2013年11月30日土曜日

Panamanian Golden Fron (Atelopus zeteki)

 以前ヘビの知能ってどのくらいなんだろうというメモを書いた時、まったく根拠なく「大型のヘビでだいたいキンカ鳥くらい」という予想をしたことがありました。それ以降も爬虫類の知能に関する本や資料などがないかちょくちょく気にはしていたのですが、基本的にあまり話題性のある題材ではないらしく、大した収穫はありませんでした。しかしここへきて「冷血=愚盲ではない」という新聞記事を発見!やはり世界のどこかにはこの題材について一生懸命調べている人々がいたんだな~と、感慨もひとしおです。記事の概要はと言えば「爬虫類って皆が思っているより頭が良いのだぜ」という啓蒙メッセージに終始している感はありますが、もうひとつの要点として、爬虫類の仲間における行動の柔軟性(外部の状況の変化に応じて自分の行動を変化させる能力)が、従来考えられてきたよりももっとずっと発達していることが特筆されていました。

 記事によるとこの「行動の柔軟性」とはよく鳥類や霊長類の間で報告されるもので、要するに個体が全く新しい環境に置かれたとき、自分の従来の行動を容易に変化させることで食料確保を可能にする、という類の頭の使い方だそうです。例えばある実験で、最初景色を頼りに迷路を攻略していたアカアシガメが、カーテンによる覆いをつけられた後即座に「作戦変更」を行い、体系的に迷路を探索する方法を編み出す、プエルトリコ産のアノール(Anolis evermanni)が、本来捕食と水を飲むためのみに使われる舌を使って、餌の上に被せられた紙蓋をはじいて外すことを素早く学習したことなどが、この「行動の柔軟性」の例として挙げられていました。

 近年さまざまな分野において爬虫類や両生類に対する理解が深まると同時に、これらの動物の真の知能を探る実験がより彼らの生態に即したものになってきていることも、今回の発見につながったようです。今後もまた「頭の悪いいきもの」と思われ軽んじられて(無視されて)きた動物のなかから、すごい能力をもったヒーローが出てくるかもしれません。

 (写真)国立動物園に居るゼテクフキヤヒキガエル(パナマキンイロガエル)。このパナマ固有のヒキガエルの仲間は、環境の悪化、密猟、カエルツボカビ症によって2007年を最後に生息地で観察されなくなったため、現在では野生個体は絶滅したと考えられている。写真に写っているカエルはツボカビ症の猛威が予測された地域から事前に採集されていた個体のうちの一匹で、およそ12年の生を研究と繁殖プログラムに捧げる、か細い未来の担い手。

2013年11月29日金曜日

 ひとつまえのメモに書いた池を今日も覗きました。気温は6℃だったので、もっとカメがいるかも・・・・・・と期待しだけど今日は1匹も見られませんでした。今日は、予報では終日曇りで晴れ間が出ても気温は上がらないと出ていたので、カメの天気占いもなかなか正確だと感心した。

2013年11月27日水曜日

 野暮用で家から30キロほど東へ離れた街へ。途中、息抜きにおりた公園の池をなにげなく覗いてビックリ、なんとキバラとアカミミガメが甲羅干しをしていた。晴天で日はかなり照っていたが気温は2℃しかなかった。

2013年11月15日金曜日

 以前書いた爬虫類に関する「何某」の「某」に応募したという件の計画ですが、今ちょっとづつ動いています。先週中に審査に通って、面接を済ませ、早ければ来月から登用される模様。今日はその施設「何某」の衛生ユニットでワクチン接収を済ませてきました。今の所まだ本登用されるかどうか分かっていないので、本格的に決まったらここにも書きたいと思います(???)

2013年11月7日木曜日

"Amazonia(アマゾニア)" in DC zoo is my a-favorite exhibits among many. 
Although I wouldn't say the building is quite spacious, the two-storied enclosure showing the ecosystem of the tropic wildness is still blows my mind. 

 ここのところ数日であった爬虫類の話題数点。まず2月のメモに書いた、本来今週末に行われるはずの爬虫類と両生類の法律に関するシンポジウムは、先日の合衆国政府閉鎖の影響で延期になりました。遠足前の小学生のように微妙にウキウキしていた管理人はちょっとがっかりしました。という事で今週末は、国立動物園のアマゾン温室で程よくあったまって来ようかなと計画しています。

 話題その2、しかし人間と言うのはある程度衣食住足りて、このような突然ぽッと空いた時間が出来るとろくな事を考えないものですね。自分の場合、突然思い立って爬虫類関係の「何某」にある、「某」に応募してみました。・・・とこうして書くと全く意味不明なんですが・・・いずれなにか動きがあった場合また書きます(???)。

 話題その3、爬虫類界における「良きソマリア人」のはなし。先週サンディエゴであったエキスポで、13歳の男の子が誰かが会場に置き忘れたロージーボアを運営者に届け出、それに感心したブリーダーとズーメッドからボアコンストリクターの子供と飼育ケージを贈与されるという一幕がありました。この男の子はケージ代と生体代を乏しいお小遣いから捻出するという2年がかりの計画の最中だったそうで、彼にとっては非常に嬉しいサプライズだったことでしょう。こういった事はアメリカ人の、ちょっと古臭いタイプのヒーロー譚として結構よく聞かれるはなしではあるのですが、子供にとってはコミュニティにとって何かいいことをする←→リワードがあるという健全な相乗効果と成功体験につながるので、いい事と言えるでしょう。自分の幼少時代をふりかえってみても、子供のすることを客観的に評価して、報酬をくれる大人の存在ってわりと大事だったと思う。それと同時にこんな出来事は、「ねこばばは卑しい」という恥の精神が老若男女全てに浸透している日本ではニュースにもならないはずで、そこに文化の違いも感じました。

 話題その4、ヘビは瞳の上を覆う鱗(スペクタクル)を流れる血流をコントロールすることで視界を最大化できるというはなし。これはカナダのウォータールー大学の人がコーチウィップスネークの瞳を観察した結果分かった事。個体が驚いたり興奮したりするとスペクタクルの中を走る微細な血管のネットワークが収縮して、ちょうど窓のブラインドを空けたような状態になり、結果ヘビがより良い視界を確保するのを助けるんだそう。人間でも興奮すると交感神経のスイッチがオンになり、結果体の特定のパーツが収縮する、という事は起こるので、理屈抜きでも納得出来る話ではあります。

 話題その5、もうひとつ目の話。人間の虹彩パターンは個人個人異なっており、この事実はセキュリティ情報を取り扱うシステムなどにとって重要だったりしますが、ヤモリの虹彩パターンもまた一匹一匹違っている事が分かったそうです。それだけだったら「あっそ」で終わりそうなものでだけど、この事はヤモリの種の保全にすごく重要なんだそう。なんでも、ヤモリの個体数や棲息密度などを調べる時、従来のペイントを施したり特定の指先を切除するやり方では、生存競争の中で不利になる可能性があるのではないかとしばしば議論がなされていました。瞳をスキャンするやり方なら(個体を捕獲する必要は未だあれど)個体に撮って苦痛やダメージを与えずに、100%の精度で個体識別が出来るということで、注目されています。ヤモリの仲間はよく宝石みたいな綺麗な目をしているけれど、綺麗なだけではなくこんな所で役に立つとは。このやり方はヘビにも使えるような気がしますが、もしそうなら画期的です。

2013年11月5日火曜日

The exotic animal store in Rotterdam, Netherlands I used to live nearby was found last July within a disastrous condition
- Hundreds of reptiles and rare mammals were starved to death.

 上の写真は以前オランダに住んでいた時、近所の日サロの跡地にある日忽然と出来ていたエキゾチックペットのお店。ここ、中に電気は点いておれど、一度も実際に営業しているところを見たことがないというあやしさ10万ペソな店でした。改装が始まってから数ヶ月たっても一向にオープンする気配無く、近所の人も、時々外から覗くなかなか綺麗な店内と、不思議な営業形態(?)のギャップに首をかしげていました。それがだいたい2年前のことです。

 先日知り合いが教えてくれたところによるとここのお店、なんと真夏の店内に100匹以上のエキゾチックアニマルの死骸が放置されていたという、スプラッターな事件で新聞沙汰になっていたのです。猛烈な悪臭が近隣一体を包んでいる中、お店の経営者は近くの川辺でのんびり(??)していた所を逮捕されたとか。この店のあるスヒーブルクスという場所はごく普通の郊外の住宅街で、日曜になると緑のオウムをたくさん止めた乳母車を押す老婦人が日向ぼっこしていたりと(今思ったけど、これも十分あやしいかも)比較的のどかな場所なので、周辺住人はさぞや驚いたことでしょう。ニュース報道を見ると、よくりんごソーダを買っていた地元のガソリンスタンドとかビール屋のおじさんが、とばっちりを受けてインタビューされていた。一体全体どうしてこのような事になってしまったのか見当もつかない事件ですが、爬虫類に限らずエキゾチックアニマルのお店や個人コレクター・ブリーダー等の間でこのような話はなぜか定期的に聞かれます(アメリカでもついこないだこんなニュースがあったばかり)。ペット史の浅いこれらの生き物は犬や猫に比べ倫理基準が発達しておらず、多様な飼育形態に関する基準もまちまちで、また基準を作ること自体もおそらく不可能なため、超過密飼育や、様々な理由で本来飼育するに適さない人でもどんどん生き物を買えていってしまっている現状があると思う。この趣味を長く・楽しく続けていくにあたって、飼育者や商業活動に関わる人達皆が爬虫類・両生類という貴重で繊細な生き物を扱っているという自覚をすること、また個人個人のモラル感が今後ますます重要になっていくのではないかなと、この事件を耳にして思いました。

2013年11月4日月曜日

 カメに関する面白い記事を、今月号のナショナルジオグラフィックで見つけた。曰くタマゴの中で起こるカメの発達ってとても変わっていて、途中まで他の脊椎動物と同じように発生するものの、16日目あたりで突如肩の骨(肩甲骨とか)があばら骨の内側へ移動するという。体の外側に配置されたあばら骨は時間と共にくっつきあい、こうして脊椎動物の世界では珍しい「エグソスケルトン(外骨格)」が形成されるそう。管理人は、カメの甲羅のなかみ(?)ははじめから甲羅の内側にあるものとばかり思っていたので、びっくり&おもしろかった。記事の終わりの方まで読んでみたら、この研究を発表したのは日本のイリエさんという方がシナスッポンの卵を用いて解明したと書いてあった。こういう所で日本の人を発見するとなんか嬉しくなる。


 そういえばスッポンに関してはいつかメモしておきたかったちょっとしたトリビアがあるんです。
 
 まずスッポンは口からもオシッコを出来るという事。厳密に言うと排泄とはちょっと違うみたいですが(ちゃんと総排泄孔からも排尿する)、汽水域など塩水の混じった環境で暮らすスッポンの場合、体内の水分ロスを最小限にするために口から高濃度の尿素を排出するんだとか。スッポンが水中や、水場で水面に口をつけて「口をゆすぐような行動」をしている時は、尿素を排出している可能性があります。実際に水を飲んでいる場合もあるので傍目には区別は難しそうです。

 それからスッポンは実はスーパー鼻が良いという事。遺伝子解析の結果スッポンは1,137個の嗅覚受容体をコードする遺伝子を持ち、これはイヌにおける同遺伝子(811個)の実に1.4倍にもなるんですね。つまり、スッポンは潜在的にイヌよりも鼻が利く可能性があるということ。実際どのくらいの嗅ぎ分け能力があるのかは分からないですが、個人的にこれは少々納得できる話です。というのも以前アメリカ北部のネイティブアメリカン居留地の近くに住んでた時に、彼らが水中に沈んだ仲間の遺体を捜す時、大きなミズガメに長いひもをゆわえておき、数日後にひもを辿って見つけ出すという伝統的なやりかたがあった、という逸話を聞いたためです。川や湖といっても五大湖周辺なのでかなり広大な場所です。その水の中で肉の放つわずかな匂いを嗅ぎ分けるミズガメの嗅覚は、そうとう優れたものだといえそうです。

2013年11月3日日曜日

 「おサルさんがヘビを嫌う」という話は日本では比較的昔から知られている事ですが、この(人間も含む)霊長類全般に見られる忌避行動のメカニズムが、最近解明されてきています。(参考1)(参考2)(参考3

 一番新しい説によると我々霊長類は脳の一分野に、ヘビの姿を知覚することに非常に長けた特別な神経細胞群をもっているのだそうです。これは有史以来サルが、ヘビに対して被食者という立場にあったために発達したものとみられています。普段の生活の中で「動き・変化のあるもの」を見る事に重きを置いている哺乳類にとって、藪や木陰にじっと潜んでいるヘビを見つけ出す事はより高度な認知能力を必要とします。そのため長い進化の過程で、脳の中にヘビにまつわる視覚情報をより敏感に感受できるパワフルなプロセッサーが形成された・・・という事みたい。この研究を始めた学者さんはそもそも初期霊長類の視覚(と脳)の進化そのものが起きた二大要因が採集活動とヘビの脅威に対応するためであったと考えているほど、ヘビは霊長類にとって危険な敵だったんですね。我々人間の祖先もかつて何万年もの間、毒ヘビや大蛇の脅威に晒されていたのでしょう。今回の実験では飼育下で生まれ今まで一度もヘビを見たことがないニホンザルが使われたそうで、これによりヘビに対する忌避反応が先天的なものだと分かりました。今までは母ザルや他のサルを見て学習するのでは?といわれていたんですよね。思うに、脳の回路や伝達物質、ホルモン分泌の量、レセプターの感受性などは遺伝によるところも多いと思うので、たとえば恐怖を感じにくい脳を持ったサルの親子がヘビを比較的恐れない、などの個体差は生じるかもしれません。
 
 となると「じゃあヘビが好きな人ってナンなの?」て気になります。ここから先は管理人の想像なので話半分で読んでほしいんですが、多分このヘビを知覚する神経細胞群はあるけど、それがどういうわけか恐怖や憎悪を感じる分野ではなく、どっか別の所・・・例えば幸福感とか快感を感じるような場所にワイヤリングされているんではないかと思う。人間の脳とは宇宙並みに複雑なコンピューターであるため、門外漢の自分にはこの程度の抽象的なアイデアしか考え付かないですが、爬虫類好き、ヘビ好きの脳は、一般的な人々の脳に比べてきっとどこか異なる回路があるに違いない!と、勝手に考えています。