2014年9月26日金曜日

ミミナシ・サイドストーリー

借りてこられたオモチャ代表

 ミミナシオオトカゲの国際的なペットトレード数が過去2年間で急激に上昇している事が環境系ニュースで紹介されていた。70億年の歴史を今に留める、ボルネオ産のこのユニークなトカゲは日本にも輸入されて大いにメディアの注目を集めたものだが、記事によればこれと時を同じくして海外のペット愛好家のコミュニティ等でも関心を集める事となり、次いで非合法なものも含めた商業活動がはじまったということらしい(TRAFFIC調べ)。この組織の主張によると、過去2年間でこのトカゲの違法な採集と商業活動が日本、フランス、ドイツ、ウクライナ、チェコで確認されたとされ、今年の春にも違法なトラフィッキングルートに乗せられようとしていた40個体が押収されたという。この数だけでも1930年代以来から80年間で、学術的な動機で採集された全個体数のおよそ3倍にあたるという。

 個人的な考えだけれど、ミミナシオオトカゲって、ひょっとしたら野生下では「村人しか行かないような森の奥」みたいなところへ行けば、局所的にワラワラと存在しているタイプの生き物なのかもしれない。ただ、仮にそういう事実があったとしても、先週のGoPro株でもあるまいし特定の野生の生物が市場で急速にトレンド化するのは良くない事で、そうさせてしまう側のホビイスト達のモラルが問われる。このトカゲに関して言えば、ボルネオの自然は過去100年間ずっと減少傾向なこともあり、おそらくどんな類の搾取にも耐えられないであろう事が第一の不安材料だ。またこれだけ希少な動物なので、ふつうは学術関係組織~保護団体~なんやかや~というのが真っ先にやってきて「理性と良識」として機能する所が、ミミナシオオトカゲの場合商業者達の瞬発力がなんとなくそれを凌駕している点も良くない。

 それにしても残念な事だが、生態系の頂点に君臨している人間様と付き合ってゆくためには、いきもの達には今のところ殺されるか・搾取されるか・オモチャになるかしか選択肢がないらしい。この世の生き物達は、そんな猟奇エロ小説のようなシチュエーションに追いやられつつあるのだ。

2014年9月20日土曜日

最近のすあま

対比 4月→9月

 今年の4月に拾ったヤモリの子供について。コオロギSサイズを食べられるようになったあたりからセットした水槽に放り込んで、基本的な水替え・餌やりをする以外は見もしないという、放置プレイをしながら今に至っていますが、今日たまたま日中動いている所を発見した所トリコの小松並の変化を遂げていた(主観100%)。殆ど放任されて生きてきたためこの小さなセットの中で野生を身に付けたらしく、目の動きも鋭く行動も俊敏になって、以前のヤワヤワでフニフニだった仔ヤモリの面影はもうない。ただ、夜中にほんのりとしたすあま色になっている所は変わりなく、かわいさ度は保守の方向らしい。

 トルコナキヤモリ(ターキッシュゲッコ―、メディテラニアンゲッコー)は殆どペットとしての需要はない種かもしれないけれど、一応これまでの飼育環境をメモしておく。水槽は45センチのアクリル製で、これで十分終生飼育できると思う。温度勾配は、今計ってみたら24.4℃~32.7℃となっていた(過去5ヶ月何も環境を変えてないのでこれでずっと安定していたはず)。雰囲気的に、低温には案外弱そうなので22℃は切らないくらいにした方が良いと思われる。餌はヨーロッパイエコオロギのS~Mサイズを週に5匹やっている。代謝がいいらしく結構よく食べるが、成長期だからかもしれない。水は容器の他に一日1回霧吹きで壁を湿らせて与えている。

2014年9月15日月曜日

やつは恐竜の子孫だ 間違いない

ズオオオオ

 9月に入りちょっと暑さが和らいで来ました。となると皆自然と家の外へ出たくなるようで、たまにバイトしている近所のペットサプライ店がけっこう忙しい。そんな状況を察してか、ある日お店に行ってみると大きなオウムが応援に駆け付けてくれていました。管理人は毛のない生き物だけでなく鳥も大好きなのですが、彼らはよーく見ると端々に「爬虫類出身者」をにおわせる特徴があり(足とか)、親しみを覚えるのも理由の一つかも知れません。写真のオウムはココちゃんといい、大きなタイハクのメスです。白色の例にもれず雄叫びがすごいので捨てられた所をレスキューされた鳥だとか。右にちょろっと写ってるお姉さんが流血してように見えますが、これは彼女がココちゃんの爪を若干切りすぎてしまい、出た血を拭いたためで、ココちゃんがあの恐ろしい灰色の鈍器(嘴)でブツッとやったというわけではありませんので、ご安心ください。まあ、このお姉さん自体も半分白人半分アメリカインディアンの血を引き、180センチに届こうかというウォリアーなので全く心配には及ばないでしょう。彼女が片手で軽々散歩しているマスチフ2頭は両方70キロを越えています。アメリカにはこんな猛者がウヨウヨしているのです。うっかり魔界にきてしまったようだ。
 

2014年9月10日水曜日

 昨日の夕方、玄関からピンポンと音がしたので行ってみると「フリフリピンクさん(元軍人)」とは反対側の、左隣の通称「BRISC夫婦・嫁」の方が息せき切って立っていた。地下室の荷物をどけたら黒っぽい小さなヘビが出たから、捕まえてやっつけてほしいという。彼女は自宅で小さな幼児保育を営んでいて、ヘビが子供に害を及ぼさないかすごく心配していたので、一緒にその地下室を捜索(というか掃除)しながら、このあたりでその大きさ・色のヘビはだいたいクビワヘビか、ガーターヘビか、デケイヘビのどれかで、どれも毒はなくとてもおとなしいだけでなく、周辺環境にとって良い生き物なのだということを説明したら、納得してくれたようだった。結局、30分ほど地下室を探したけれど見つけられなかったので、また見たら呼んでくれと言い残して帰宅した。

 そんなことがあったので、児童教育に関わる人の意識を変える事ってとても効率的だなあと今日は思っていた。自分も時々地元の日本人学校で教えているので覚えがあるが、大人たちは『害虫』が出るや、「それが子供に害を及ぼさないかすごく心配」しすぎるあまり、「『害虫』を見ればなにがなんでも殺そうとする大人達をたびたび目にすることが子供に及ぼす害」について忘れてしまいがちかもしれないと思った(まあ、人類の敵・蚊くらいのレベルになればこの『害虫』にも説得力はあるかもしれないが・・・)。反面、先生がそういう生き物に対してのおもしろい知識とか、倫理的な対処法を身に付けていれば、例えば教室に蜂が飛び込んでくることの意味合いは180°変化して、子供達にとってはポジティブな勉強のチャンスになるだろう。

 因みにさきほど道で会った彼女から聞いたところによると今朝また同じ場所に居るヘビを見つけたので、出勤前のBRISC夫婦・旦那の方に頼んで捕ってもらったという。怖かったけど箱に入れて子供に見せたあと、一緒に外に逃がしたそうだ。

2014年9月9日火曜日

ボールの呼吸器疾患解明へ一歩


 ふだん熱帯産のヘビに親しんでいる人ならば、今までに呼吸器疾患に陥っている個体に遭遇した経験がある人も多いかもしれません。我が家でも、以前購入してふた月ほどしか経っていないWC(?)アダルトのレインボーボアを、原因不明のひどい肺炎様の症状で落としてしまうという苦い経験をしたことがあります。呼吸器の病気は急速に進行したり、また比較的悪化するまで症状が見えにくい場合もあったりで、ブリーディング施設や専門店、個人のコレクターにとっては非常に怖い存在といえるでしょう。

 今週サイエンスジャーナルに発表された記事によると、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者チームが呼吸器疾患で死んだボールパイソンの呼吸器の組織から、病理学上非常に重要と思しきウイルスの同定に成功したと書かれていました。発見されたのはこれまで発見されてきたどのRNAウイルスよりも大型の、新種のニドウイルスの仲間とのこと。90年代以降、キャプティブ下のボールパイソンの間に見られる致死的呼吸器疾患の原因についてさまざまな研究や推測が成されてきましたが、従来の判別技術では決定的な因子の同定にまでは至っていませんでした。今回ウイルスが同定されたことによって、この長い間不明瞭だった疾患の全貌解明と、獣医薬学上の新たな一歩が踏み出されたことになります。同研究者チームは今後引き続きこのウイルスが生体内で実際にどのような動きをし、何が決定打となって病気が引き起こされるのかを調査していく方針とのことです。

(写真上)先日ぶらついた即売会で、ゴーストシルバーストリークの女の子がポ~っとしているのを見かけた。
(写真下)同じ即売会で目撃したレッサーブラックパステル、ブラックパステルピンストライプ。とてもかわいい。
     値段はとてもかわいくない。

2014年9月5日金曜日

「古き良きハープカルチャー」時代の終わり


 先日のメモでちょっと触れた、北米での危険動物条例(Dangerous Wild Animal Act)の改正の動きについて。この問題は2年前にも書いた事がありますが、最近、この「危険動物」のカテゴリの中にわれらがボアコンやアミメを含めようという風潮になってきているのが、ここのところホビイストの間で話題になっています。日本で既に経験したこのナンセンスに再び遭遇することになろうとは。法律の内容自体は別としても、こうして一歩一歩歩幅は小さくともここ5年くらいで当地の動物関連の法律が着実に改定を重ねている点も不穏な感じがします。極論かもしれないけれど、こうやっていつしか大型爬虫類自体一般家庭では飼えなくなるのではないかと、いち愛好家としては本能的に危機感を感じるものであります(実際今年の3月にはお隣のウエストバージニア州で、コンストリクター類ふくむ「危険動物」の飼育自体が全面規制になるというあまり他人事ではない出来事もあったばかり)。管理人は、いわゆる「危険動物」の飼育に関してライセンス制とかペット税の導入などには肯定的、というかむしろ、イヌネコ含む全てのペットに課税しろとすら思っているんですが、それと同時に、絶滅危惧種でもないかぎり自分の責任下で好きな生き物を飼う事は根本的・普遍的個人の自由のひとつだとも考えているので、「家庭での飼育も禁止」となったら人権にかかわることだと思う。

 これは日本に住んでる爬虫類ファンにも、100パーセント関係ないとは言い切れない話題ではないかと思う。アメリカは年に約11億3000万匹もの爬虫類を世界に供給する(2009年)世界一の爬虫類輸出国であり、このシュミにとっては心臓とかエンジンに匹敵する場所。爬虫類産業の場合、これらの数字の多くはブリーダーやプロショップなどの、ビジネス的にはいわゆる「中小企業」と言えるユニットによって支えられているので、一つ一つの法律や法例がそれらに与える影響についても気を付けなければいけないと思う。そして、多くのブリーダーにとって爬虫類は「仕事」として以前に、趣味としての根源的な情熱がないと成り立たない側面もあるのではないかと思う。たとえば自分が爬虫類のファームを持っていたとして、ペットショップ等に卸すためのメジャー種を「仕事」として増やす傍ら、アフターファイブは自分が本当に好きなアミメニシキヘビのブリーディングに力を入れていたとする。ところがある日を境に「今日からあなたはフトアゴとコーンスネークとベルツノとチョウセンスズガエルしか飼育・繁殖しちゃだめになりました」と言われたら、かなりやる気を失う気がする。実際のところ、日本で言われる「マニア垂涎」的な動物たちは、アメリカの商業ブリーダー達によって、本業とは別の情熱でもって細々と殖やされていることも多いのである(ユーロ産の個体であっても元親のストックはアメリカから来ていたりすることもある)。とにかく、シュミの世界においてこの国に経済的な元気さと人々の適度な自由さがあることはクリティカルである。

 ・・・とか言ってたら昨日テレビでカリフォルニアでペットのリューシスティックコブラが逃げちゃったよというニュースを見た。こうしてハープカルチャーは、熱心なハープファン達自身によって(よくもわるくも)転換していく気がしないでもない。最近いろいろなメディアを見ていると、全体的にこの国では「古き良きハープカルチャー」の時代は90年代後期くらいを境に終わった傾向があるように思う。

2014年9月3日水曜日

北欧雑貨だと言い張る

Anisota senatoria

 無垢材を背景にすればなんでも北欧雑貨に見えてくる世の中。これは、ほしい。イモメッコのソックスクリップ。アウトドアで魅せよう、「余分をたのしむ」靴下のアクセント。#ていねいなくらし

 今書いていてブルッときたのでやめますが、ここのところ効率よく「夏」を謳歌するにはどうすべきかを懸案した末、比較的短い拘束時間でも満喫できる気がした「炭火焼グリル」を裏庭に設置しました。しかし、通り道にしている両生類のために殺虫剤等を極力使用しない方針でやってきた庭なので、いつのまにやら虫天国状態。ちょっとアー写気味に撮ってみた(当社比)写真のオークワームも知らぬ間に靴下の上にジーッと佇んでいたので危うく踏む所だった。管理人は過去にも丸々太った終齢の野蚕系イモムシを素足で踏むという大参事に見舞われた事があるため、この手のうっかりミスだけはどうしても回避したいところであります。


 そして現在の裏庭の様子。グリルの箱には700F度(370℃)までのメモリが付いているけど、家庭の調理でそんなに温度が必要なものはあまり思い浮かばない(ピザも食べないし・・・)。しかし、火で遊んだり、何かを焼いてみたりするのが本能的に好きな自分のような者にとっては、「本気出せばちょっと高温になるアイテム」というだけで、若干胸が高鳴るものがあることも確かである。

 ところで、炭火焼器の後ろに写っているのが以前大雨で流されたオタマジャクシを助けるのに役立った例のミニ緑地です。暑さと忙しさにかまけてここの改造計画は頓挫してしまい、かわりにコンポスト兼、採集してきた地元産シダ類を植えるスペースと化してしまったのでした。残念な一方、餌も水場もシェルターもあるせいか定期的に住み着くカエルが現れるようになったので、今のところはそれを見て喜んでいる。