けだけだとフェアじゃないので、「爬虫類と一緒に暮らす女の子の飼い方ブック」という、男性向けの続編もできればよろしくお願いします。

 冗談はさておき、生き物を飼うという事を「女性のための」という目線で見るのは、もしかしたらけっこう画期的なのかもしれない。「仕事」に「旅行」に「結婚・出産」にと、並べれば確かにかなり忙しそうだし、そんな忙しい時間割の中にメンテナンスの時間を捻じ込んでいき、さらに能率的に癒されようと思ったら、こうした指南書も時には必要なのかもしれない。ただ個人的に、そんなに忙しいならば哺乳類は諦めて、なんかの幼虫でも育てたらどうだろうかと思う。例えばモンシロチョウとかアゲハのアオムシはネコや爬虫類と違って子供をひっかいたり、かみついたりする可能性もないし、場所も取らないし、医療費も、光熱費も、水道代も食費もかからない(食草をむしってくるだけ)。そのうえ、最後チョウチョになって飛び立つ時にはどえらい感動がある。家で沢山飼えば、葉っぱをかじるサワサワという音に癒される。冬は一切世話をしなくていいから、それまで一年間後回しになってきた自分の事をできる。昆虫は、一部を除いてアレルゲンも殆どなく、人畜感染症の危険もないので、乳幼児がいても安心だ。それに、多分工夫次第で「オシャレに飼う」ことも出来る。そしてそして、最終的に自宅のまわりに昆虫の数が増えることは、多分周辺環境にとってもいいし、エコだ。そんな事から管理人はつねづね、時代は哺乳類よりも、爬虫類よりも、むしろアオムシを求めている!と感じているのだが、これは多分、「猫と一緒に暮らす女の子」の方々からも、「爬虫類と一緒に暮らす女の子」の方々からも、相手にされない発想だという事は分かっている。


2014年11月16日日曜日

最後の一枚


 写真に対して「その場の情景がだいたい伝わればOK」という、恥ずかしいくらい低いハードルを設定している管理人は、携帯カメラを愛用しています。ただやはり細かいところまでちゃんと撮りたいなと思う時、コンデジ以上の能力があるカメラがあると便利ですよね。それで以前は野歩き、山歩きの際に三脚と一眼をブラブラさせながら行っていたこともあったのですが、最終的にここ3年ほどは、軽くて持ち運びやすいソニーのデジイチに落ち着いていました。上の写真は3年間、たまに土まみれや釣り餌まみれになったりしながら頑張ってくれた、そのカメラで撮った最後の一枚。これを撮った直後また野歩きに出かけたのですが、バックパックの中がどうにも騒がしいと思って開けてみれば、消毒用ゲルのボトルによる自爆テロが行われた直後でした。ポケット一枚挟んで物陰に隠れていたこのデジイチ君は地図やメモパッドなどの仲間達と共に全身にゲルを浴び、儚くフィールドに散っていったのであります。

 それにしても今年の、管理人の電化製品運の無さたるや。このデジカメもそうだし、アイパッドも2枚割ったし、でっかいパワーサンも1個、ちょっと笑えるくらい木端微塵になったし(しかもより高価なソケットからショートさせた)。奮発して買ったエスプレッソマシーンもめげたし、パソコンも総取り替えになり、買ったばかりで喜んでいたアイフォンも翌日速攻で石の床に落として、見事に欠けました。なんだか今書いていて「今年はお金がないナァ」と漠然と思っていた訳が分かりました。そうそう、そして極め付けは今朝、愛車にキーを差し込んだら、寒さでバッテリーが中途半端に上がってたらしく、車内に入ってきたアイドリングのガスで死にかけ&涙ちょちょ切れたという。無暗に走ってエンジンを痛めたくないので、さっきレッカー車を呼んだ所です ←今ココ

 不幸自慢はこの辺にしますが、こうして並べてみるとやはり大殺界なのかという気がいたしますね。母親がアメリカまでわざわざ電話して教えてくれたんで間違いないのですが、管理人は「火星人」というやつで、今年の運勢は実に最悪なのだそうです。因みに美輪明宏や、美川憲一、ピーター 、マツコ・デラックスや ミッツ・マングローブ も火星人なんだとか。オカマのご加護がありそうな星回りなんですねえ。何だか納得してしまいました。では、お迎え(レッカー車)が来たようなので今日はこのあたりで。

2014年11月12日水曜日

かわ・ハラー「かわいい」と言う問題

人間の考える動物界における「かわいい概念」の代表例 - 砂のお風呂に入る、宅のハムスター


 ヒトが生き物を「かわいい」と言う時、それは同時に「かわいくない」生き物の存在を暗示する。例えば一般社会でいえば、上の写真の様なハムスターは「かわいい」とされる。小さくて、白っぽくやわらかい毛並みがふかふかで、足が短く黒目がくりくりしていて、木の実や葉っぱを食べ、人間と仲良しだからだ。一方、「かわいくない」生き物の典型的なものは、だいたい今挙げた形容詞の逆を考えると分かりやすい。即ち、大きかったり、黒っぽくて、節くれだった足をゴソゴソとさせ、瞳はギラギラと闇夜に輝き、固い毛並みかもしくは無毛で、食事は血や肉を貪り、人になつかない。生き物を「かわいい」と言う時、私達は無意識のうちに自分達にとっての良し悪しの判断を下しているのである。自然物である生物に対して「いい」と「わるい」を、自分の尺度で勝手に裁いているという事になる。

 我々の大好きな両生類や爬虫類の場合、どことなく親近感を感じさせるカメやカラフルなカエル、半分家畜化された一部のヘビ、トカゲ、ヤモリなどの場合はまだマシだと言えるけれども、それでも一般的には「かわいくない」に分類される生き物達だ。「かわいい」という言葉は本来、言い手の存在を脅かす可能性が低そうで立場的にも劣勢のものに対して使われ易い言葉なので、「ひょっとすると脅威になる得るかも」と想像をかきたてる両爬の場合、根本的に不利だ。もちろん「かわいい」のセンスは千差万別なので彼らにも愛好家が沢山いるが、中には逆を行って、この両生類や爬虫類が世間で「かわいくない」とされている前提を踏まえ、だからこそ好きなのではないかと思わされる人も存在する。「かわいくない」「こわい」とされている生き物を愛でている自分、という構図を作ることが目的の人も居るかも知れない。そんな時、両・爬は自意識補完薬としても作用するのだ。

 話をもとにもどすと、このように「かわいい」というアイデアはかなり主観的かつ、自動的に「かわいくない」側への差別を促すという倫理上の欠点がある。これには実害もあって、最近読んだこの話によると、たとえば自然環境や、生物種の保護活動においても、人々の関心や寄付は「かわいい」「きれいな」動物・・・例えばトラやクジラ、パンダやウミガメ、ホッキョクグマなどに集中し、それらの動物の存在を根底からささえる「縁の下の力持ち」の、小さな植物の仲間や昆虫類、クモ類、ヘビやカエルなどは無視される傾向にあるという。この現象は、人間の美的感覚が巡り巡って生物の多様性を失わせる可能性があることを示唆していて、危惧されることなのだ。

 まとめると、何かの生き物を見て「かわいい」という事は、スーパー上から目線なだけでなく、自然の神秘漲る「環境」に対して我々ヒトの粗末な尺度を押し付け、あわよくばその良し悪しを判定してやろうと考える傲慢、さらに「悪し」の側に分類されようものならいつの間にか滅びてようが知ったこっちゃねーという、あんまりな人類の暗黒面の発露となりかねないのである(※あくまで管理人個人の考えです)。よって今日、生き物に対して安易に「かわいい」という事は、ハラスメントの一種であると勝手に決定した所存であります。生き物をやたらと可愛さメインで語っていくことがあたかもめちゃめちゃ恥ずかしいことみたいな社会通念を作りませんか。本能を抑え込む最もパワフルな原動力は「恥ずかしいと思うきもち」だと思うので。

 しかしなんで、ここまでガタガタと能書きを書いたあげく両爬虫類の大大大の味方である管理人がロボロフスキーハムスターを3匹も飼っているのか、それはもう、理屈抜きでかわいいから生き物として大変興味深いからです。

一般論的「かわいくない」の一例、バルカンヘビガタトカゲ(Ophisaurus apodus)

お願いだからそんな目でこっちを見なさんな。

2014年11月3日月曜日

朗報・・・?アミメの単為生殖

単為生殖するなら・・・飼ってあげてもよろしくてよ

 アミメニシキヘビが単為生殖することが、世界で初めて確認されたとか。日本語版のナショジオにも詳しいストーリーが載っているので、詳細はそちらを参考にしてほしいが、大まかな内容をまとめると、アメリカの動物園で生れてから11年間オスとの一切の接触もなく暮らしてきたアミメニシキヘビのメスが突然61個の卵を産み、なんとそのうち6個からメスの仔が孵ったという。仔の遺伝情報を調べたところ、メス親と同じことだったことから単為生殖したことが確定されたというもの。これは全アミメ飼育者にとっては朗報・・・なのだろうか?今回殖えたメス親は全長7メートル弱、体重100キロちかくある個体だという。荒ぶる丸太ん棒のようなアミメ達が、さらに自力で増えられるというのは、個人的にはどちらかというとホラーに近い話である。

 注目したいのは、記事内でも言及されているように、以前から進化的新奇性と見なされていた両生類・爬虫類の単為生殖が従来考えてこられたよりもかなり一般的であるというのが、だんだん解き明かされてきているという点。コモドオオトカゲが単為生殖出来ると確かめられた時の驚きは、まだまだ記憶に新しいし、日本ではオガサワラヤモリやメクラヘビの一部なども単為生殖することで知られ、ほかにも国内でミズオオトカゲが単為生殖したとされる例ある。種によっては、単為生殖で生まれた子が親と全く同じ遺伝子セットを2つ備えることになるため、親に色彩モルフがあった場合スーパー体になるなどの不思議な事が起こるのも、日ごろから世話をしていた者にとっては嬉しいサプライズとなるのではないだろうか。

 にしてもアミメでこの調子ということは、ボールも単為生殖したりしないかな。今日の写真は、前から密かにかわいい思ってたブリーダーさんの、エンペラーピンのメスなんですが・・・。買ってきて、じーっと眺めていればそのうち増えてくれたりするのでしょうか。そしたら生れた仔を売って、ボール御殿を建てようぞ。って、動機が不純すぎるか。

2014年10月31日金曜日

歳をとった生体の世話について、気付いたこといくつか

ある日の近所の公園にて

 管理人が初めてペット店から買ってきたガータースネークは、今思えばたいした世話もしなかったのに11年ほど生きてくれた。連れてこられた当時、そのヘビは既に亜生体以上の大きさだったので、ひょっとするともっと年をとっていたのかも知れなかった。ガータースネークはヘビとしては比較的寿命の短いグループなため、最後の頃は鱗の感じや動きも明らかに「おばあちゃん」という風になり、食欲はあったがだんだんに空気が抜けたようになって、そして枯れ葉が枝からぱらっと落ちるような感じで死んでいった。両生類、爬虫類は時に、びっくりするほど長い月日を生きる。飼育下にある場合、野生での平均的な寿命を超越して長生きすることもしばしばある。このことを思い出すきっかけになったのは、最近動物園で老齢個体の世話を手伝う機会が多くなった事だ。基本的に一匹一匹が沢山の適切なケアを受け、大切にメンテナンスされるそういう場所では生体はとても長生きで、40年近く園で展示動物として働いている(?)カメやトカゲやヘビなどがざらにいる。そしてそれを取り巻く人達も、彼らが最後まで生命を全うできるよう、色んな工夫を凝らしていることを知った。その中から4つ、重要かと思うポイントをメモした。最近、飼っている生き物がなんとなく年をとってきたなあと感じる他の飼育者の参考にもなるかもしれない。高齢の両生類・爬虫類のケアは、管理人が興味を持っていることのひとつでもあるので、今後も新たに思いだした事があれば付け足す。

1.ハンディキャップがある

 歳をとると出来ないことが多くなるのは人間と全く同じ。比較的よく見るのが、目が見えなくなる個体。ヘビなどに多いが、外見的に明らかに水晶体が混濁しているものの他に、見た目はあまり変わりないのに実は見えてないというケースもある。両爬虫類は優れた嗅覚を持つものが多いのでそれでも問題なく生きていける事が多いが、念のため餌や水は口の前まで持っていって、きちんと摂れているか毎回確認することが必要になる。また熱を感知できるボア・パイソンの仲間は、視覚を失ったことによって餌と人の手の区別がよりつきにくくなる場合もあるので注意する。

 筋力の低下や関節炎も比較的よく見られる。これは特に樹上棲種において問題になる。体をうまく支えられなくなったり、関節にかかるプレッシャーが不快感になって、のぼり木などにあまり登りたがらなくなる個体もある。その場合、ケージ内容は模様替えをして、バリアフリーなレイアウトにし、わざわざ木に登らなくてもバスキング出来るようにしたり、水入れは浅くしてすべり防止の為に中に人工芝を入れてみたり、工夫する。樹上棲ヤモリなどは、平らな面が地面と水平になるように設置した角材を入れたりして、楽にとまっていられるようにする。

 かなり老化が進んでくると、多くの個体はハイドボックスの中など特定の場所で静かに一日を過ごすようになり、糞もそのままそこでしてしまったりするようになる。不衛生にならないように、数日に一度は個体を動かして下に汚物がないか確認する(ついでに軽くハンドリングして体をほぐしてやる)。脱皮等も失敗しやすくなるので手伝う。

2.水分は全てを助ける

 仮に乾燥地帯出身の生き物であっても、水分補給は頻繁に(できれば毎日)行う。水入れの器の水換えをするだけでなく、霧吹きなどで軽くミスティングをする。適切な水分補給は呼吸器や循環器、泌尿器などの負担を軽減するだけでなく、先に書いた脱皮不全などを予防することにもなるので、個体が若かった時以上に気を付ける。蒸れには注意する。

3.食餌内容に気を付ける

 牙やクチバシの角質が摩耗して、上手にエサが取れなくなる個体が出てくる。歯が定期的に抜け落ちるタイプの生物も、再生速度が遅くなるので、そのような状態であっても食べられるようにエサの内容を検討する。本来の生態に即した餌を控えめ・こまめに与えることが重要になる。両生類などは特に、なるべく代謝を一定に保つようにする。

4.苦痛を取り除く

 最初に少し書いたように、生体が野生での平均寿命を大幅に超えて生きていると、普通では見られなかったような障害や、病気にかかるようになったりする。腫瘍などはその代表選手かもしれない。明らかにコブの様に盛り上がってくる腫瘍などは特に、触るとどことなく苦痛を感じているようなそぶりを見せる個体も居るので、なるべく触らないようにし、程度によっては治療、または安楽死の選択も必要になるかもしれない。

2014年10月27日月曜日

永遠なれ、農家の心


 近所の道を通るたびに街路樹の色が紅葉でどんどん変わっていく季節になった。イベントシーズン到来である。爬虫類のイベントはこれから冬にかけて小休止というところだけれど、空いたスペースに管理人の内緒の趣味(別に内緒にする必要は全くないのだが)でもある産業動物、不動産、銃火器等のショーが入るので、出かける頻度にはあまり変化がない。先週末は、多分今年最後になるだろう爬虫類の即売会と、古本市にて欲しかったイモリ・サラマンダー関係の本を掘り起こし、その後犬と馬の競技会を少し見てきた。

 南に150キロほど下った地方の中規模都市で行われた爬虫類の即売会はここ3年ほどで目に見えて規模が小さくなった。売られている動物も八割がたがコーンスネークか、ボールパイソンか、フトアゴヒゲトカゲに変わった。多分それしか売れないのだろう。記憶のある限り遡れば以前は面白いアジアのヘビ等を売っていたブリーダーも、このごろは明らかにブリーディングストックと思われる個体達を売りに出しており、当歳のヘビ達は皆コーンスネークだった。ヨーロッパと違い、アメリカの爬虫類の即売会は生き物が売れなくなると比較的賑わいを見せていたイベントでもさっぱりと中止になったりするので、苦肉の策なのかもしれない。日本でも主要都市への人口流入と地方の過疎化という傾向が止まらずに問題化しているが、こちらアメリカでも、いわゆる一般庶民の「体感景気」のイマイチさが長く続いているので、雇用を求めた若者がなんとなく都市部の方へ移動してしまい、こんなふうに地方のホビー文化的活性は低くなっている場面を目にする。


 「いいコーンとれたよ、持ってきな」風に大小色とりどりのコーンスネークを見せてくれたおじさん。写真からこのおじさんだけを抜き出して、背景を青々とした畑に変え、手に持っているものをナスとか、トマトとか、チーズやハムに変えても成り立ちそうなところがちょっと面白い。こういう場面で、爬虫類に限らずペットのブリーディングとはどこかしら農業に通じる、「農民の趣味」なのだと感じる。毎日コツコツと田畑を耕し、牛に干し草をやる事と、ヘビのペーパータオルを換えることは、概念的には似ている。そのこつこつとした日々の帰結として毎年訪れる収穫の喜びが、現代人の中の眠れる農民魂を刺激するのだ。

2014年10月12日日曜日

ガサガサ活動 その四

Carphophis amoenus amoenus

 週末、隣州の雑木林でガサガサ活動。湿った落ち葉溜まりでほっこりしていたイースタンワームスネークを見つけたので無理矢理ひっぱりだしたところ、ヘビなのに明らかに涙目になっていた。(自分でやったくせに)何かかわいそう、と気の毒になった・・・次の瞬間!臭腺から何か分泌物を出したらしく、何とも言えない匂いがあたり一帯に漂った。ナミヘビのムスク的な匂いとは似て非なる、例えて言うならケガした所にバンドエイドを貼ったことを忘れて水仕事をし、うっかり蒸れちゃった傷口みたいな、有機的としかいいようがなく、くさいと言えばくさい、だが何となくもう一度嗅ぎたくなるような匂い(笑)。この分泌物、意外としつこくて洗ってもアルコール綿で拭いてもなかなか落ちず、帰りの運転中も気が散って散って仕方がなかった。仮にもしこれで事故った場合、イースタンワームスネークの種ステータスが「無害」から「死者1」に変更になるのか、とか、もしそうなら自分の墓石にワームスネークの絵を彫ってほしいとか、こんな変なヘビを見たおかげでどうでもいい変なことばかり考えてしまった午後だった。