2014年1月21日火曜日

ひとかけらの熱帯


 先月DCの冬チョロいもんスよ♪ というメモを書いた瞬間東海岸は寒波に襲われ、外の温度計の針がココ一週間、マイナス10℃以下の枠から出なくなくなりました。そんな中暖かく適度に湿気た飼育部屋でこうしてパソコンに向かって何か書いていると、自分は熱帯とかどこか違う場所に居るような錯覚に陥ります。本当は窓の外にあるもの何もかもが粉雪にまみれているにも関わらず。この部屋は、文明とお金と時間と資源とを駆使して再現された、「ひとかけらの熱帯」的環境だと思うと、外国から来た生き物を飼うってなんと贅沢なことなんだろうと思えます。そもそもどんな生き物であれ「ペットを飼う」というのはどのプロセスをとっても、実に多くのエネルギーの無駄遣いといえるでしょう。違う国、違う環境から来た生き物を飼うとなれば、その無駄は膨大なものとなります。しかし私達人間には、そんな事実をおしてでも(無視してでも)、かわいい・きれいな・かっこいい・珍しい動物達を手の内に入れて眺めたいという、抗い難い「好奇心」という欲求が備わっていますよね。人間の好奇心というものにはギャンブル的側面があり、それによって現実をより改善する打開策を生むこともあれば、破滅への罠となる事もありえます。好奇心に身を投じるということは、意図するせざるに関わらず、結果論からしか裁かれ得ない一方通行のつり橋上に、身を押しやるという事ではないでしょうか。だとすれば、余暇に楽しむ趣味であっても「たかが趣味」と軽んじないで、未来に向かって何か良い影響を残せるような、そこから何かを産みだして行けるよう努める事が大切なんじゃないかなと思っています。

 などと2014年1個目の記事からやけに真面目なかんじになってしまいましたが、以降、例年通りテキトウな感じでやっていこうと思います。今年の「爬虫類の話題的抱負」としては、1、2泊の遠出する系のエキスポ旅行をしたいことと、あとはフィールドへ積極的に行きたいと思っています。手始めとしては、5月に州の爬虫類愛好会の催しに参加して、野生イモリの棲息密度をカウントしてみたいと思っています。そういえば先日連邦政府閉鎖によって延期となった爬虫類・両生類に関する法律のシンポジウムが3月に行われるので、まずはそこにちょっともぐりこんで、皆がどんな事を話しているのか聞いてみたいと思っています。先月全米の爬虫類愛好家を総括する団体(かなり大きい)が、全米で危険動物の取引を制限する法案が可決されたことに対する裁判などを起こしているもようなので、より躍動した議論が展開するものと見越されています。

 最後に、以前書いた「何某」にある、「某」に応募してみましたの件について。面接、健康診断、適正審査、身辺調査等の過程が無事に終わり、管理人はスミソニアン国立動物園の爬虫類センターにて「キーパーエイド」の認定を受けました。キーパーエイドとは選抜された有志の補助スタッフの事で、付属動物園のバックヤードに入り、週1で飼育員や学芸員の活動をサポートする人材のことです。スミソニアン学術協会と付属動物園は全米に放映される専用チャンネルをもち、自分がサポートしているいきもの達がテレビで見られたり、大統領一家を訪問したりなどとちょっと珍しい、おもしろい現場なので、刺激を受けるには最適の場所です。これから一年間の契約期間を通して、楽しみながら爬虫類をとりまく世界について考えてみたいと思います。