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2017年3月31日金曜日

活動報告

Thamnophis sirtalis sirtalis


 ご無沙汰しております。北バージニアより今日とれたてのイースタンガーターヘビの写真をば(クリックで少し大きくなります)。例の如く、写真では見にくいですがこれ、個人的にガーターの一番好きな体色の傾向です。こうして外で春先の複雑な光を受けていると、「蛍光グリーン」というか、もうそれ自体が発光してるんではないかと思うくらい綺麗に見えるのですけどね~・・・、家に持って帰って飼育ケースなどに入れるとただの「色褪せた黄色っぽいガーター」になってしまって、籠に入れたら茶色くなってしまうあの童話の「青い鳥」に出てくる鳥を彷彿とさせます。

 この場所ではほかに姿は見えないものの、ピッカレルガエル(Lithobates palustris-ヒョウガエルに似てる中型のけっこうきれいなカエル)の、耳を澄まさないと聞こえないワビサビ系のコールも少し聞こえてきて感動した半面、期待していた水辺のサラマンダーはただの1匹も見つけることが出来ませんでした。こういうことがあると、何らかの理由で湧き水の量が減ってしまったのではないか?とか、どこかの家の庭から化学肥料が流れ込んで水質が変わってしまったのではないか?とかすぐ悪い方に考えて人生に絶望してしまうので(笑)、また出来たら若干気候条件の違う日に再挑戦して、何か収穫があることに期待したいと思います。

 さて体重12キロ近くにまで成長した恐竜を体にくくりつけてフィールドグッズをしょって、寒い中大汗をかきながらなぜにこうして歩き回っていたかというと、今自宅で作成している文章にどうしても付け足したい写真を撮りに行っていたのでした。恐竜は生後1年半を迎えますます活発で、最近は微妙に人間の言葉を発するようになってきており、管理人が藪に手を突っ込んだり倒木をひっくり返したりする度に「いた!いた!」とか、「でかい!」等と(対象のいきものがいるかどうかとは関係なく)自分の口真似をしてくるので、なかなか生き物探しに集中することが出来ません。そんな状況にも負けず一生懸命したためている文章ですが、そのうちどこかでお披露目出来るかもしれませんので、その場合はまたこちらにて告知させていただけたらと思います。



2016年3月11日金曜日

ガーターヘビ



 写真上は今朝の午前10時、気温17℃の散歩道で見つけたイースタンガーターヘビ。アスファルトの上にぴちーっと張り付いてバスキングしていたところへ自分達がやってきたので、ハッ!としてシュッと縮まり舌チョロしている所(←ニュアンスすぎ)。このあと威嚇体勢をとって積極的に噛もうとしてきました。

 このへんではおおまかにわけると2パターンの外見をしたガーターヘビがいるように思います。ひとつは上の写真みたいな、クラシックなコモンガーターのパターンをしたもの。ちょっと青みがかったヘビが多い気がします。上のヘビもケータイカメラにはきちんと写りませんでしたが、腹へかけての鱗とその間の皮膚がうっすらと空色をしておりけっこう綺麗な個体でした。冬眠明けなのになかなか肉付きの良い美人です。コモンガーターは月末位から繁殖期に入りますが、今年は暖かい(というかもう暑いくらい)ので、ちょっと早めに出てきてお色直ししている感じでしょうか。これからウッドフロッグ(アメリカのアカガエル)やサザンレオパードフロッグ(ヒョウガエル)の繁殖が最盛期を迎えてオタマジャクシが沸きにわいてくるので、彼女もその子供達も将来安泰ですね。




 ほで、こちらがもう一方、茶褐色のタテ線タイプ。こちらはコモンタイプの写真を撮った場所から数キロの湖のはたの遊歩道で見つけました。本当に同じ種類?と思うくらい異なって見えます。

 これの写真を撮っている時車で通りかかったおっちゃんがいきなり窓から顔を出し「おお!リボンヘビだろ!子供の頃よ~飼ったわ。」と言って走り去っていった(笑)。しかしおっちゃんの勘違いも頷けるというか、ほんとに一見リボンヘビに見えるカラーリングです。それに生活スタイルも餌も殆どまるかぶりなので、ずっと勘違いしたままでも普通に飼えてしまうという。そんな彼らなので以前はガーターヘビとリボンヘビのハーフっていう可能性はあるのか?などと思っていたこともあります。突飛な考えにしても、生存競争上もっとも効率の良いパターンのひとつだというのは間違いなさそうです。そういえば先月末付けで、彼らイースタンガーターヘビは我がバージニア州の「州蛇」に任命されたそうな。本来なら歴史的にも意味を持つガラガラヘビが選ばれそうなところを、州知事に自ら出向いてロビー活動をしていた「ガーターロビイスト」は12歳の少年だったそうです。この国の政治は子供と貧乏人と、ビリオネアによって動かされる傾向があるようです。

2015年5月30日土曜日

沢にて


 日本はもう大分あったかくなっているそうですね。こちら北バージニアでも最近「もう、夏だなあ」と思う日が増えてきたんですが、そうするとなぜか金魚が飼いたくなります。自分は魚や泳ぐカメなどの水ものを外で飼うと、ふだんは一日一回、夏場は半日に一回換水したくなる狂人なのでそのうち飼ってることが苦痛になるのは目に見えてるんですが(魚にとっても迷惑でしょう)、あの全てを洗い流してスッキリした庭のたたきで風鈴の音を聞きながらスイカを食するという天上の娯楽から最近遠ざかっているためか、欲求が募ります。

 そんな水への渇望からか「フタスジサラマンダーを見る」という名目でフラフラと沢へ引き寄せられて行った時、偶然出会ったものが今日の写真で、私がレッドサラマンダーだと思っているものです。まだ外鰓が残っているのが見えるので、おそらく生後一年弱ほどの亜生体でしょう。体長は7、8センチといったところで、体の大きさ的にはほぼ成体と変わりないほどになっているのですが、エラが消えて陸へ上がる前の最後の時期をこの沢付近で過ごしていたものと思われます。上陸してしまった成体を見つけるのは大変なので、こうして見られてラッキーでした。(他の写真は、2枚だけですが、もっと読む以降にアップしました。) 

2015年4月13日月曜日

オタマの近況2 ※閲覧注意




 ごくありふれたカエルながら、管理人がとても気にいっている種のひとつにアメリカヒキガエルがあるんですが、今年もどうやら彼らの繁殖期が始まったようです。先年は記録をみると3月中にもう繁殖行動があったはずなので、今季はちょっと遅いようです。きのう初めて知ったんですが、このカエルは日中でも盛んに鳴き交わして包接したりする様子が見られるんですね。大きなメスでも手のひらに楽に収まるくらいの小型のヒキガエルが一生懸命頑張っている様子はなかなか愛らしいものがあります。当地の他のカエル達は日没後一時間ほど経たないといわゆるフル・コーラスの状態にならないものがほとんどですが、そんな中アメリカヒキガエルは(夜間の方が活発とはいえ)日光の元で活動が見られる数少ないカエルで、人間の方からしたらありがたいです。またまた画質はしょぼいですがビデオを添付したので、彼らの繊細で綺麗な声をよかったらお楽しみください。

 ところで話は変わりますが、先日孵化して元気な姿を見せてくれたウッドフロッグのオタマジャクシ達を、皆さん覚えておいででしょうか。昨日また気になって犬の散歩がてら見に行ったところ大変な状態になっていたので、「もっと読む」以降に追記をまとめました。集合体恐怖症の方がいるかもと思っていちおう閲覧注意物件としました。

2015年4月3日金曜日

オタマの近況



 ※今日の記事は オタマ好きにとっては閲覧注意かもしれない写真を含みます。

 アカガエルの仲間、ウッドフロッグの例の卵塊を見に行ってみると孵化が始まっていました。携帯のカメラで撮ったので画像がボロイですが、雰囲気程度は伝わるでしょうか。ゼラチン質から出てホヤホヤのオタマ達が落ち葉の上で休んでいました。だいぶ形の崩れてきた卵塊の傍ではブルフロッグ(ウシガエル)のオタマジャクシも頻繁に見かけるんですが、ここを隠れ家として利用しているのか、それとも孵化したてのオタマでモタモタしているやつをジョリジョリしちゃっているのか、疑問が残りました。とりあえず生まれた瞬間から既に、なんらかの生存競争が開始されているらしき事が分かります。閲覧注意かもしれない写真は「もっと読む」以降に別記しました。

2015年3月27日金曜日

うれしい再会


 昨日は気温が急上昇し、驚きの23℃をマーク。こういう日は一気に生き物がぶわっと出てくるので、件のイヌを連れ、喜び勇んで繰り出しました。昨年悲しき死を遂げたカメラの後釜もやってきて、さあ今年もイケてる(死語)両爬の写真をバチバチ撮りまくるぞと色々レンズを向けていたものの、設定もさることながら、レンズ自体も適していないものを持ってきてしまっており、撮ったものの殆どがピンボケになるという残念な結果となりました。練習をして次回に期待したいと思います。上の写真はそんな中なんとなく顔にピントの合った気がしたセアカサラマンダー。いつもながら変わり映えしない絵面ですが、こうして出会う一匹、一匹、みな雰囲気が違う気がして、気が付くとついついイモリ掘りに熱中しています。

 今回見られた生き物はアメリカヒキガエル(Anaxyrus americanus、アカガエル(Lithobates sylvaticus)の成体+大型の卵塊をさらに3つ、おなじみのセアカサラマンダー、それから実物は確認できなかったものの、スプリングピーパー(Pseudacris crucifer)のメイティングコールを多く聞くことが出来ました。彼らの声を聞くと今年もカエル・ウォッチの季節が始まったな!と思うんですが、まだ本調子ではない体力の殆どをイヌに費やしているという状況で、なかなかポイント巡りをする所までもって行けていないのが残念です。うちのイヌは水を見るといやに興奮しだして飛び込もうとするのも、若干困っている所です。フィールドから帰って夜10時に足跡だらけの愛車のハッチバックを這いつくばって拭き掃除し、沼の香りのする暴れるイヌを洗うと、子犬用シャンプーの泡がしみるのか、目から水がとめどなく零れ落ちてきます。今年になって、このように生活上新たに加わってきた要素というのがいくつかありますが、これらに対するはたきかけを「労働」ではなく、長期投資の一環と好意的にとらえて、気長にやっていきたいなあと思っているこのごろです。

2015年3月23日月曜日

散歩再開しました。


 春です。といってもまだまだかなり寒い中、両生・爬虫類の即売会へ行ったり、近隣の雑木林の散歩習慣も徐々に再開しています。今日は、産みつけられたばかりと思われるアカガエルの仲間(wood frog)の大きな卵塊を見つけました。横幅60センチほどのサイズのがいくつかあったので、あとでオタマジャクシが沢山わきそうです。この卵塊を隠れ蓑にしながら、下の方で2年モノと思われるかなり大きなウシガエルのオタマジャクシも活動していたので、カエル達の春支度はなかなか順調なようでした。スポッテッドサラマンダーの産卵期も今くらいの筈なんですが、残念ながらここでは繁殖はしていないようです。条件的にはほぼぴったりの筈なんだけれど、何かが気に入らないらしい。モールサラマンダーが繁殖するような池は一年の間でも一時期にしか現れないものが多いため、なかなか見つける事が難しいです。

 右端にちょこっと写っているのはクマの子供ではなく、今月から家族の一員となったイヌ。大きい哺乳類を飼うのは久しぶりなので(爬虫類などと比べ)その燃費の悪さ、常に何か口にしていなければならない不便さに同情しながら育てています。将来、トレッキングのお供になってくれるよう鋭意育成中です。

2015年1月3日土曜日

今年もよろしくお願いします、

(c)  yosemitenationalpark ※くっきり写らない時はリロードしてください

 お正月三が日でだらだらしている間に色々読むことができ、ブログにも爬虫類の密輸の話題でもメモしておこうかと思ったのですが、新年そうそうそんな話は憂鬱すぎると思ったので、やめました。そんな話より本当はもっと「癒し」とか、「ふあふあ」したことを書きたいのですが、どういうわけか脳内にそっち方面の話題はいつも欠乏してるので(「ふあふあ」しているのは腹回りだけ)、そこのところは無理をせずカリフォルニア・ヨセミテ国立公園のシエライモリ達に外注しようと思います。これがアウトソーシング事業だ。

 シエライモリ(Taricha sierrae、上のビデオ)は以前はカリフォルニアイモリの亜種だった種だそうで、確かにこうして見ると素人の自分には見分けがつきません。けっこう激しい毒を出すそうで、触る時手にわずかな傷があったりなんかするだけで肩まで腫れ上がるとか。しかし、飼っていて人に慣れると毒は出さなくなるんだそうです(毒は特有の匂いがあるので分かる)。それにしても、魚でも虫でもそうですが、清流の生物を見ると心が潤いますね。天然の山の水の中をすいすい、えっほえっほしているイモリ達も実に気持ちよさそうです。そんなのんびりした光景をよそに、両生類、というか地球の生物全般的に「六度目の大量絶滅期」に入ったと考えられてきている近年、これらの動物達の平和と繁栄は自分達にもかかってるんだということも、心のどこかに置いておきたいです。

2014年12月16日火曜日

真夜中のゴキさんアカさん


 今年は12月21日が一年で一番日照時間が短い日だと伺いました。どうりで最近ランニング(という名の散歩)に出て公園などで道草していると、あれよあれよという間に真っ暗闇になるはずですね。そんな管理人地方ですが本日の気温は5℃弱くらいで比較的暖かく感じたので、何か生き物が見られるかもしれないと思い、真っ暗になった冬の雑木林を少し散策しました。ところが彼らの隠れ家をあたっていくうちに、出るわ出るわ森ゴキブリのオンパレードで。しかも成体ではなく、卵から孵ってひと月かそこらくらいの小さいサイズの虫がうじゃうじゃといました。時期的にもうこのまま越冬するのだと思いますが、これらの虫やナメクジ類が、冬の間乏しい資源でやりくりする他の生き物たちの助けになっているのかもしれません。

 そんな事を考えつつしばらく歩きましたが、他の生き物で見つかったのは写真のセアカサラマンダーだけ。先日に引き続きまたもや1匹しか見つけられませんでした。このサラマンダーは時と場所によっては「君たちもういいよ」位出てくることもありますが、同じ場所で似たような気温の時でも全く見られない事もあり、このエンカウント率の変動のふしぎを解き明かすには、まだまだ時間がかかりそうです。ただハッキリと感じるのは、こんなふうに殆ど物陰から出てこない彼らでも、空気中の湿度や気温、日照時間(≒天候、季節)などはかなり敏感に感じ取っているらしいということです。

 1匹だけ出てきてくれたセアカの尻尾は、先っちょに切れた跡がありました。この種類にどのくらいの再生能力があるのかは分かりませんが、ぽつんと出来た再生尾の部分もぷりぷりと瑞々しく、なかなかいいスタートを切っているように見えた。もっと近くでまじまじと見たかったですが、怖がって目に涙を溜めていた(ように見えた)ので気の毒になりリリース。放してやる時に気付いたんですが、セアカって暗い所で目が光ります。写真にも若干写っているかな。両生類にとってこういう細かい体の事は、一見質素で地味だけれど、360億年かけて熟考されたデザインだと思うとなかなか感慨深いものがあります。

2014年11月30日日曜日

トレッキングに潜む危険性

昨日は ブログむらのアイコンを沢山押してくださった方がいらっしゃたようです。
 どうもありがとうございます。

 昨日はけっこう歩き回ったのに、セアカサラマンダーの子供が1匹見つかったきり。今、非常に寒いので(サラマンダーとはいえ)心配だなあ、と思いつつ、隠れ場所に戻してきた。というのもここのところ管理人の住む東海岸に、北極から季節外れの寒気団が降りて来ていたんですね。それで先週などは気温がマイナス10℃くらいまで下がる日々でした。ちゃんとした冬用のフィールド道具を持ってない管理人なので、この調子で行くと秋から続いていたガサガサ活動がナシ崩し的に終了となりそうです。

 ところで、「野生の両生類を見て歩く」という遊びはそのうちいつの間にかただのトレッキングになってゆく(#金のサラマンダー)と以前書いた事がありますが、今年はそれを比較的まめにやってみて、ほとんど常に単独でフィールドに行っていたせいかも分かりませんが、これは結構危険も多い趣味だなという事に気が付いたのでした。今日は、今期のガサガサ活動のまとめとして、これまでに危なかったと思ったポイントを整理しました。とりたてて真新しいアイデアはありませんが、日本でも共通するものもあるかと思うので、来年の春に向けて自分と、他のフィールダー諸氏の注意喚起の足しにもなったらと思います。


 危ないポイントその1 ケガ。それも大ケガの危険性。前から思っていたんだけど、アメリカやヨーロッパの自然公園などへ行くと、十数歩先は断崖絶壁というような環境でもなぜか柵が取り付けられていない事があるんですね。そういう場所には「落ちると死ぬからね。毎年何人も死んでいるからね。」という看板がさりげなく掲示されている事が多いのですが、なにせさり気ないので、うっかり見落とす事がありえます。またイモリやサラマンダーはあまり人が立ち入らないような場所にこそいたりするので、好奇心が勝ってどんどんフィールドの奥の方に入っていってしまい、そこで足を挫いて帰れなくなる等の間抜けな展開も有り得るでしょう。フィールドでは自制心を忘れず、リスクを避けて、歩くときは10歩先も確認しながら遊びたいです。それにしても崖や急勾配の場所などにかぎってやたらと下を覗き込みたくなるのって何なんでしょうね。臼井義人現象と勝手に名付けてるんですが、自分の好奇心の強さは自分が一番把握していると思うので、十分に気を付けたいと思います。

 危ないポイントその2 野生のいきもの。上の写真はまさに昨日撮ったやつなんですが、私の住むエリアでは、このようなかんじでいきなり野生の動物がピョンと飛び出してくることがあります。管理人は鹿のボディランゲージには詳しくないので、このオスジカこの後、どういう行動に出るのかなど見当も付きません(とりあえず両手をわたわたと動かしながら目を見開いて威嚇?しておいた。←サルやイヌ科には多分逆効果なので注意)。猛禽やキツネくらいなら大歓迎ですが、もっと山深い方へ行けばクロクマ、マウンテンライオンにボブキャット、コヨーテなども出るらしいので、事前のリサーチと、相応の準備が大事だなと思いました。それから忘れてはならないのが、大動物だけではなく、微小なダニ類や蚊なども脅威になりえるという点。今年は日本でもデング熱が流行して騒ぎになりましたが、気候が暖かくなるにつれて熱帯産の病気が北の方に上がってくる事がこれからも増えていきそうな気がします。これらと同時に気を付けたいものにマダニが媒介する感染症もあります。北米にはライム熱という不治の感染症を引き起こすダニ(体長0.5㍉~)がおり、注意が呼びかけられていますが、近年日本でも土着のマダニの媒介する感染症(重症熱性血小板減少症候群-国立感染症研究所のサイトより)で死者が出ている事もあり、今後も防虫対策はしっかりやっていった方がよさそうです。

 あぶないポイントその3 「人」。個人的に、外国のフィールドでも一番危険なもののひとつは、他人ではないかと思います。日本人同士の間だと、「山や自然の中では皆仲間」のような感じで、互いに助け合ったりする素晴らしい空気感があるので、分かりにくい感覚ですが、外国では基本的に相手がどんな人間なのか、何が目的で接近してきているのかハッキリするまで、十分に注意した方がいいと考えます。リスクを減らすためにも、理想的にはフィールドでは常に複数名のグループでいられればよいのですが、実際は友人ともなかなか時間が合わせづらかったり、たまたま通りかかって一人で探索することにする事などが案外多いのが現実なので、このへんのバランスが難しいと感じます。

 並べてみたら案外少なかったですが、こんなところでしょうか。個人的に「内省しすぎる可能性」というのも入れたかったんですが、そんな奴自分だけだと思ったので、次点としました。というのも、管理人の場合、静寂に包まれた雑木林の中、倒木をつっついてワラジムシを眺めたりしていると、突然!世の友人たちは二人目が幼稚園に上がったり、30年ローンで家を買ったり、社長になったり、離婚して再婚したり、いろいろアクティブにやってるなかで、朽木をほじくって喜んでいる自分はいったい何をやっているのか???と、雷に打たれたような衝撃が走ることがあるんですね(笑)。でもときどき、ハイキングに行ったきり蒸発する人って時々いらっしゃることを考えると、山で来るこの内省のビッグウェーブも一枚噛んでたりして?とか、勝手に憶測しているんですよ。いやだなーこわいなー。今日のところはとりあえず、これらを教訓としながら(へたに内省しすぎず)、来年もフィールドを「安全に・さらに楽しく」をモットーに工夫を盛り込みつつ活動していきたいと思います。

2014年11月16日日曜日

最後の一枚


 写真に対して「その場の情景がだいたい伝わればOK」という、恥ずかしいくらい低いハードルを設定している管理人は、携帯カメラを愛用しています。ただやはり細かいところまでちゃんと撮りたいなと思う時、コンデジ以上の能力があるカメラがあると便利ですよね。それで以前は野歩き、山歩きの際に三脚と一眼をブラブラさせながら行っていたこともあったのですが、最終的にここ3年ほどは、軽くて持ち運びやすいソニーのデジイチに落ち着いていました。上の写真は3年間、たまに土まみれや釣り餌まみれになったりしながら頑張ってくれた、そのカメラで撮った最後の一枚。これを撮った直後また野歩きに出かけたのですが、バックパックの中がどうにも騒がしいと思って開けてみれば、消毒用ゲルのボトルによる自爆テロが行われた直後でした。ポケット一枚挟んで物陰に隠れていたこのデジイチ君は地図やメモパッドなどの仲間達と共に全身にゲルを浴び、儚くフィールドに散っていったのであります。

 それにしても今年の、管理人の電化製品運の無さたるや。このデジカメもそうだし、アイパッドも2枚割ったし、でっかいパワーサンも1個、ちょっと笑えるくらい木端微塵になったし(しかもより高価なソケットからショートさせた)。奮発して買ったエスプレッソマシーンもめげたし、パソコンも総取り替えになり、買ったばかりで喜んでいたアイフォンも翌日速攻で石の床に落として、見事に欠けました。なんだか今書いていて「今年はお金がないナァ」と漠然と思っていた訳が分かりました。そうそう、そして極め付けは今朝、愛車にキーを差し込んだら、寒さでバッテリーが中途半端に上がってたらしく、車内に入ってきたアイドリングのガスで死にかけ&涙ちょちょ切れたという。無暗に走ってエンジンを痛めたくないので、さっきレッカー車を呼んだ所です ←今ココ

 不幸自慢はこの辺にしますが、こうして並べてみるとやはり大殺界なのかという気がいたしますね。母親がアメリカまでわざわざ電話して教えてくれたんで間違いないのですが、管理人は「火星人」というやつで、今年の運勢は実に最悪なのだそうです。因みに美輪明宏や、美川憲一、ピーター 、マツコ・デラックスや ミッツ・マングローブ も火星人なんだとか。オカマのご加護がありそうな星回りなんですねえ。何だか納得してしまいました。では、お迎え(レッカー車)が来たようなので今日はこのあたりで。

2014年11月5日水曜日

ひとりぼっちのオタマジャクシ


 上の写真は近隣を勝手にパトロールしていた時に見つけた、紅葉真っ盛りのカエデ。本当にこんなオモチャのプラスチックみたいな色をしているんですよ。周囲を賑わわせていた森の小動物達は、もうそれぞれ巣穴へ入って眠りについている頃。きれいな風景は一年間の「自然劇場」の最後のお楽しみ、冬という新たな準備期間へ入る前の、華やかで、楽しいエンドロールのような感じなのかも知れない。葉っぱはそれぞれ思い思いの色に変わると、苦痛もなく潔くぱらりんと枝から取れて、つかの間のフライトを楽しんだと思ったら、もういつのまにか土へ還ろうとしている。よくできているなと思う。人生も、終わりは出来ればこんな感じであってほしいものだ(笑)。

 奥に写っているのはひと夏の間、さまざまな話題を提供してくれた湖(池の様に見えるが、写真左手の方へ細長く続いている)。思いかえせば今年もここで色々な生き物との出会いがあった。この湖の周囲は季節的に小さな水たまりができるため、カエル・ウォッチの時は立ち寄るポイントになっていたし、嵐の後にここで拾ったオタマジャクシが、その後元気に巣立っていったこともあった。釣ったバスをリリース時に放ったら、水面で失神状態になった魚を潜水艦の様に浮上してきた大きなカミツキガメが、頭からバリバリ食べてしまったこともあった。トウブニシキガメの「マック」や、釣られて迷惑そうにしていたミシシッピニオイガメ達も、きっと今ごろこの湖のどこかで寝ているに違いない(「マック」はちゃんとカメらしい格好で寝てるのか不安が残るが・・・)。

オタマ隠してしり隠さず

 こんな時期なのに、湖の淵のあたりで一匹だけ居たオタマジャクシを見つけた。とても用心深くてこちらが少しでも動くとピャッと逃げてしまう。最終的に、水底のふわふわとした泥に半分めり込んで、安心したらしい所を写真に撮ったが、いったい何の種類のカエルなのか見当も付かない(大きさや模様からウシガエルでないと思う)。こんな晩秋にオタマの形態ということは、このまま冬を越すのだろうか。

 近年北米でも北の方では、日本のアカガエルの仲間のウッドフロッグや、ほかにもアマガエルの仲間のグレイツリーフロッグ、スプリングピーパー、コーラスフロッグなどは、仮に冬眠中全身が凍結しても条件が揃えば春に元気に蘇生してくる(!)事が分かってきている。このオタマがいったいどういう作戦を立てているのかは知らないが、無事に冬を越せるといいなと思う。

2014年10月18日土曜日

家庭でできるエコテロリズム

 ふざけて過激なタイトルをつけてしまったが・・・最近カエルやイモリをもっと手軽に観察したい欲求が高まってきていたところへ、落葉のシーズンが到来したのである。この短い期間、まだまだ8割がた葉を残す木立ちと地面の落ち葉が格好の目隠しを提供している事に気が付いた管理人は、ついに裏の雑木林にこっそり池を掘るという暴挙に出た。情報を付け足すと、管理人の住む家は地域の自然センターの管轄するこの保護林に直に面しているものの、バックヤードから30メートルほどはなだらかな下り坂が続き遊歩道もないため、時折現れる不届き者が空のペットボトルを放り投げて去っていくのみの場所となっていたのである。普段から枯れ枝をまとめたり、サラマンダーを見たり、ゴミを拾ったりしている管理人がここで何かしている事を不審に思う者はいない。チャンスである!シャベルとツルハシに安全靴を履いて分け入った。好機とみれば即実行に移すのがテロ成功の秘訣だ。


見つかったら怒られること必至である

 そして池の原型が出来上がった。写真だと小さく見えるけれども、成人男性二人が楽に横になれる程度の大きさがある。奥は深めで手前がスロープになっている、カエルに優しい設計。本来ならこの後水を逃さないようにするためのライナーを敷くべきところだが、もう少し手直ししたいのと(オタマ大星雲を見るためには、少なくとも深さ1メーターは欲しいところ)、土壌が粘土質な事、そして見つかって叱られた場合即埋め戻せるようによく踏み固めるだけにすることにした。果たして、この池が自然の一部として機能するかどうかは春が来るまで分からないが、楽しみにしてときどき覗きに来ることにした。

 余談だが、実は、こんなふうに他人の敷地に穴を掘るのはこれが初めてではない。小学生の頃は、我が家では禁書とされていた「みどりのマキバオー」の単行本を区の緑地に穴を掘って隠していたし(ご丁寧に地図まで作っていた)、大学時代同級生らと結託して、意味もなく校庭に直径4メートル・深さ3メートルほどの大穴を掘ったこともあるのだ。さらには調子に乗った誰かが人間トランポリンをやろうと言いだし、穴の上を覆ったシーツをそれぞれが持って作った粗末なトランポリンで、級友一名が病院送りになった。もちろん助手達にあとで厳しく追及され、寂しく大あなを埋め戻したのが記憶に残っている。何にせよそれ以来、叱られることを気にしていては「大義」は貫けない事を学習したのであった。そして「大義」の後始末には大きな苦痛とわびしさが伴うことも。

2014年10月13日月曜日

すごいぞ、モリモリ

いつも グーグルの+を押してくださるみなさん ランキングのアイコンを押してくださるみなさん どうもありがとうございます。
日本列島は今強い台風が来ているとのことで 自宅に缶詰になっている人も居られるかと思い つまらない話ですがもうひとつ更新します。


 森や自然を構成するひとつひとつの植物、一匹一匹の生き物に等しく役割がありそのどれもが大切だという事は、もはや誰でも知ってる事実だと思うけども、ある特定の生物に的を絞って彼らが具体的にどの位エコシステムに貢献しているかに注目すると、びっくりするような事実が隠されていることがある。

 秋になってその辺でよく見かけるようになったセアカサラマンダーは、プレソドン科というムハイサラマンダーの仲間である。彼らは読んで字のごとく成体になっても肺を持たず、呼吸は皮膚に頼っている。日本のサンショウウオの中ではハコネサンショウウオも、科は違うけれど肺を持たないサラマンダーとして知られている。彼らは喉元をピコピコ動かしていかにも息をしてます風に見えるけれど、それは匂いの分子を鼻に多く取り込むための行動で、実際の呼吸とは少々異なるのだそうだ。話を少し戻すと、先日このムハイサラマンダーの仲間に関する面白い話を読んだ。それ曰く自然界における彼らは、単なるエコシステムの構成員どころか「知られざる森の守り人」レベルの存在なのだという。

 ムハイサラマンダーの仲間が多く住む落葉樹の森において、毎年地面に降り積もる落ち葉は有機物であり、多くの炭素を含んでいる。地表に棲む微細な生き物がこれをちぎって食べて、消費した時、炭素はメタン(温室効果ガスの一種)などと共に、二酸化炭素として空中へ放出される。アメリカ農務省森林科のハペトロジスト達の実験によると、ここに自然な密度でムハイサラマンダー達が介在して、積極的に微細な生き物たちを捕食した場合、見かけによらず大食漢な彼らの活動によって落ち葉の分解スピードがぐっと緩やかになるのだという。その結果、森林約70メートル四方あたり計100キロ近い炭素が気化せず地中に戻ることとなり、同時に相応分のメタンの排出も抑えられるという。この、炭素の土壌への吸収量はサラマンダーがいなかった場合と比べて13%増だという。これは読んだだけではあまり実感がわかないけれども、積もり積もれば(実際は雑多な要因により結果は異なってくるとはいえ)周辺の大気に影響を及ぼしそうな数字であり、世界の片隅でひっそりとケシツブみたいな虫を食べているサラマンダー達が、もしかしたらめぐりめぐって地球の天候を左右するほどのパワーを秘めているかもしれないということになる。おもしろいと同時に感動だ。因みに多くのサラマンダー達はこうして蓄えたエネルギーから、自分が生き永らえるのに必要最低限の分だけをとり、あとは卵や繁殖行動のために皆使ってしまうという。それが証拠にサラマンダーの仲間は、鳥類などの捕食のリストの中では下位の方に位置するという。彼らを食べても相対的に得られるカロリーが多くないからだ(野菜のキュウリみたいなものか)。どこまでも慎ましく、まさしく「清貧」という言葉の似あう生き物であると、よこしまで無駄だらけな存在である自分などは思う。

 しかし日本語でイモリが「井守り」、ヤモリが「家守り」ときたら、こんなふうに森を守るサンショウウオは「モリモリ」という事になる。モリモリといえば管理人が大学時代大変お世話になったオカマの先輩と同名になってしまうが(どうでもいい情報)、日本のオオサンショウウオなどがこちらで「ペッパーフィッシュ」とか言って紹介されているのを見るとワンプレート500円のファストフード店みたいな響きで威厳もくそも無く、オオモリモリの方がまだマシという気がする。

2014年10月12日日曜日

ガサガサ活動 その四

Carphophis amoenus amoenus

 週末、隣州の雑木林でガサガサ活動。湿った落ち葉溜まりでほっこりしていたイースタンワームスネークを見つけたので無理矢理ひっぱりだしたところ、ヘビなのに明らかに涙目になっていた。(自分でやったくせに)何かかわいそう、と気の毒になった・・・次の瞬間!臭腺から何か分泌物を出したらしく、何とも言えない匂いがあたり一帯に漂った。ナミヘビのムスク的な匂いとは似て非なる、例えて言うならケガした所にバンドエイドを貼ったことを忘れて水仕事をし、うっかり蒸れちゃった傷口みたいな、有機的としかいいようがなく、くさいと言えばくさい、だが何となくもう一度嗅ぎたくなるような匂い(笑)。この分泌物、意外としつこくて洗ってもアルコール綿で拭いてもなかなか落ちず、帰りの運転中も気が散って散って仕方がなかった。仮にもしこれで事故った場合、イースタンワームスネークの種ステータスが「無害」から「死者1」に変更になるのか、とか、もしそうなら自分の墓石にワームスネークの絵を彫ってほしいとか、こんな変なヘビを見たおかげでどうでもいい変なことばかり考えてしまった午後だった。

2014年10月8日水曜日

金のサラマンダー

Eurycea bislineata

 突き詰めようとすると、ちょこっと手軽に楽しめるガサガサ活動から、いつの間にかただのトレッキングになっていくのがイモリ・ウォッチの落とし穴かもしれないと気付いた。それでも近場を適当にフラフラするだけで済んでいる自分などはまだまだ甘ちゃんで、ハードコアなウォッチャーになってくると、テントとザイルを持ってアパラチアの山々へ籠もりに行くという。日本に住んでた時も思っていたけど、有尾好きにはおっさんがやたらと多いのもこのあたりに端を発している気がする。その傾向はアメリカでも同じで、こちらの有尾好きの人々と話す時、休日にお弁当もって何時間も沢のまわりをウロウロし、そこに湧く小っちゃいイモリを見てきゃあきゃあ騒ぎたいおっさんという特別な種族に高確率で出会う。愛すべき人達である。

 しかし、鬱蒼とした森林を黙々と歩いているうちに、ときどき「ご褒美」的にサラマンダーとの出会いがあると、鮮烈でどこか原始的な喜びがあることは疑いようもない事実である。上の写真は昨日行ってきた、綺麗な沢で見つけたフタスジサラマンダーの成熟したメス。フタスジサラマンダーとは先週も出会っているけれど、その時撮った「平均的なフタスジ」写真と比べると、この個体がいかにとび抜けた美人なのかが分かる。ほぼ無班でラインも控えめで、全くいやらしさのない繊細なシャンパンゴールドが眩しく、はっきり言って森の宝石と言っても差支えないかと!・・・というのは管理人の勝手な意見ですが、個人的に好みど真ん中すぎて、嬉しさのあまり踊り食いしたくなってくるほどだった(注:しません)。

 この個体は、お腹に卵がいっぱい入っていた。今年もがんばって、きれいな仔を沢山残してくれればいいな、と思う。


 これも同じ沢で見つけた、ちょっと変わり種。日暮れが迫る中、木片をどけたら居た、4センチくらいの小さなサラマンダー。薄暗がりの中だったので何だかよく分からなかったが、なんとなく気になったのでフラッシュをつけていくつか写真を撮って帰ってきた。後で知人に聞いたところ、恐らくノーザンダスキーサラマンダー(Desmognathus fuscus fuscus)だと思うが、もしかしたらアレゲニーマウンテン・ダスキーサラマンダー(Desmognathus ochrophaeus)の可能性があると言い、もし後者ならかなり珍しいという。サラマンダーだとこういう場合、「珍しいんだぜ、うっひょ~」という派手なリアクションにはあまりならず、「小っちゃくて茶色いけど、珍しいんだねェ・・・」と、お年寄りが孫に「偉いねェ・・・」というあの感じに似た受け答えをしてしまいがちなのも、パターンとしてあるかもしれない。

2014年10月5日日曜日

ガサガサ活動その弐。

第一村人発見

 うちから車でちょっといった所にある雑木林の保護林(「春のキタミズベヘビ祭り」のあの林)へ行ってきた。気温10℃前後、湿度70パーセントの非常に動きやすい日で、セアカサラマンダーがそこかしこから出てきて楽しかった。反面、紅葉が始まり、冬に向けて枯れていくシダ類等を見ると「本当に夏は終わったんだな」と若干寂しくもなった。今夏は特に旅行などもほとんど行かず個人の雑務や健康面でのメンテナンスをやっているうちに終わった感じがするのも一因かもしれない。


 比較的大型のリードバック(無班)のメス個体。写真のバックに木が写っているが、こんな風にキノコの生えた倒木の下からは、サラマンダーは見つからない事が多い気がする。あと、朽木の下が粘土っぽく、ミミズが居るような環境になっている所でもあまり見かけない。彼らの隠れ家はただ木や石で覆われていればいいというだけでなく、多分、彼らにしかわからない色んな細かい好みのようなものがあるのだろう。こんな申し訳程度の脚で歩き回り「これだ」とピンとくる家を探すのはきっと一苦労に違いない。多分、そのためもあってか(サラマンダーやサンショウウオ全般に言える傾向かもしれないが)セアカサラマンダーはけっこう縄張り意識が強い。一度気に入った棲み家を見つけると、そこを一生懸命守ろうとして、ひとたび他の個体が侵入してきそうになればイソイソと出て行って噛みついたり(!)して、意外と強気にやっつけようとするから驚く。


 ・・・かと思えばこうして複数匹でやんわり同居?している感じのグループに出会う事もあるので謎である。

 写真の現場では4匹(1匹は既に緊急脱出している)がなんとな~く仲良く住んでいた。こんなに近くても均等に空間を開けているらしき所を見ると、多分この位がセアカサラマンダーにとって、見知らぬ個体同士が快適でいられるミニマムのパーソナルスペースなんだろか。真ん中に居るのは赤い色素が少ないか、無い個体。100匹に数匹まじっているくらいの比較的珍しい型。

 今まで見た記憶を統合すると、セアカサラマンダーは恐らくベースの銀灰色というか、パールカラーっぽいピグメントの他に赤と黄の色素を持っていて、3つの色素全てが存在すると、一枚目の写真のようないわゆる「ふつーの個体」になる。何らかの理由でこの色素を3つとも欠くと二枚目の写真のようなリードバックになる。赤い色素だけ抑制されると、三枚目のような黄色いラインの個体になる。赤い色素も黄色い色素もどちらも持たない場合、地のパールカラーのラインのみをもつ個体になる(いわゆるアネリスリスティック)。これはかなり珍しくて、写真でしか見た事はない。このほか、殆ど全身がオレンジ色になった個体も知られているが、これはもう本当に珍しくて、見つけることはちょっとした夢である。

2014年10月1日水曜日

秋のガサガサ活動開始

スポットサラマンダー Ambystoma maculatum

 ルー大柴さんの言うところの「ガサガサ」に適した季節がまたやってきた。今日は動物園の人にさそわれて、地元のネイチャーセンターで生き物とりをした。本来の狙いはカエルをいっぱい獲って、ツボカビとラナウイルスの分布を調べるためのサンプルをいっぱい採取する事だったが、前日が雨天だったため観察予定地の池が増水してカエル達が自由自在モードに入っており、厳しい戦いを強いられた。アフリカから帰ったばかりの飼育員L(←ウォリアータイプの女性②。本人は負傷していて参戦できない)に「そこ!右だ!!」「目、見えてんのか」「もっとアグレッシブに行け!!」とか喝を入れられながら、皆ガサガサどころか腰まで水に浸かって奮闘したものの、成果はいま一つだった。

 一方陸・半水棲種のサラマンダーはなかなか豊作で、このあたりでは比較的珍しいナガレサラマンダーの仲間のフタスジサラマンダーや、明るい黄色のポチポチが非常に可愛いスポットサラマンダーなど数匹を見つけることが出来た。スポットサラマンダーはトラフサンショウウオ科で、日本でもペットとして流通するタイガーサラマンダーやウーパールーパーのイトコの様な感じのイモリ。来るべき冬に備えて夏中食べまくってきたのか、見ているこっちが「よかったね」と幸せになるほどまるまるとしていた。因みにこの写真を撮った時ちょうど西日が差していたのだが、サンショウウオの皮膚は構造的にこうして直射日光を浴びることがダメージになる事があるそうなので、注意したいものだ。

フタスジサラマンダー Eurycea bislineata  これでも「巨大個体」

 因みにこの「ガサガサ」という用語、アメリカのフィールド好きの間では「shrubbing」という、感覚的にほぼ一致したスラングが当てられている(Shrub=藪)。そして、本当にどうでもいいトリビアだけれど、イギリス英語で「shrubber」といえば売春婦のヒモ男を差すスラングとなるのだ(なぜそうなるのかは各自ご想像下さい)。ともあれ、今後イギリス方面の人とフィールドでトゥギャザーする時は、うっかりかっこつけて「私とシュラビングしないか?」とか言わないよう、十分に注意したいところだ。

2014年8月13日水曜日

バイバイ、マック


 先日うちに来たカラフルおもしろい寝相のニシキガメについて。 

 野生のカメの回復力はすごくて、口内の傷ももうほとんど癒えていたこのカメ。ついうっかり「マック」という名前まで付けてしまい、このままでは情も移るだろうしヤバいなーと思っていたこの2週間でしたが、今朝湖まで連れて行って放してきました。泳ぎ去る所をカメラに収めようとモタモタしている間にあっという間に見えなくなってしまったので、写真はきのうの朝水換えをしてやった時に撮った、上のが最後となりました。空き家になったコンテナがちょっと寂しい。

 しかし一歩離れて見てみればこれだけ遊泳力のあるカメなので、横幅80センチ程度の容器ではどう考えても狭すぎて、見ているこっちも気づまりだったからこれでサッパリした。外で自由に生きてきた生き物をケージや檻に入れる場合、その内容をたとえどんなにがんばって整えた所で、彼ら本来の暮らしぶりとは似ても似つかないようなものになってしまうことが多い。好きで、いつまでも眺めていたいカメを同時にいじめることにもなってしまうのだ。水ガメ好きには結構よくあるジレンマかもしれないけれど、バランスをとるのが難しいと感じる。その点、ヘビは多少小さ目のケージに入れていてもそれほど気の毒と思わないのが不思議だ。ともあれニシキガメに関しては飼うととても楽しい事が今回分かったので、いつか運よく子亀でも見つけられたら長期飼育に挑戦してみたい(今のところ、季節的に見かけるのはカミツキガメの子亀ばかりだけど)。

 秋に向かって短くなりつつある一日を無駄にするまいと、夕方またせっせと雑魚釣りにせいを出していたら今度はニオイガメが釣れた。このカメには殆どダメージがなかったのでそのまま逃がしたけれども、湖の神様は最近やけに気前が良いようだ。この調子でいくとマック2号がひっかからないとも限らないので照明一式やコンテナは仕舞わずにしばらく庭に置いておこうと思う。

2014年7月31日木曜日

借りたら返すという発想


 ここ最近ちょっと思うところがあって病院に受診したところ、高確率で脳に微細な腫瘍があることが分かりました。幸いあまり難しい部位ではなく、多分薬物でトリートメント出来るタイプの奴とのことですが、今後成長する可能性があるのと、管理人はどちらかというと外科指向なので、できれば手術をと考えています。これから精検して、日本で脳外の先生をしている友人にも意見を聞いて、経過を観察する予定です。11/10追記:専門家曰く放置してもOKなやつとのことなので、放置プレイ決定しました。

 にしてもこうして時折再確認させられるけれど、人生は有限ですね。どうせそのうち寿命は尽きるのだから、その前に何か「いいこと」をしておきたい、そう漠然と思いながら過ごしてきたここ5年くらいでした。爬虫類のことに関しても、いきなり動物園で有志スタッフなどをしようという気になったのも、こうすることで微力ながらも爬虫類の保護(=「いいこと」)を手助け出来るんじゃ?という、かなり単純な動機が頭のどこかにあったためです。自分は人生のはじめの25年間、生き物に関してはどちらかといえば所有する事ばかりを考えて、売ったり買ったり時には死なせちゃったりと、エゴの赴くままに生きてきたと思っているので、次の25年は沢山借りのあるこの爬虫類という生き物に対して、ちょっとずつでもそれを返していく時間にしたいと考えています。まあ25年きちっと生きられればの話だけど(あ、終末関連の話題に興味のある方は、よければこの話も読んでみてください→「死ぬにあたって。若き爬虫類飼育者の場合」)。


 とまあ内心あまり気が休まらない一週間を過ごしていたのですが、ふと息抜きに釣り道具持って近所の湖へ行った所、よかサイズのニシキガメが釣れた。バス用の針にかかってしまったので口の傷は小さいものの、けっこう血が出ていたので、うちで手当をしてやり今裏庭の減菌コンテナで泳いでいます。爬虫類に貢献!とか言ってる傍からこれかよといった所ですが、用心深いニシキガメが釣れること自体は結構珍しいので、湖の女神が「これでも見て元気出せよ」と寄越してくれたのだと勝手に解釈することにしました(・・・)。

 カメは手で持つと小ぶりなハンバーガー大の個体ですが、前足には立派な長いツメが生えそろい、既に成熟したオスと分かります。雰囲気的には多分4、5歳くらいの若いカメという感じ。野生のニシキガメの繁殖期は春と秋なので、傷が癒えたら遅くとも秋口前にはもといた場所に戻す予定です。何らかの理由でこんなふうに野生のカメをキープ&リリースする場合、繁殖や冬眠といった彼らの中でのメジャーなイベントにかぶらないよう考慮する事が重要になってきます。特に冬までに十分な時間的余裕があることは必須です。