2012年8月25日土曜日

 ボア科のヘビの飼育者の間でヘビエイズ、封入体病(IBD)等と言われている病気を引き起こすウイルスが発見されました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者によると、このウイルスは人間に感染すると出血熱を起こす2種類のウイルスのマッシュアップ(混合体)だそう。アレナウイルスといってげっ歯類などに潜在感染し、それが偶発的にヒトに感染すると致命的な症状を起こすというものですが、今回ヘビから見つかったものはヒトへの感染力は全く無いそうです。研究者の間ではこれについて、ある時何らかの要因でたまたまこの2種類のウイルスを持ち合わせたヘビから新たなウイルスが発生したという意見と、現在知られている数種の出血熱ウイルスに分化する前の、原始的な段階にあるウイルスであるという2つの意見が出されています。現時点で未だ治療法は無く発症すると個体にとって致命的だという事に変わりはないですが、今回病原体が同定されたことによって、導入前に遺伝子を調べることでその個体がIBD感染しているかどうかを知ることが出来るようになりました。これは動物園、水族館や保護繫殖施設など一箇所に多くの生体を飼育しなくてはいけない場所では特に大事なことですね。興味の有る人はこの記事とか、このビデオとか、またナショナルジオグラフィックのウェブやヤフージャパンで日本語の記事が読めるようなので見てみてください。



 写真は全然関係ないけどベルギーの動物園にいたサンフランシスコガーターヘビ。ここの爬虫類館は小さくて汚くて古いですが、水槽の中はどれも結構真面目にビバリウムになっていて、古き良きヨーロッパのハーペトカルチャー風でなかなか良い感じでした。しかし肝心のヘビは皆してランプの傘の上に乗っかっていました。多分寒かったんだと思いますが、ガーターヘビの、「けして頭が良いわけではないのになぜか絶対人の思惑通りにはならない感じ」が出ていて、気に入っている写真です。

2012年8月24日金曜日

 更新:「旅行記」にVA州で行われた即売会の様子をアップしました

 家から40分ほどの小さな田舎町で開催されたローカル爬虫類即売会に行ってきました。即売会はガレージかほったて小屋に毛が生えたみたいな所で行われていましたが、入ったらさりげなくブライアン・シャープさんが居たので、どんな小さな即売会でも侮れないなーと改めて感じました。大変気さくな人で今年のデイトナエキスポについてとか、今米国内のショーで個人的おススメなど、爬虫類に長年携わる人ならではの貴重な意見を聴くことが出来た。アドバイスを元にいくつか面白そうなエキスポを見つけたので、できたら今年中に行って見たい。

2012年8月18日土曜日

 ヘビは伸縮性のある皮膚と柔らかい顎関節のおかげで体に対してかなり大きな餌でも呑み込むことが出来るというのは有名な話ですが、近年ビルマニシキヘビの研究によるとヘビが餌を飲み込んだ後、一部の内臓自体も大きくなる事が分かったそうです。内臓は単に餌によって拡張されているのではなく、ホルモンの働きが積極的に新しい細胞を作り出して、心臓を中心とする代謝器官のサイズが最大で元の1.5倍~2倍の大きさにまでなるとの事。これらの器官が食餌から12時間以内に成長をはじめ、76時間以内に最大になり、その後10日をかけて元の大きさまで戻るという、この一連の出来事の間、ヘビの身体の代謝スピードは平常時の40倍にのぼるのだとか。これがどんなホルモンの作用によって起きるのか解明されれば例えば人間の心臓病や心臓肥大の治療、果ては宇宙飛行士の心臓が萎縮するのを食い止めたり出来るのではないか?と考えられているらしい。米国では帰化問題で厄介者扱いされているビルマニシキヘビですが、未来の医療ではヘビの体内で育てた心筋を人間に移植!とかやっている可能性もあるかも知れないですね。自分も機会があったらちょっと試してみたいなー。


2012年8月15日水曜日

 フロリダでのナショナル・ブリーダーズエキスポに行く予定で準備していましたが、手配が上手くいかず今年は見送ることにしました。名目上北米最大のショーと言われ、見たいブリーダーもいるし、日本からもはるばる爬虫類仲間が来たりするイベントなのでとても残念です。今後の遠出予定は、タイミングが合えば西海岸(ロサンゼルスかサンディエゴ)のショーに行くと思います。ドイツは来年になりそう。個人的に最近欧州のショーが楽しいと思っているので、行ったら是非ハムショーをはじめ、ローカルの即売会なんかに足をのばしたいと思っています。あと中国にも行ってみたい。

2012年8月14日火曜日

 福島第一原発のまわりで採集されたシジミチョウに異変が見られたという記事がアメリカの科学雑誌にレポートされていました。日本の学者による調査で得られたサンプルをもとにまとめられた報告によるものだそうです。5月に一回目、9月に二回目の採集をし、最初の調査では12%のチョウに身体奇形などの異常が見られ、二回目の調査ではこの異常の率が28%に上昇したとされていました。また繫殖実験によって放射性物質によって起こされた遺伝子の異常が遺伝する事が分かりました(9月に採集されたチョウ同士の子孫の52%に異常が見られた)。この9月に採集されたサンプルの繫殖実験がラボ内で行われたのかどうかが分からないのではっきり断言できないけど、半数を超すチョウに異変が見られたということになります。記事によるとこの9月のグループは5月のグループと比べ生育期間中により放射性物質に露光したため、遺伝子の損傷がより進んだということのようです。この異常は班の大小や触覚の長さが変わるようなものから、重度になると羽が生まれつきしわしわだったり、成虫になれずに死んだりしたということです。



 ところでこのチョウチョの写真見てて思ったのがヘビの品種改良のことなんですが、アメリカとかだと、びっくりするような品種をほぼ毎年のように作り出すブリーダーがいますが、あれって普通にやってたら不可能だと思うのです(今は違うと思いますが、色々なモルフが作出されはじめた初期の段階で)。例えば米国で初めてアルビノのボア・コンストリクターが繁殖されたのは1990年とも、1993年とも言われていますが、それから若干20年足らず巷には様々なモルフがあふれるまでになりました。ボールパイソンの品種改良とか本格的に騒がれだしてからまだ10年経つか経たないか位なのに、これだけ沢山の品種があるのは不自然に思います。このチョウチョとか見てると、例えば、発生のごく初期の段階で極僅かな放射線をチョロッとあててやるだけで生き物には結構影響がありそうですね。医療用や食品用・セキュリティ用などに放射線を出す器具というのは案外身近にあふれているから、人によっては容易にアクセスすることができるでしょう。選択交配と改良の結果、模様や体色の原形をとどめないような品種を見ると、わーきれい、おもしろい、欲しいなあ~と思うこともありますが、なにか本質的な異様さを感じることもあります。とまれ、動物の遺伝子であそぶのは楽しいということで人間達はむかしから家畜やペットなどに対してこれを行ってきたわけですが、こうして新聞記事を見たり原子力・核依存社会に生きてみると、いつ自分たち人間の番がまわってきてもおかしくはないなと感じた今日でした。

2012年8月1日水曜日

 ジョーク系のニュースサイトをみていたらメクラヘビの新種発見!男性器にそっくり!という記事を発見。第一印象は「なんかでっかいな~」で、見た感じ明らかにメクラヘビではなさそうなので調べたところ、atretochoana eiselti -アトレトコアナ・エイセルティという全長80cmほどのミズアシナシイモリの一種みたいです。発見された場所はブラジルのアマゾン河の支流マデイラ川の一水域で、水力発電用のダムの水を抜いたところで発見されたそう。こんなに大きいのに肺が無いらしい。それにしてもアシナシイモリって、大きくてもなんだか非常に弱そうですね。「か弱い」の定義である華奢にも、色白にも当てはまらないくせにこの儚さとは一体・・・・・・