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2014年12月20日土曜日

スナボアの近況


 ぷん太郎(♀)のケージにも雪が積もる季節になりました。

 というのは冗談で、チチュウカイヤモリのミニテラリウム用に購入した砂の余りを、スナボアにも入れてやった所の写真です。管理人がジャベリンスナボアだと信じているこのヘビ、WCならば、遠い昔こんな光景が本当にあったかもしれないと思うと、わくわくするような、少し切ないような、微妙な感覚に陥ります。ただCBという可能性もあるので、全ての想像は=妄想なのですが。

 ぷん太郎はもうすぐうちに来て3年目を迎えますが、環境に十分に馴染んだらしく最近何となくピカピカしてきました。そこでどこかにいいオスでもいたらいいなとたまに思うのですが、そもそもあまり流通量のないスナボア、加えてこの個体は種類もオリジンもあやふやなので、将来的にもし子供が出来てももらいてがないかもしれません。自分が販売者から聞いたぷん太郎にまつわる情報は、「おそらく」今までに2回下取りに出されていて、CB「かもしれない」「ロシアスナボア」のメスで南シベリア産「らしい」というものだけで、真相は本ヘビのみぞ知るという状況なのです。

 このヘビを見ていると、WCの両・爬のペットトレードの世界では、生体の出自やローカリティなどの正確な情報を提供する、信頼に足るようなシステムがなく、生き物を買う側にとっては結局の所供給者(輸入者やお店)による口伝えや、書面というアナログな手法で伝えられたデータしか、頼れるものがないことを残念に思います。そのような情報は時間とともに失われる可能性もあるし、またどんなに信頼できる会社やお店でも、手違いが起きる事もあるでしょう。そのため極論を言えば、現段階では、WCの生物は野外採集されてペットトレードに乗ったとたん正確な個体情報が失われる一方となり、たとえ生きもの自体としては元気に生きていたとしても、その種・亜種としては「死んだ」状態になっていきます。「死んだ」というのはその個体が将来的にその種・亜種のために貢献する可能性が、限りなくゼロに近くなったという意味です。

 しかし野生の生き物という天然資源が減少傾向にある事や、爬虫類や両生類が非常に長命な生き物だという事を鑑みると、愛好家個人個人が好きで細々と系統維持していた生き物が、我々の趣味を持続可能なものにしていくだけでなく、遠い将来種の保存などにおいて重要な役割を果たすようになる日が、絶対に来ないとは言い切れないのではないかと思うのです。突飛なアイデアに聞こえるかもしれないけれど、希少種のカメなどでは既に一般人のペットを保護団体が買い上げて、繁殖プログラムに取り入れるなどの動きは出てきています。(※ここから先は長い退屈なウンチクになるので、アップするか迷いましたが、日ごろWCの動物に関わりがあって、且つ時間のある人には面白いかもしれない話題だと思ったので、追記にしました。もっと読むのボタンから読めます)。

2014年12月14日日曜日

家庭で「森」は作れるか

密生した森の一番外側、バナナの葉っぱで休んでいたヒルヤモリ。 因みに移入種。 2011年 ハワイ、オアフ島

 結論から言うと、作れるらしい。ちょっと前にエンジニアリング系の番組で聞いた話。

 この話題の発起人は、日本のトヨタ自動車で働くインド人のシャルマさんという、工業エンジニアである。彼は日本で働いている間に、日本各地にある鎮守の森などを着想源として、背の高い木と、中ぐらいの木と、低木とがテトリスのように上手く組み合わさった「コンパクトだけど非常に濃密な森」を、植樹によって再現できることを知った。専門家の下で植樹のボランティア活動をするうちに植樹にのめりこんだ彼は、インドの市街地にある実家の裏に土着の草木の苗木を用いて、「インド版鎮守の森」の育成に成功する。そこで彼はこの、人間による注意深い設計と、手助けを受けた手作りの「森」が、自然のままの状態の森林とくらべて10倍の速度で育ち、30倍の植生密度を持ち、結果として100倍もの生物多様性を保有している事を知った。

 そこで、車のエンジニアである彼は「トヨタが車をライン生産するのと同じようなコンセプトで、森も作れるのではないか」と考えた。というのもトヨタでは、良い品質の車を効率よく作るために「平準化」といって、異なる車種でも単一のライン上で素早く量産できるような仕組みを導入しているそうだ。転じて、自然の森林を領域ごとによく分析して、異なる種類の土着の草木を効率的に配置したモデルを作り、量産し、それを何層も重ねて行くことで、いかなる場所でも簡単に「小さな森」を出現させることが出来るという。エンジニアリングによって空間の無駄を極限まで削られたこの森は、成長すると空間の活用率が100%近くに達するので、人が歩いて分け入ることは不可能だそうだ。これを聞いて思い出したのは、2年くらい前にハワイのハワイ本島へ行った時の事だ。火山島でスペースが限られているためか、島の原生林は自然とかなり密生していて、横から見るとジャングルがキューブというか、壁のようになっている所もあり、その密度にびっくりした。そんな有様なので人間や家畜は立ち入れないが、太く絡まり合う樹木やツタ、気根の間をミツスイなどの小さな鳥類が自由自在に飛び回り、恐らく昆虫や両生類などの小さな生き物もどっさりいるであろう気配があった。

 シャルマさんは現在、小さな「森」をエンジニアリングする会社を興して、個人住宅や学校、企業や工場などの死んだスペースを緑化する仕事をしているという。またこのテーマに関して自らが働きかけるのだけではなく、世界各地の人々が自分で「森」を手作りしたい時に、遠隔地からでも地質調査を出来るように手配をするシステムを作ったり、ボタン一つでどのような草木や樹木をどのような配合で植えて行けばいいかが分かる、オープンソースのオンラインプラットフォームの開発にも着手しているそうだ。トヨタ式平準化の結果、ひとつの「森」を作る時のコストも最小でiPhone一個分くらいまで下げられるようになってきているという。個人的に、これほどぎゅうづめて木を植えると、100年後、1000年後はどうなってしまうのだろうと少し心配になるが、「自然をデザインし量産する」という発想を得て、あるていど形になるところまで来ているのだけでも素晴らしいと思う。因みにもうピンと来ている人も居るかもしれないが、彼が強くインスパイアされた日本人の植樹の専門家というのは、生態学者で植樹の達人、宮脇 昭氏である。

2014年11月1日土曜日

イモリツボカビの新たな脅威

とある日のイモリ・ラボにて 管理人に気づいて手をふっている?ブチイモリ

有尾類キーパーの方にぜひ知ってほしい話を読んだ(日本語のニュース記事はこちら。より詳しい説明は国立環境研究所のこのページでも見られる)。アジア産有尾類の保有するツボカビの一種が現在、欧州産のイモリ・サンショウウオの間で猛威を振るっており、今後さらに北米にまで達する可能性が非常に高いという話だ。この菌はイモリツボカビ-Batrachochytrium salamandrivorans(Bs)といい、ベルギーの研究所での実験によると新旧大陸の多くの有尾類に対して感染力、致死率ともに非常に高く、特に欧州から地中海沿岸域に生息する種の多くや、管理人の住む北アメリカで代表的な種であるブチイモリなどがこの菌に感染した場合、致死率はほぼ100パーセントに達するという。

 専門家によると、このアウトブレイクの重要な要因に両生類のペットトレードが挙げられるという。イボイモリやシナイモリをはじめ、アジアの有尾類の中にはペットとして人気があり頻繁にペットルートにのる種があるが、これらの種の中にはBs菌に対して対抗性、耐性があったり、感受性を持つものが広く見られるいう(日本のアカハライモリもこの菌に対して感受性が確認された)。現在欧州で猛威を振るっているBs菌の発生源は、こうして人為的に持ち込まれた生き物達だという。管理人はちょうど先日オランダのファイアサラマンダー棲息数があっちゅう間に減少して今や絶滅の危機、という話を読んで心を痛めていたのだが、陰の立役者としてこのツボカビ菌がからんでいた部分も大いにあったのだろう。

 この事態、日本でアジア産の両生類を飼育している分にはほとんど影響がないとも思える事かもしれない。けれども、こうした「未知の外来病原菌」が今後も出てくる可能性もある。今回アジアの有尾類がBsに耐性を示したように、例えば外産種達はへっちゃらでも、日本のイモリ・サラマンダー達にとっては重症化する菌などが、これから絶対に出てこないとは言い切れない。またカエルツボカビ症におけるアメリカザリガニのように、一見全く無関係な種が要員となって、在来種たちに間接的に予期せぬダメージを与えるということも考えられる。有尾類に限らず外国産の生物をペットとして飼う場合、衛生管理のきちんとした専門店からCB個体を購入し、個体同士は触れさせない、飼育水はできれば消毒してから下水に流す(外に捨てない)、死んだ個体は焼却する、フィールドで使った靴や器具はきれいに洗ってそのつど殺菌する、等の「基本」を今一度思い出しながら挑みたい。また、飼育している複数のイモリ・サラマンダーが次々と死ぬなど不審な事が起きた場合は、最寄りの獣医大学の病理学研究所に連絡をとる事を勧める。一例としてカエルツボカビ症の時、我々愛好家にも相談窓口を提供してくださっていた麻布大学病理学研究所のリンクを貼っておく。

 今日はあまり時間なく急いで書いたためちょっとゴチャゴチャした文章になってしまったかもしれないけれど、愛好家間で共有する必要のある事かと思ったので、どうしてもメモしておきたかった。それもこれも先週、研究者の間でも現在入手が非常に困難だという「旧世界のイモリ・サンショウウオ」という新しい本をたまたま貸りられる機会があり、そこで欧州産有尾類の多くが、その生息状況が本当の本当に風前の灯状態だということを具体的に見せつけられ、ガーンときた事も大きいかもしれない。

2014年10月13日月曜日

すごいぞ、モリモリ

いつも グーグルの+を押してくださるみなさん ランキングのアイコンを押してくださるみなさん どうもありがとうございます。
日本列島は今強い台風が来ているとのことで 自宅に缶詰になっている人も居られるかと思い つまらない話ですがもうひとつ更新します。


 森や自然を構成するひとつひとつの植物、一匹一匹の生き物に等しく役割がありそのどれもが大切だという事は、もはや誰でも知ってる事実だと思うけども、ある特定の生物に的を絞って彼らが具体的にどの位エコシステムに貢献しているかに注目すると、びっくりするような事実が隠されていることがある。

 秋になってその辺でよく見かけるようになったセアカサラマンダーは、プレソドン科というムハイサラマンダーの仲間である。彼らは読んで字のごとく成体になっても肺を持たず、呼吸は皮膚に頼っている。日本のサンショウウオの中ではハコネサンショウウオも、科は違うけれど肺を持たないサラマンダーとして知られている。彼らは喉元をピコピコ動かしていかにも息をしてます風に見えるけれど、それは匂いの分子を鼻に多く取り込むための行動で、実際の呼吸とは少々異なるのだそうだ。話を少し戻すと、先日このムハイサラマンダーの仲間に関する面白い話を読んだ。それ曰く自然界における彼らは、単なるエコシステムの構成員どころか「知られざる森の守り人」レベルの存在なのだという。

 ムハイサラマンダーの仲間が多く住む落葉樹の森において、毎年地面に降り積もる落ち葉は有機物であり、多くの炭素を含んでいる。地表に棲む微細な生き物がこれをちぎって食べて、消費した時、炭素はメタン(温室効果ガスの一種)などと共に、二酸化炭素として空中へ放出される。アメリカ農務省森林科のハペトロジスト達の実験によると、ここに自然な密度でムハイサラマンダー達が介在して、積極的に微細な生き物たちを捕食した場合、見かけによらず大食漢な彼らの活動によって落ち葉の分解スピードがぐっと緩やかになるのだという。その結果、森林約70メートル四方あたり計100キロ近い炭素が気化せず地中に戻ることとなり、同時に相応分のメタンの排出も抑えられるという。この、炭素の土壌への吸収量はサラマンダーがいなかった場合と比べて13%増だという。これは読んだだけではあまり実感がわかないけれども、積もり積もれば(実際は雑多な要因により結果は異なってくるとはいえ)周辺の大気に影響を及ぼしそうな数字であり、世界の片隅でひっそりとケシツブみたいな虫を食べているサラマンダー達が、もしかしたらめぐりめぐって地球の天候を左右するほどのパワーを秘めているかもしれないということになる。おもしろいと同時に感動だ。因みに多くのサラマンダー達はこうして蓄えたエネルギーから、自分が生き永らえるのに必要最低限の分だけをとり、あとは卵や繁殖行動のために皆使ってしまうという。それが証拠にサラマンダーの仲間は、鳥類などの捕食のリストの中では下位の方に位置するという。彼らを食べても相対的に得られるカロリーが多くないからだ(野菜のキュウリみたいなものか)。どこまでも慎ましく、まさしく「清貧」という言葉の似あう生き物であると、よこしまで無駄だらけな存在である自分などは思う。

 しかし日本語でイモリが「井守り」、ヤモリが「家守り」ときたら、こんなふうに森を守るサンショウウオは「モリモリ」という事になる。モリモリといえば管理人が大学時代大変お世話になったオカマの先輩と同名になってしまうが(どうでもいい情報)、日本のオオサンショウウオなどがこちらで「ペッパーフィッシュ」とか言って紹介されているのを見るとワンプレート500円のファストフード店みたいな響きで威厳もくそも無く、オオモリモリの方がまだマシという気がする。

2014年10月6日月曜日

守るべき隣人

 突如、自分はボールパイソンも飼ってないし、コーンスネークも飼ってないし、繁殖もやってないし、このままイモリ~イモリ~みたいな記事ばかり書き続けていたら、そのうちブログを訪れる人が誰も居なくなるのではないかという危機感にとらわれた。というわけで、このあたりでカメの事でも書こうと思う。ちょっと画像けれど、粗いが下の写真を見てほしい。


 これは先月24日の、南バングラディシュのひなびた漁村での光景だそうである。カメはここの溜池で飼われていたバタグ―ルガメ(ヨツユビカワガメ/ノーザンリバーテラピン、Batagur baska)のメス。右で泣いてるおばあさんは、もう明らかかもしれないけれど、16年間池の大ガメを世話してきた「飼い主」である。

 バタグ―ルガメは主に南アジアの河に棲む大型のカワガメで、生息地の破壊と、現地では卵や肉が食用とされる事で急激に数が減り、サイテスI類、IUCNレッドリストでは「絶滅寸前」のカテゴリに入れられているとても貴重なカメだ。写真のカメは、北米テキサス州に拠点を置き科学者とボランティアによって草の根的に運営されている「タートル・サバイバル・アライアンス(TSA)」のアジアチームによって先月、この漁村でひっそりと飼われていたことが発見されたのである。TSAはこうした場合、持ち主にお金を支払って、購入した個体を国内の保護施設へ移送する。施設には、こうして個人宅や食肉市場から時間をかけて、手作業で一匹一匹集められた十数匹のテラピンたちが育成されており、既に繁殖実績も上がっているという。

 アジア全域に見られるカメ食は、われわれ日本人の捕鯨文化と少し似ていて深く長い歴史があり、完全に途絶えるまでには時間を要するだろうし、その間、今すでに減少傾向の多くの亀種は絶滅に追い込まれていくだろうと思われる。ただ、こうして好んで消費することと同時に、カメが大好きで大好きでたまらないのもまた我々アジア人であると思う。それは中国人の異様ともいえるカメへの情熱を見ていても思うし、そもそも人間は、ちょっとでも気味が悪い、汚らわしいと思っているものは捕まえて食べようなどとも思わないはずだ。水と田んぼを愛し、自然のおこぼれをもらいながら生きてきたという意識のあるアジア人にとってカメは本当に親しみを感じる存在であるし、これから徐々にでも「愛すべき生き物、ときどき食べ物」から「守るべき隣人」への意識の転換が起こってくればいいなと思う。

2014年9月26日金曜日

ミミナシ・サイドストーリー

借りてこられたオモチャ代表

 ミミナシオオトカゲの国際的なペットトレード数が過去2年間で急激に上昇している事が環境系ニュースで紹介されていた。70億年の歴史を今に留める、ボルネオ産のこのユニークなトカゲは日本にも輸入されて大いにメディアの注目を集めたものだが、記事によればこれと時を同じくして海外のペット愛好家のコミュニティ等でも関心を集める事となり、次いで非合法なものも含めた商業活動がはじまったということらしい(TRAFFIC調べ)。この組織の主張によると、過去2年間でこのトカゲの違法な採集と商業活動が日本、フランス、ドイツ、ウクライナ、チェコで確認されたとされ、今年の春にも違法なトラフィッキングルートに乗せられようとしていた40個体が押収されたという。この数だけでも1930年代以来から80年間で、学術的な動機で採集された全個体数のおよそ3倍にあたるという。

 個人的な考えだけれど、ミミナシオオトカゲって、ひょっとしたら野生下では「村人しか行かないような森の奥」みたいなところへ行けば、局所的にワラワラと存在しているタイプの生き物なのかもしれない。ただ、仮にそういう事実があったとしても、先週のGoPro株でもあるまいし特定の野生の生物が市場で急速にトレンド化するのは良くない事で、そうさせてしまう側のホビイスト達のモラルが問われる。このトカゲに関して言えば、ボルネオの自然は過去100年間ずっと減少傾向なこともあり、おそらくどんな類の搾取にも耐えられないであろう事が第一の不安材料だ。またこれだけ希少な動物なので、ふつうは学術関係組織~保護団体~なんやかや~というのが真っ先にやってきて「理性と良識」として機能する所が、ミミナシオオトカゲの場合商業者達の瞬発力がなんとなくそれを凌駕している点も良くない。

 それにしても残念な事だが、生態系の頂点に君臨している人間様と付き合ってゆくためには、いきもの達には今のところ殺されるか・搾取されるか・オモチャになるかしか選択肢がないらしい。この世の生き物達は、そんな猟奇エロ小説のようなシチュエーションに追いやられつつあるのだ。

2014年9月5日金曜日

「古き良きハープカルチャー」時代の終わり


 先日のメモでちょっと触れた、北米での危険動物条例(Dangerous Wild Animal Act)の改正の動きについて。この問題は2年前にも書いた事がありますが、最近、この「危険動物」のカテゴリの中にわれらがボアコンやアミメを含めようという風潮になってきているのが、ここのところホビイストの間で話題になっています。日本で既に経験したこのナンセンスに再び遭遇することになろうとは。法律の内容自体は別としても、こうして一歩一歩歩幅は小さくともここ5年くらいで当地の動物関連の法律が着実に改定を重ねている点も不穏な感じがします。極論かもしれないけれど、こうやっていつしか大型爬虫類自体一般家庭では飼えなくなるのではないかと、いち愛好家としては本能的に危機感を感じるものであります(実際今年の3月にはお隣のウエストバージニア州で、コンストリクター類ふくむ「危険動物」の飼育自体が全面規制になるというあまり他人事ではない出来事もあったばかり)。管理人は、いわゆる「危険動物」の飼育に関してライセンス制とかペット税の導入などには肯定的、というかむしろ、イヌネコ含む全てのペットに課税しろとすら思っているんですが、それと同時に、絶滅危惧種でもないかぎり自分の責任下で好きな生き物を飼う事は根本的・普遍的個人の自由のひとつだとも考えているので、「家庭での飼育も禁止」となったら人権にかかわることだと思う。

 これは日本に住んでる爬虫類ファンにも、100パーセント関係ないとは言い切れない話題ではないかと思う。アメリカは年に約11億3000万匹もの爬虫類を世界に供給する(2009年)世界一の爬虫類輸出国であり、このシュミにとっては心臓とかエンジンに匹敵する場所。爬虫類産業の場合、これらの数字の多くはブリーダーやプロショップなどの、ビジネス的にはいわゆる「中小企業」と言えるユニットによって支えられているので、一つ一つの法律や法例がそれらに与える影響についても気を付けなければいけないと思う。そして、多くのブリーダーにとって爬虫類は「仕事」として以前に、趣味としての根源的な情熱がないと成り立たない側面もあるのではないかと思う。たとえば自分が爬虫類のファームを持っていたとして、ペットショップ等に卸すためのメジャー種を「仕事」として増やす傍ら、アフターファイブは自分が本当に好きなアミメニシキヘビのブリーディングに力を入れていたとする。ところがある日を境に「今日からあなたはフトアゴとコーンスネークとベルツノとチョウセンスズガエルしか飼育・繁殖しちゃだめになりました」と言われたら、かなりやる気を失う気がする。実際のところ、日本で言われる「マニア垂涎」的な動物たちは、アメリカの商業ブリーダー達によって、本業とは別の情熱でもって細々と殖やされていることも多いのである(ユーロ産の個体であっても元親のストックはアメリカから来ていたりすることもある)。とにかく、シュミの世界においてこの国に経済的な元気さと人々の適度な自由さがあることはクリティカルである。

 ・・・とか言ってたら昨日テレビでカリフォルニアでペットのリューシスティックコブラが逃げちゃったよというニュースを見た。こうしてハープカルチャーは、熱心なハープファン達自身によって(よくもわるくも)転換していく気がしないでもない。最近いろいろなメディアを見ていると、全体的にこの国では「古き良きハープカルチャー」の時代は90年代後期くらいを境に終わった傾向があるように思う。

2014年8月28日木曜日

部屋が汚い男に注意


 気付けば去年から一度も話題にのぼっていなかったサングローハイポのレルモントフ。とにかくよく動く奴で、全然まともな写真が撮れなかったのもその一因でした。レルモントフのフォルダを開けると↑のようなのばかりザクザク出てくる。このヘビは管理人がケージの戸を開けると、餌を食べている時以外は何をしていても一時中断して、人間側にズイズイと寄って来るというわけの分からない癖があります(時には霧吹きの水を飲みながら。お前はラットスネークか)。そしてズズイと接近し終わると、今度はおもむろに舌をチョロチョロして管理人の顔面を査定してきます。どうも、たまに覗きに来るこの「自分以外の生き物」に対して強い興味を持っているようです。毎回繰り返されるこの儀式?によってそのうち「モン太郎じるし」でももらえれば、人生、何か良い事でもあるだろうか。

朝お決まりの光景。床はグジャグジャ、ヘビはキョロキョロ、ミズゴケタッパーの蓋はもちろんどっかへすっ飛んでいる。

 レルモントフはまた、うちのヘビたちの中で最も部屋の使い方が汚い奴でもあります。軽くて細かい床材だと全てをモリモリにしてしまうので、ヤシガラか、ケイティの大粒紙サンド・グレーというのを使っていますが、それでも問題を全解決するには至っていません。糞も、他の二頭のロンギコウダはひっそりとケージの片隅に盛り上げるフェレット系であるのに対し、このヘビはケージの広範囲に惜しげもなく・ふんだんにばら撒くカバタイプです。「恥ずい」という概念は、彼の辞書にはなかった。


 この好奇心の強さ、この衛生感、どこか「本能の欠如」を感じずにはおれない個体。サイズもナミヘビ並に小さく、野生だったら絶対に生き残って行けないタイプかと思われます。まあ、これだけ改良のすすんだヘビがいるというのも、ボアコンのおもしろみの一つかもしれません。そういえば最近、北米ではまたボアコン飼育に関する法の見直しの動きが加速してきてるんですよ。アメリカでボアコンがダメになったら、この趣味もまた一段と味気ないものになりそうですね。現在は特に世界的に環境保護の気運が高まっているので、爬虫類業界はこれからも厳しい戦いを強いられていくことになりそうです。

2014年6月22日日曜日

プリンセス・ダイアモンドは二度消える


 このブログ「へびにっき」ではじめて北米にて世界初のリューシのボアコンが生れたらしい~と書いたのは2011年のことでした。しかし2年後の記事内で、どうもそれがインチキだった、という後日談にもふれたと思います。その時点でリューシスティックのボアコンがキャプティブ下に存在する事は間違いのない事実だったものの、実はそれは純粋に自然が作り出した特別な個体で、作出者を名乗ったブリーダーはただそれを違法な手段で入手していただけだったことが発覚したためです。最近明らかにされた事の顛末はこんな風でした。 ※長文なので読むのメンドクサイ人はふたつめの「・」の後の段落だけ読んでくだせ~。


 時を遡って2006年、ブラジルはリオデジャネイロ州二テロイにて、大変美しい純白のボアコンストリクターの子供が発見されました。このボアは、世界で今までに類を見なかった「野生由来のリューシスティック・基亜種ボアコンストリクター」だったのです。リューシスティックといえばさまざまなヘビのブリーダーが目指すある一つの「ゴール」とも言える表現で、繁殖家達にとってはまさしく「聖杯」と言ってもいいようなものです。この個体はすぐさま研究者たちによって、私立二テロイ動物園の研究施設に収容されました。当時この動物園は、情報をキャッチした世界中のボアコン・ブリーダーからの交渉のコールが殺到しました。しかし、ブラジル政府の打ち出す野生動物保護政策は特に厳しいことで知られ、他国のブリーダーが、とりわけ商用目的でこの個体を国外に持ち出すことは不可能でした。

 同時期、アメリカ人のある男がこのヘビの魅力に取り憑かれていました。男の名前はジェレミー・ストーンといい、ユタ州で爬虫類店を営むボアコンストリクターのプロブリーダー業を営んでいました。磁器のように真白なリューシスティックのボアを生み出すことは彼の夢であり、目標でしたが、長年かかっても未だ成し遂げえなかったそれが自然の力によって魔法のように産み出され、突如目の前に現れたのです。と同時にブラジル当局の政策についてもよく知っていた彼は、このヘビを入手する事は、少なくとも合法的には不可能だと知っていました。

 3年後の2009年、ストーンは「『プリンセス・ダイアモンド』プロジェクト」を立ち上げます。自身の手による計画繁殖と選択交配の末得られたとされる、世界初のボア・コンストリクターのリューシスティック個体『プリンセス・ダイアモンド』を祖として、さらに純白の子供達を作出していこうというものでした。しかし、ストーンが頻繁にユーチューブ等で宣伝していたこのヘビの映像は、この時二テロイ動物園から消えていた純白のヘビを捜索中だった、関係者の不審を招きました。ビデオを仔細に観察したところ、そのいなくなった個体と同じ箇所に、同じような複数の暗色の鱗が確認されたのです。そもそも非常に珍しいミュータントのヘビです。共通点はたったこれだけであっても、同一個体と同定するには不足のない情報とし、ブラジル国家環境局(IBAMA)は、この男とその周囲に焦点を絞って静かに捜索をはじめました。

 2011年、IBAMAは二テロイ動物園を強制閉鎖します。理由は「収容動物達の扱いに不審な点があったため」。この動物園からはそれまでに、実に635種の動物が「消えて」いました。書面上は「死んだ」と記されていたこれらの動物種の数は全収容種のうちの実に3/4にあたる数で、この動物園のキュレーターが何らかの違法な商業行為に関与していることは、もはや疑いの余地がありませんでした。動物園の獣医師は白いボア『プリンセス・ダイアモンド』について、「キュレーターからある日突然、『あのヘビは死んだ』と言われた」と供述しました。そして、ブラジル国家警察はその『ヘビが死んだ』2009年、時を同じくして、ストーンが「たった1日だけ」ブラジルとガイアナの国境の村に入国し、そしてアメリカへ向けて去っていた事実、それと同時にストーンの預金口座から、2550万円相当の金が引き出された形跡を突き止めました。そして2013年、種々の調査と検証を終えたアメリカの連邦裁判所は、ストーンを、生物を違法な手段で輸入したかどで起訴しました。この訴訟は2014年の今現在も続行中となっています。

 ブラジルの動物園から一度消えた『プリンセス・ダイアモンド』。2013年の家宅捜査の結果、ストーンの自宅からは発見されませんでした。ストーンはこのヘビについて(同時期にユーチューブにポストをあげていたにも関わらず)「ヘビは死んだので、裏庭に埋めた」と供述したそうです。『プリンセス・ダイアモンド』は、2011年に同じく純白の仔を複数匹産んでおり、これらのヘビはそれぞれアメリカ、カナダ、欧州のブリーダーへと売却されています。2013年にはイタリアのブリーダーが第三世代の作出にも成功し、一部で話題となっていました。次なる議論はこの『プリンセス・ダイアモンド』が本当に死んだのか?ということ。現時点で真相は謎に包まれています。ブラジル当局は今後も、『プリンセス・ダイアモンド』はどこかで生きていると考え、見つけ出して保護するという意志をもって調査を続けていくそうです。


 それにしても、ボアコンの品種改良、のみならず「ハーペトカルチャー」全般の歴史を振り返ると、「法的にアヤシイ(もしくは違法な)行為の歴史」といっても差支えないような、こういうサイドストーリーはけっこうぽろぽろ出てきます。単なる市井の爬虫類好きでアウトサイダーである管理人ですら、ヒトから話を聞いたり情報収集をしている中で、図らずもそういった事実に突き当たってしまい、気まずい思いをすることは無きにしも非ずです。最近では、究極的には、自分なども含め「爬虫類飼育がシュミです」と言う人は、過去から未来にいたるどこかの時点において、または自然から獲ったものを売ったり、買ったり、所有したりという行為のどこかにおいて、違法もしくは法的にアヤシイ現状に加担している可能性が高く、間接的な共犯者なんだと考えるようになりました。自分の飼っている生き物はCB個体だから大丈夫~と思っても、それらの個体の親個体たちをたどると、そう遠くない祖先は密輸されたものだったりすることだってあるのです。また自分達のようないわゆる「購買者層」の存在感が、今日もどこかで行われているいきものの違法な採集の原動力となっているのは、想像に難くありません。だいじなのはこれらを踏まえて、我々ホビイストは「倫理」について常に考えて続けていかなければいけないという点です。それがゆくゆくは世界の爬虫類や両生類、のみならず地球上のさまざまな動植物達の命運を変えていくはずだと考えます。

 因みにこの白いボア、まだ生きていると思いますか?
 管理人は、殺されちゃってどっかに埋められたに一票。
 今回の記事はナショジオ・デイリーニュースおよび全米弁護士会ユタ地区の記事を参考にしました。

2014年4月13日日曜日

 ナショジオニュースで「フランスに続きベルギーで象牙を破壊」というのを見かけて、バカバカしさに呆れた。象牙に対して「善」か、「悪」かと断じるのは彼らの勝手だけど、「悪」と決めた場合にそれを粉砕して捨て去ってしまうのは、パフォーマンスとしてもなんか古臭い上、ランプのためにクジラを捕りつくし、グルメのために病気のガチョウや発育不良のウシを育て、奴隷を死ぬまで働かせたうえ、ある日突然聖人君主がおをしているいつかの西洋人の態度と重なるようで白けてしまう。もっと重要なのは、それじゃあ人間の経済的利潤のために殺されて、人間の政治的利潤(プロパガンダ)のために死んで残した牙までも焼きつくされる、肝心のゾウたちが犬死にだという点だ。法律の網目の間に挟まれて、死蔵状態の象牙のストックをどうしようがそれは国の判断だけれど、今まさに手元にある牙のために幾千幾万の象が命を落としたという事実はもはや変えようがないのだから、そこは”Keep Calm and Carry On”だ。例えばストックアップされた象牙を政府のコントロール下で少しずつ合法的に売って、そして得た資金をゾウを守るための啓蒙活動に使ったりする方がよほど有意義だと思える。

 爬虫類にも言える事だと思うけど、重要なのは「Xがほしい」という一部の人々の異常な欲望は尽きることがなく、そこで合法的に入手できないものは必ず違法に取引されるようになるという点だ。合法的に取引され得る象牙が減っていくということは、非合法に取引される象牙の量が増えるということとイコールだ。この汚れたニンゲンの世界で勧善懲悪を目指すことにはすごく意味があるけれど、その実現は難しいだろう。もともとの禁制品を合法的に取引できる窓口を作ることが闇取引を減らすことにつながるというのは大麻で実証済みでもある。もっとみんなが流動的に考えられる世の中になってほしい。

2014年3月18日火曜日



 DC近郊はここのところ日本でいう「春一番」的な風が吹いて、陽光を浴びようとする人々で街も賑わいをみせています。管理人ももれなくその人波にまぎれて、ドライブがてら近くの自然公園まで行ってみたり、爬虫類・両生類の法律シンポジウムに足を運んだりと、比較的活発にしていました。シンポジウムでは爬虫類の法律について役人やブリーダー、爬虫類屋や愛好家が入り乱れ、フランクかつ真剣に議論していて、なかなかユニークでした。やはり日本よりも一足早く『ハーぺトカルチャー』が発生している米国だけに、文化が成熟する過程で出てくるさまざまな問題にもまた、一足早く直面する結果となっていることが感じられました。特に近年、爬虫類のブリーダーやお店、消費者による連合組織が政治的に実行力のあるサイズまで成長してきており、さまざまな法制定・改定の場面で「産業 vs 環境」のぶつかりあいがより激しく起こるようになってきているようです。今現在もビルマニシキヘビを含む数種のヘビの商取引の規制に際して、見直しを求める訴訟が長期化しそうな雰囲気となっています。何事にも自由な競争を良しとするアメリカ社会の基本的な性質が、こういうところにも生きているんだなあと思います。

 印象深かったのは、プレゼンテーションを行っている役人の人の多くもまた、オフタイムには自分でも自然公園へ行ったり、子供といっしょにペットショップへ行ってカメを飼ったり、裏庭のカエルの数を数えたりしている「いち爬虫類好き」だという点でした。これはシンプルだけれども非常に重要な事だと思った。


 動物愛護の観点からも、爬虫類をとりまく状況が大分変わってきているようです。この国では過去40年ほどの間で、爬虫類のなかでも一部の種類が非常にポピュラーなペットとしての地位を確立した結果、日本で言う「ペットのコジマ」のような全米チェーンが爬虫類の販売をはじめ、このような場で安価で供給される「入門種」が、幼児のサルモネラ菌感染であったり、虐待や遺棄などの二次的な問題の温床となっています。シェルターに持ちこまれる爬虫類の数は、地域によっては過去10年程度で5倍以上に増え、その大部分が7500円以下で購入された生き物たちであったとのこと。さらには、仮にシェルターに持ちこまれたとしても、本来犬や猫を扱っている人々では十分なケアを与えられなかったり、そもそも「爬虫類をペットとして飼うべきではない」という基本理念を持っている動物愛護グループが運営しているシェルターも多いため、結局収容された爬虫類達の大部分が安楽死処分になることもあるなどという、本末転倒ともいえる現状も明らかになってきています。

 他の動物と比べずっと遅れている爬虫類・両生類のレスキュー・保護・一時飼育などにまつわる「Code of ethics(倫理規定)」を、個々人の手からより大きな組織(団体、群政府、州政府、もしくは合衆国)主導で共有していかねばならないという問題が提起されていました。


 とかなんとか。

 外界の喧騒と小難しい議論をしばし離れて温室のトカゲを見ていると「まあ、いっか。」という気分になりました(笑)。この方は「ブラブラの奥さん」と管理人が勝手に呼んでいる国立動物園のフィジーイグアナ。「ブラブラの旦那さん」もいたのですが、ある日急に奥さんをどついて、別室送りになってしまいました。可憐、とか奥ゆかしい、という形容詞がしっくりくる、イグアナ類の中では稀有な存在です。

2014年2月21日金曜日

 少し前にコペンハーゲン動物園のキリンについて書いたけど、それに関係するかもしれない話題として、今日は爬虫類・両生類の安楽死について少しふれてみたいと思います。本来、誰の物でもないいきものの命を人間による勝手な判断の末に終わらせる・・・ということはいうまでもなく賛否両論分かれる事だけど、近年人間と野生の両爬の生息環境のオーバーラップ、また世界的にペットとして飼われる生体数の急増にあたって、交通事故や輸送によるストレス、問屋や小売店での雑居、不適切な飼育環境から、回復不能な怪我や疾患を抱える爬虫類の数もまた増加しているという現状があり、それにともなう人道的な安楽死に関する情報などが「ちしき」としてあってもいいんじゃないか、と思います。今日は、近年おもに採用されている5つの手段をおおまかに列挙してみます。

 爬虫類 両生類の安楽死

1 頭部と脳の切除

 たぶん最も原始的で、最も心象が悪く、かつ非常に有効な安楽死の手段。とはいえ、中型以上の爬虫類の場合、一気に首を切り落とすことは案外困難で、もし始めの一太刀に失敗した場合、いきものに激しい苦しみを味わわせてしまうという側面がある。管理人は以前レプタイル・レスキュー関連の記事で、飼い主によって首を切られたボア・コンストリクターが、頭と体が気管と食道のみでくっついている状態だったにも関わらず、手術の末回復したという、驚くべき手記を読んだことがある。このように、外傷に対する爬虫類のバイタリティは驚くほど強靭なことがあるので、適切な道具や補助(生体の沈静化を促す薬品など)がない場合はあまり勧められない手法である。同様の理由で、頭部を切断されても生体の脳は暫く生きている可能性があるので、脳を刃物やプローブなどで速やかに穿孔するか、切除して完全に破壊する必要がある。

2 頭部(脳)への的確な打撃

 これまた原始的かつ、最も有効な手段のひとつ。たとえばフィールドにおいて落下や外敵に襲われたり、交通事故に遭ったりして致命的な怪我を負い、苦しみのた打ち回っている両爬虫類を見つけるなどの「緊急時」において、特に特別な道具なしに行うことの出来るもの。打撃は生体の両目を結んだ線の中心から後方に向けてありったけの力を込めて行う。というのも1でふれた手段と同じく、もし失敗した場合、生体は非常な痛みと苦しみに苛まれることになるので、打撃は確実に行わなくてはいけない。大型の生体やワニ類に対しては適した経口を持つ銃器(猟銃など)によって行う。

3 ガス

 近年、爬虫類や両生類の安楽死に使われるガスはクロロホルム、一酸化炭素、メトキシフルランなどが挙げられる。ガスを使った安楽死は比較的苦痛が少ないのに加え、生体に直接触れる必要がないため特に有毒種に対して有効である一方、比較的時間がかかること(施術が不十分だと蘇生する)、格納容器や基材の入手が比較的難しいため、獣医師や、それに類する有資格者の監督のもとで行われる。

4 凍結

 いわゆる冷凍庫に放り込むことは小売店などでも比較的よく見られる悪習だが、近年、全身の筋肉が結晶していくことは生き物にとって非常な苦痛を伴うことが分かってきており、アメリカ獣医師学会の主張によると凍結という手法それそのものは非人道的であるとされている。また個人的に思うのは、ヘビの種類によっても耐寒性に大きな差があるので、一概に人道的・非人道的と断じるのは難しいのではないかということ。たとえばボアコンストリクターやビルマニシキヘビなどの熱帯産のヘビは、もしかすると冷凍庫の中で急速に意識を消失して楽に亡くなる可能性もあるが、同じ環境におかれたサラサナメラやクサリヘビの仲間などは長い間苦しむかもしれない。両生類の中には低温にとても強い種もいる(体の一部が氷結したとしても、蘇生するものすらいる)。これらを踏まえて、この手法は900グラム以下の生体に対して、麻酔下においた場合のみ行われるべきものである。

5 薬物

 最後に、爬虫類と両生類への安楽死が「速やかな生体の意識の喪失と生命活動の停止」をめざすなかで、最も人道的かつ、我々人間側にとっても心理的負担の少ない手段が、バルビツールなどの薬物を静脈や体腔に注射することによる安楽死である。獣医科医院において、有資格者の監督のもと施術を受けることが出来る。これは犬や猫が必要に応じて受けるタイプの安楽死術と同じもので、生体は痛みを感じることなく速やかに旅立つ。


 以上、個人的にはどれも選びたくないものばかりだけど、いきものとかかわっていく上で時にはこんな事について考えるのも重要なんじゃないかと思っています。因みにトイレに流すことだけはやめてくれというのが、識者の間で共通の見解みたいですね。というのも、トイレに流されてしまった生き物の一定数はすぐに亡くならずにパイプの中で怪我をしたまま排泄物にまみれて、窒息の恐怖に怯えながらゆっくりと死んでいくのだそうです。遺体の処理法としても、ペットとして流通する両生類や爬虫類がどのようなバクテリアをもっており(それらが下水を通して最終的に河川に放出される可能性をふまえると)環境に対してどのような影響があるか、まだまだあまり分かっていないため推奨されないやり方だそうです。土に埋めることも、同様の理由であまりよくないとか。焼却処分が一番清潔とのことで、一見、すごく可哀想に見える「燃えるゴミ」として処理する方法は実は結構理にかなっていると分かります。ペット用の火葬サービスを利用するのも良さそうですね。今回のエントリーは管理人の勝手な私見のほかに、アメリカ獣医師学会AVMA Guidelines for the Euthanasia of Animals: 2013 Edition (PDF)Melissa Kaplan's Herp Care Collection ; Euthanasia of reptiles、などを参考にしました。

2013年8月30日金曜日

 日本では明日から鳥・哺乳類・爬虫類の非対面式通信販売が禁止になりますね。人間の心理的に、なにか変化が起こる時はそのネガティブ効果に目が向きがちであるっていう説があるけれど、ほんとにその通りだなってことで、今後どんな問題が起こりそうかパッと思いついた事を書きます。

 ①イベントが販売の主流になる可能性がある。地方などではすでにそんな状況になっていると思いますが、通信販売専門店はもとより、「地域のお店」などがイベント以外に収入を得られる機会が大分少なくなります。地方地域の文化的過疎化がまた一歩進む要因となるでしょう。爬虫類業者の中には奇抜な人もいるので、自分が移動しながら販売することを考える人も出てくるかもしれません。いずれにせよ、爬虫類は比較的ストレスによって状態を損ねやすい生き物だという前提がある以上、移動販売が販売形式の主体になるというのはこの趣味にとって思わしくないでしょう。

 ②人々の消費活動に波が出る。これは①の問題に付随して起こること。業者は一回一回のイベントにより多くの資本を投じることになり、消費者もこれにあわせて生き物を購入するというサイクルが発生します。一方、消費活動に波が出るという事は、販売側により金銭的リスクが生じることになり、これに恒常的に耐えていけるお店というのは限られていくでしょう。イベントの無い期間中売る当てのない生体をストックしながら経営を維持する力のないお店は、イベント時期に合わせて大量に商品を仕入れ、十分に立ち上げる間もなく売らざるを得ないという事が起こりえると思います。これは動物愛護とは真逆の商業活動といえます。そして、このような環境下ではイベントでのお店同士の競争がより激しくなり、そのマイナス効果として現在もう既にあるような「安売り至上主義」的トレンドが加速することも考えられます。

 ③情報の不透明さが増す。販売説明書の項目の細分化で、国内のブリーダーが動物を売るだけのために自分の住所を公に配布しなくてはならなくなりました。だけど、常識的に考えてこのような場面で正直に住所を書く人はあまり居ないと思います。自分の仕事場など代替になりうる場所を記入するか、最悪虚偽の住所を書いてしまうかも知れません。そこで重要なのは、記入された情報が正しいか否かではなく、このプロセス自体に疑いの余地があるということです。つまり信憑性のない形式的な手順を踏むために手間だけが追加されることになります。この趣味の世界では飼育下繁殖個体が野外採集モノより値が張るなどということも普通に起こりえるわけですが、より高価で販売に手間のかかるCBをさばく面倒を請け負うかわりに、WCをどっさり捕まえてきてイベントで安く売るなんていう事が横行したら、それこそ本末転倒かと思われます。国外に目を向ければ、日本人のスタンダードでは考えつかない程プライバシーの尊守を重んじる外国人の個人繁殖家などが、上にあげたようなプロセスを嫌って日本との取引きをしたがらなくなる可能性もあります。

 ④飼育できる爬虫類のバラエティが減る。地方のお店は、イベントなどでより確実に生体を売って行かなければならなくなります。そのため移動などに比較的強く、販売する個体を手軽に近場(国内)でまかなえ、またイベントなどで確実に売り上げを作ることが出来る、言い換えれば「強健で繁殖が容易な人気種」がより主体となって販売されていく可能性があります。今まで「店主の趣味に走りながらコアなファンを獲得」していたようなタイプのお店が、悪い意味でのウケ狙いをしなければ生き残れなくなるかもしれないのです。

 ⑤趣味が個人主体から企業主体になっていく。総合量販を得意とする企業が活性化し、個人経営の小規模店は消える。これは個人商店は今すぐ消える!といっているわけではないです。ただし、企業内での流通ルートと諸地域への窓口をもう既に持っているという点で、「ペットのコジマ」みたいな、チェーン展開している企業が今後ますます有利になっていくのは間違いないと思います。しかしこうして見ると今回の法施行は、間接的にペットのコジマみたいな業態を後押しするものに見えてきますね。コジマは皆も知ってる通り、とっても動物愛護的なお店なのでよかったですね(笑)。また、こういう量販店全店舗が扱える爬虫類ってどんなものか想像すると、おそらく④であげたような生き物たち、つまりコーンフトアゴボールケヅメベルツノトカゲモドキ各種、「以上!」です。また①で書いたみたいに、遠隔地へ商品を送り届けるという点で、今まで個人商店どうしだったお店が協力し合って流通パイプを築いていくことにも繋がるかもしれません。こうしてビジネス上強いコネクションのあるお店同士が連合して動くようになり、そのような連合がいずれ企業的な性質を帯びてくるかも知れません。

 これらの要素がつみ重なって、今後爬虫類飼育という趣味のボランティア的(愛好家の熱意によってのみ支えられる)側面を強化し、同時に経済的な規模は縮小するということになると思います。日本は国土が狭いからそれでもまだまだやっていけるかもわかりませんが、この趣味の「おもしろ度」は間違いなく、また少し減ったかなという気がしますね。国の発行する法律が国民ひとりひとりの自由な経済活動を禁止するという点でちょっと社会主義入ってる気もします。走り書きみたいになってしまったけどまた後で思いついたことがあれば書きます。

2013年7月6日土曜日

 環境省の動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案概要に対するパブリックコメントの募集が締切日まで5日をきりました。日本国内でボアコンストリクターの飼育規制解除がなされる数少ない機会です。管理人はおおまかにわけて

 ①ボア・コンストリクターのヒトへの危険性について誤解がある。

 ボア・コンストリクターは、他に指定を受けているビルマニシキヘビ・アミメニシキヘビ・アナコンダ・ヤブニシキヘビなどと比較して体格、体重・体長(飼育下では最大でも±3メートル)、攻撃性などいずれにおいても劣り、懸案事項の言う「人を獲物として積極的に襲ってくる」生物に該当しない。ボア・コンストリクターがヒトに致命的な危害を加える例は、本種の飼育数が日本と比べて格段に多い米国内のみならず、本種が野生下にて生息する南米諸国においても極めて稀である。したがって、本種は規制対象種のリストからは除外されるべきである。

 ②貴重な動植物の保全という観点からも、安定して供給される種の存在は重要である。
 私たちヒトが常に知的好奇心・知的探究心をもつ存在である限り、ペット産業においても「珍しい動物を飼ってみたい、収集したい」「大きなヘビを間近に眺めてみたい」等という強い動機をもつ一定数の爬虫類愛好家が現れることは回避し得ない。しかし、これらの動機はしばしば動植物の保全を推進する現代の潮流に逆行するものである。ボア・コンストリクターは欧米において普通のペットとなり既に40年以上の歴史をもち、飼育法や累代繁殖法も確立され、家庭のコンパニオンとして、またコレクタブル・アニマルとして、多くの愛好家達の需要にマッチすることが分かっている。今後ペットトレードによる野生動物の搾取を減らし動植物を保全するという観点からも、ボア・コンストリクターの様に安定的に供給されるペット爬虫類の存在はますます重要になっていくと思われる。

・・・みたいな点について書きました。これらが今の所思う「ボアコンが規制されてひっかかっていた点」です。しかし規制したり、緩和を検討してみたり、こうやってチョコチョコ法律を翻すことにあまり意味があるとは思えないな。そういえば9月に改正動物愛護法の施行も控えているし、色々変化の年となりそうですね。丁度、未来の動物の売り方について最近考えていたこともあるので、これについては別記します。

2013年3月11日月曜日

 昨年のバーミーズパイソンとキイロアナコンダに続き、世界中に支部を持つ超大型動物愛護団体・ヒューマンソサエティ(HSUS)が、北米におけるボア・コンストリクター、大アナコンダ、アミメニシキヘビの飼育の規制を求めてロビー活動を展開しています。最近丁度、「私達はヘビをペットとして飼うべきか?」というコラムを読んだばかりだったので、これについて色々思うところがありました。というのも管理人は、ペット・トレードや商業的な利用が目的の野生動物・爬虫類の搾取という問題を踏まえて考えた場合、今回規制対象にされようとしているようなCB化された一部のボア・パイソンやナミヘビの仲間の存在によって、野外採集個体への需要がある程度分散OR抑えられているという現状もあるのではないか、と考えるためです。全体的に見て、今日の爬虫類好きの人々の文化レベルでは「何か面白い動物を飼いたい。手元において間近に眺めたい。集めたい。大蛇やオオトカゲのような、強大な生き物を手中に収めたい。」という欲求を抑えることは困難なため、これらの種類のヘビたちがある意味、人柱のようにその需要を埋めてくれていると思うのです。これらのヘビを飼うということのダウンサイドリスクとして、外来生物による遺伝子汚染や帰化問題があるけれども、そのアップサイドは往々にして無視されがちであると思う。物事の「起こりえるポジティブな効果」というのは、ネガティブな効果よりも検証が難しく、それゆえ「大きな(危ない)ヘビを飼ったっていいじゃないか」という主張には、説得力があるものが少ないと感じやすいのだと思う。

2013年2月11日月曜日

 NRAAC、PIJAC、 ARAVなどアメリカの学者、科学者、ホビイスト団体の指揮により行われる2013年の全米爬虫類・両生類法律シンポジウム&ワークショップがワシントンD.C.で開催されることが正式に決まりました。前回のテキサス大会に引き続き、近年米国内で変化や改定の多い法律関係にフォーカスをあてたものになるようです。前回の法改正から約一年、爬虫類産業において「経済的な影響が出た」とはっきり結論付けるむきもあるし、自分のまわりで行われるエキスポではビルマニシキヘビやアナコンダは未だにふつうに売られている(つまり法が全く尊守されていない)こともあり、現在最新の法律事情を知るのには絶好の機会となりそうです。

2012年10月4日木曜日

 テキサス州で先週、爬虫類と両生類の法律についての全米シンポジウムがありました。最近アメリカでもこれらの動物にまつわる法律の改正案が多く挙がっており、なかでも外来動物と危険動物の規制に関して厳しい再評価が進んでいるので、このあたりで一度専門家や愛好家を交えて話し合いを行おうというものです。先日シカゴのエキスポに行こうとして航空券の価格にたまげていた管理人としては、テキサスもなかなか遠いなあ・・・と少ししんみりしていたところ、2013年の総会は東海岸の自分の住んでいるエリアで行われる事が決まったそうです。まだ先の話しになりますが、実現したらちょっと行って覗いてみたいと思います。

2012年4月24日火曜日

 1月のメモにちょっと書いていた北米での大蛇飼育に関する法改定について。この法律は今年の1月23日に連邦法令集に発表されたもので、3月23日、レイシー法(違法な野生動物、魚、植物の売買を取り締まる)に基づいて4種の蛇を有害種と定め、取り締まることを決定されたものです。今回の法改正を主に推し進めてきたのは全米魚と野生動物検査機関(USFWS)、全米地質検査機関(USGS)、南フロリダ水系行政管理局(SFWMD)などに自然保護団体が少々という構成で、この法律によってアメリカ国内ではイエローアナコンダ・アフリカンロックパイソン(セバエ、ナタレンシス両方)・バーミーズパイソンの国外からの輸入、州の境界線を越えての輸送が禁止になりました。法を作るという点では2008年にUSFWSが提案したボア科の全種+47種のニシキヘビを有害種として規制するという無茶苦茶な法案が出されて以来、度々話し合われてきたことらしい。この2008年の案はアメリカの爬虫類愛好家のグループによって打ち消された。ということで満を持しての改正ということのようですが、個人的にこの法律にどのくらい実効力があるのか、皆が実際これを守るのかどうかかなり疑わしいんですが、とにかく制定されたことには間違いないので以降公式の場面ではこの法が作用していくことになります。自分としてはグリーンアナコンダとレティックは免れたにも拘わらず、イエローアナコンダが規制されたのがかなり腑に落ちず、これについて愛好家の間では、米国ではこういう規制を実行する前に法が産業にとってどの位のインパクトを持つか調査が完成されなくてはならないため、現時点でとりあえず最も影響の少ない(=流通量の多くない)種を規制して様子を見てみようという事なのではないかという意見が多数を占めていた。(というかやはり欲しいと思った時が飼い時だったのだなァ…、最近だんだん色彩変異個体なども固定されてきて、これから面白くなりそうという雰囲気だったので残念)

 まとめ、管理人はこの法律は州法止まりだと思っていたのでかなりがっかりしました。このような法を全米単位で共有する意味を全く感じない。バーミーズパイソンがフロリダで生態系を破壊しているのは紛れも無い事実であり、フロリダ州や似た気候や環境のある州の間でこの法が発行されるのは理にかなっているますが一方で、米国は広いのでバナナで釘が打てるような州も沢山あるわけです。フロリダでバーミーズパイソンの大規模な帰化が起こったのは無責任な飼育者による生体の投棄やハリケーンによる繫殖施設の損壊が直接のきっかけですが、上述したような気候的に帰化はあり得ない州というのが多く存在し、本法はそういう場所からも爬虫類ビジネスの可能性を奪ってしまっていると言える。一番の問題は、一連の法改定の動きを通して愛好家の間に不安要素を作ったこと。育てるのに比較的時間がかかり、長寿でもある大蛇を好きで飼っている人々にとって、自分の飼育動物が将来違法になるかもしれないという不安感は確実に購買意欲の減少につながると思う。これらの観点からもこの法律は、本来は州法レベルにして、そのかわりにフロリダ州や近隣州で厳戒な効力を発揮する法を制定し、そういう所に力を集中するべき法であったと言えると思う。

2012年1月22日日曜日



 少しの間に色々なことが起こっています。まず、いくつか13日の日記に書いたコピーライトに関する法案は、日本の新聞でも取りざたされているのを見ましたが、各企業や一般からの反発があまりにも激しく、取り下げになりました。管理人は自分のみみっちい寄付が無駄にならずにすんだと喜んでいました。それが2日前で、今度は自分の住むバージニア州のエキゾチックアニマルに関する改正法案に対して、異議を訴える手紙と、多分爬虫類の事を良くわかってないであろう役所の人たち(このあたり、日本もアメリカも同じですね)のために薄い冊子をつけてみようかと思って、作成中です。この他にも別件で地元の法律関係の事務所に簡単な意見書を出したりしてばたばたとしていました。

 話は変わって上の写真ですが、フロリダでボア屋さんをしているOrlandoさんという人のところにいるボアコンストリクターです(写真は了承の上使用しています)。どうでしょか?自分はかなりかっこいいと思ったのですが…。ちょっと前の記事で「ブロック型のがかっこいい」と言ってしまったロンギコウダのサドルですが、訂正します。最近、いろんな所で選択交配の成果がぼちぼちと現れてきているように見えるロンギですが、この個体(因みに選択交配ではなく偶然の産物とのこと)のような表現は見たこともなく、想像したこともなく、意表をつかれたような気分です。品種のことについてはあまり分からないので断定できませんが、これはモトレーということになるのかな?今の所ブリーダーさんの所ではただ「黒っぽい仔」と呼ばれているこの個体ですが、もう一匹別の兄弟も同じようなかんじということで、遺伝の方にも期待が持てそうとのこと。それにしてもかっこいいヘビだ!ぜひ実物を見てみたいです。

2012年1月12日木曜日

 きのうか一昨日のニュースで見ましたが、アメリカの議会が「知財を保護する法案をもっと強力に打ち出そう」という法案を議題にあげるかどうか、ということで揉めています。知財のことなど自分のような一介の爬虫類好きには関係ないように思われるけども、今回の法案の中に(引用元を明記するとしないとに関わらず・営利非営利に関わらず)誰かの知的所有権下にあるものを、特にウェブ上に引用する行為自体を禁止、というかなり大胆なアイデアが含まれていて、ここが問題の焦点です。この法案が通ると何が起きるかというと、例えばこのBOA.NOTEでは、洋書やいずこかの英文サイトに載っていた飼育手引きをそのままコピペなどは違法になるのですな(しないけど)。

 この例えだと規模が小さすぎてあまり影響らしい影響は見えないかもしれませんが、たとえばウェブ上の情報サービスや一部のソーシャルネットワーキングサービス、ウェブ上のオープンソースの百科事典などでも同様のことが起こると考えると、また違った反応になるのではないかと思う。現に、オープンソース百科の大手であるウィキペディアはこういう議題のアイデアが出ている時点でかなり拒絶反応を示していて、有事の際はプロテストとしてウィキペディアの全ページを閉鎖する方針らしい。日本でも日ごろ、ウィキペディアのお世話になっている人も多いと思うけれども、そういう人にも関係してくる話題だとおもう。マイナーな爬虫類が好きで飼っている人などにとってウェブ上にある(ボランティア的にアップされた)製作者が明らかなテクストなんかはとても役立つけれど、そういうのも駄目になってくるということだ。今はまだ案件の状態だけどこれからどうなるのか見守りたいところ。とりあえずニュースを見た後ウィキに何十ドルか寄付した。