2014年3月29日土曜日

死ぬにあたって。若き爬虫類飼育者の場合


 常に人でごったがえす東京の真ん中で生まれ育ったためか、今まで生きてきた中で幾人もの近しい友人達との別れも経験してきました。人生で最初にできた友達だった幼馴染みにはじまり、身体や心の重い病に倒れた人。事故。蒸発。他殺。またある時は、全く何の予兆もなく自宅で誰にも見つからずに、ひっそりと亡くなっていた人もいました。管理人の交友関係は「何らかの生き物の飼育や繁殖にすごくハマる」という趣味がベースになっているものも多かったので、このような時亡くなった人のことを悼むと同時に、心配になるのは飼われていた生き物達のことでした。なにしろ、生き物であってもそれらはもはや「ただのヘビ」や「ただのウサギ」ではなく、故人の形見にも等しいものだから。

 今まで見てきたなかで、「爬虫類を飼っている人」「何らかの生物のマニア」の多くは一人暮らしだったり、またたとえ誰かと同居していても『飼ってる生き物の世話は自分一人が責任を持って全てやってます』というタイプが多かったように思います(管理人もそうです)。またこのような人々の大部分は複数の生き物を飼っていて、中にはかなり多くのコレクションをたった一人で管理していた人もいます。この傾向は因みに、日本に限らず他の先進国でもだいたいそうで、多分、「爬虫類を飼う」「マニア化する」ということそのものが、そもそも良く言えば「自分の世界をもっている人の趣味」であると同時に、比較的内向的で、細部優先型で、アンチソーシャルな人の性質とマッチする側面があるからではないかと思っています。

 さっそく脱線してしまいました。

 とにかく、家庭内から「世話に精通した個人」が突然不在になった時、故人によって作り出された小さな楽園も終わりを迎えます。多くの場合、生き物達は、清潔な空気や水、新鮮な餌、適正な環境(熱や光)の供給を徐々に断たれていきます。亡くなった人の親族は、家族を失った苦しみの中で雑多な手続きやスケジュールに追われ、故人のペットの事・・・哺乳類ならまだしも何を食べるかもわからないようなカエルだか、なんだかにまでは手が回らなくなる事が普通です。そんな時どうするかといえば、良くて近くのペット店か爬虫類屋を見つけだして連絡し生体(または死体)や器具や備品類一式を持って行ってもらうか、ややもすれば、知り合いの子供の友達の兄弟の・・・得体の知れないナントカちゃんにそっくりあげてしまったりとか、外に逃がしちゃったり、どうしよう~と考えてる間にいっぱい死なせちゃったりします。困っている気持ちは分かるのですが、とにかくその生物の大切さや適正な価値を分かっている故人の友人ならば「やめてくれ~!」と思うような事を平気で行ってしまうわけです。これらが、がんばって貯めたお金や貴重な時間を投資して今隣にいる自分の生き物に起きることを想像すると恐ろしくなります。例えばうちのロンギ達がもらわれた先で、ボアコンを初めて飼う小学生にいじられまくり首にまかれてイベント会場を連れまわされる図を想像すると、三途の川の渡し舟に乗りかけた片足もひっこもうというものだし、少なくとも自分は成仏はしない。そのような事態は死んでも阻止したい(死んでるけど)と思うはずです。これは他人事ではありません。ここを読んでおられるあなたの家族は「このヤモリのどこがどう特別で」とか「このエーハイムの濾過機はもう廃盤で手に入らない」とか、そのへんの所に理解を示しますか?そうでなければ、たぶん教育が不足しているので春期講習を企画しましょう。

 とにかくどうやったらこの恐ろしい事態を避けられるのか。管理人がない知恵を絞って考えたアイデアは

 ①飼育者どうしのネットワーキングをふだんからやっておく。
 ②なにかあった時、生体についてどうするかメモかファイルを作っておく。
 ③爬虫類という趣味を「個人のもの」から「家族のもの」にしておく。

です。①のネットワーキングというと横文字でミサワ的な感じですが要は、いい愛好家なかまをつくっておくということです。これは、書いてる自分自身にとっても常に課題。②のメモかファイルは、理想をいえばデジタル形式がいいけど、あとでアナログなおかんが読むと考えるとノートなどにまとめるほうがいい場合もあります。なにかあった時連絡できる愛好家なかまや、知り合いのお店などのアドレスも添える。③は、年長のホビイストの方などは上手にされている人が多いですが、ようは爬虫類を家族みんなで楽しもう!ということです。家族だって、たとえ趣味としては理解できなくても、普段から見ていて気持ち的につながりのある生き物は無下には出来なくなるものだと思います。表情が見えにくく感情移入しにくいヘビとか昆虫などの場合ちょっと不利ですが、そこは努力・友情・勝利でカバーしていけばいいのではないだろうか。

 ところで、自分の今飼っている生き物が未来の形見候補って、ちょっと考えるとおもしろいような気もします。
 爬虫類は長生きな種も多いのでがんばってピカピカに仕上げておけば、後代まで尊敬されたりして。