2014年2月12日水曜日

 デンマークのコペンハーゲン動物園のキリンについて(キリンを来園客前で解体、ライオンの餌に MSNニュース)賛否両論が白熱していますが、みなさんはどう思われたでしょうか。管理人は「生きること」だとか、「性」とか「死」に対して常に直球勝負してくる、非常に北欧らしい態度だと思って少し感心してしまいました。あの空気感は実際そこへ行ってみないと分からないものがあると思います。他の文化圏の人々からは理解はされにくいでしょう。アメリカだったら今ごろ職員室に銃弾が打ちこまれているところです。

 話がそれましたが、動物園職員による展示動物の殺処分というのは、実はそんなに珍しいことではありません。管理人は米国立動物園のキーパーエイドとして園の中に入るようになってまだ2ヶ月ぽっちですが、この間すでにチーターが一頭、健康上の問題を理由に安楽死処分となっています。英国のロングリート・サファリパークでも今年はじめ生体の密度調整のため、健康上全く問題の無い6頭(4匹の子ライオンを含む)を安楽死処分しています。このような判断は通常、時間をかけて、動物のエキスパートたちによる議論に議論を重ね、検査や治療を重ねたうえで決定されているので、今回多くのメディアが主に安楽死と解体のパートだけをとりあげて、センセーショナルかつ批判的報道をした事はちょっとフェアではないと思いました。

 動物園で働く人々を間近に見て思うのは、ここはディズニーランドでも、かわいい動物とならんで写真を撮ったりするだけの場所でもないということです。現代における先進国の動物園とは、健全な生物種の保全と保護を推し進める場所であり、同時に教育機関でもあります。重要なのは動物園はアニマル・ウェルフェア(動物の福祉・繁栄)側にたった機関であり、その活動はアニマル・ライツ(動物の権利・愛護)の考えとは一線を画しているという点です。動物園は限りある予算と物質的な制約のなかで、その種に対して最大級の貢献をすることを常に問われており、そのために一般の人からみれば「ダークサイド」ともとれるような一面を持ち合わせています。今回の一連の出来事は、大衆がそのベールにつつまれた「ダークサイド」を垣間見るきっかけになり、今後、動物園の成している役割とその重要性について一般社会がより成熟した理解を示すための一歩になるんではないかと思いました。

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