2013年10月24日木曜日

 今月中旬、日本では「オサンショウウオの会」大会がありました。今回はチュウゴクオオサンショウウオとの交雑問題を大きく取り上げたということで、その現場でもある京都はぴったりな開催場所に感じました。

 京都は、管理人にとっては学生時代短期滞在した場所でもあり、また初めて野生のオオサンショウウオを見られたのが忘れがたい思い出のひとつとなっている、愛着を感じる所です。それは西の確か亀岡という地域だったかな、山間部の道の駅のようなお茶屋さんで昼ごはんを食べ、ふとお店のすぐ下を流れる沢に目をやったらなんか当然のような顔をして「いた」んです。車や人でそこそこ賑わう交流地点のすぐわきだったので、まさかそんな場所で出会えると思わず大変びっくりしたのを覚えています。透明な浅瀬をゆっくり進んでいたオオサンショウウオは、不思議な病気に冒され最後は亀になってしまった「蔵六」のように、ぼこぼこした肌にぶつぶつとした暗色の点がたくさんあって、見るからにぬっとりと湿った大きな体に、驚くほど小さな目をしたへんな生き物でした。沢は浅かったのでもっと近くで見てやろうと小石の並ぶ砂州に降り立った所、どういうわけかそれに勘付いたようでまるで魔法のようにいなくなってしまいました。近くで教官やクラスメイトも見ていたので自分一人がゆめ幻を見たというわけではありません。いまでも、あの大きな体で、水しぶきも上げずいったいどのようにして雲隠れしたのかはなぞのままです。

 そんなオオサンショウウオを見てもうひとつ記憶に残っているのはその「手」です。なんか、人間の子供みたいなちょっと不気味な手をしていました。

2011年にセントルイス動物園で産まれた、オザークヘルベンダーの幼生

 アメリカにいるオオサンショウウオの眷属といえばヘルベンダーですが、特にオザークヘルベンダーの間でこの手(四肢)に異常のある個体が近年次々と観察されていることは、あまり知られていません。2011年に世界で始めてオザークヘルベンダーの飼育下繁殖に成功したミズーリ州セントルイス動物園の職員によると、野生下で四肢の先を欠いて産まれてくるヘルベンダーの数が年々増えており、同州内において局所的に60%以上にこの奇形が観察された場所もあるとのこと。他の両生類と同じく、呼吸などの生命活動の多くを皮膚に依頼するサンショウウオの仲間は、水中にある病原菌や汚染物質なども簡単に体内に取り込んでしまうため、環境の変化にとても敏感です。職員は、ヘルベンダーの保護活動にあたって水系から化学物質を厳密に排除し、またツボカビなど有尾類に感染するポテンシャルのある菌が接近しないよう細心の工夫をしています。このビデオなどでおおまかな取り組みを見ることが出来ます。

 うちの州にも南の山の中の方へ行けばイースタンヘルベンダーが見られるけど非常に珍しいらしいので、そのうち出会えたらいいなーと期待しています。それまでは、国立水族館のニホンオオサンショウウオに「お前もずいぶん遠くまで来たな」と話しかけながら夢を膨らませておくことにします。

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