2014年4月10日木曜日

「家庭でできるカエル保護のてびき」


 家の裏庭で立派に生きてる両生類がいるとわかり「彼らが今後も元気で生きていけるよう、いい状態をキープせねば」と俄然やる気がわいてきています。我ながら単純ですが。

 ところが考えていくうち、庭や花壇や畑というのは特に春先にけっこういろんな化学物質まみれになる場所でもあると気が付きました。アメリカの一般家庭をみるとこの時期、薬をまいていわゆる「不快害虫」や雑草を一掃し、残したい植物はどんどん生育するよう肥料をまきますが、これらの多くに科学的に合成された成分が使われています。よく知られた事ですが、両生類は透過性の高い皮膚のお陰で体内にすぐ化学成分が浸透してしまうため、薬を使った庭の手入れはよく考えて行わないといけません。その点どちらかというと日本の家庭の方がエコロジカルな感じがしますね。か弱い草花などにも感情移入できる日本人は、野草が一生懸命花を咲かせ小さな蜂がせっせと働いているところへいきなりやって来て、全てに殺虫剤をぶち撒こうぜ!という思考にはなりにくいと思います。そして、植物と園芸が大好きだったうちの祖母が、毎日午前中は庭へ出て全ての手入れを人力でこまごまと行っていたのを思うと、忙しくて比較的大雑把なアメリカ人達が「芝生が青々と生えそろい雑草一本ない」ようなアメリカンとか、ブリティッシュ・スタイルの庭を目指すことはどこか無理があるように思います。

 そんな中近所のネイチャー・センターで「家庭でできるカエル保護の手引き」というしおりを見つけました(PDF版もあった)。見えないところで化学物質が使われやすい庭の手入れに際しての指南書のようです。カエルにフォーカスしていますがイモリにも共通するアドバイスだとおもったので、ほほうと感じたものを7つ抜粋してみます。

 ・庭から害虫や害獣をひきつけるようなものを取り去る。
 
 動物が食べられる実のなる植物や樹木はなるべく植えない。また使っていない植木鉢、刈ったあとの雑草や枝葉の山、道具類や木板などはいわゆる「害虫」の格好の住処になりますが、こういう物理的な隠れ家をどける事は、単純だが実は一番効果があるそうです(ご近所の造園専門家の方も言っていた)。特に雨水がたまるような場所があると一気に色々な生き物が立ち寄るようになってしまうので、ガーデニングのあとで空の容器や、水の入ったジョウロを置き忘れたりしないよう注意との事。これに付随して

 ・排水溝や雨どいの手入れを定期的に行う

 事も挙げられていました。

 ・地元産の樹木や花を積極的に植える

 もともとその地に育つ植物は気候風土にもマッチしているので、余分な殺虫剤や肥料を施さなくても、比較的元気に育つ事ができるんですね。たとえばバラは、異常に強くてうちの裏では雑草化し藪になっていますが、日本で育てるためには水をやりすぎないようにしたりとか、虫をとってやったりだとか、色々工夫がいります。普段見慣れた地元産の草木でも、よく見ると素晴らしいものが隠れていたりするし、植え方や剪定の仕方によって綺麗にみせることもできそうです。庭造りの腕が試されますね。また、

 ・(一年草の場合)毎年植える種類を変化させる
 
 ということも書かれていました。
 こうすることで、特定の植物に頼って生きている生き物が庭に居つくことを避けられる、と書かれていました。

 ・有機肥料を、正しい容量で使用する。施肥と共に水まきを行う。

 見落としがちだけど、こやしのやりすぎは非常によく見られる問題だとか。庭に過剰に施された肥料は雨水と共に下水へ行かず直接池や河川に入る場合があり、水の中の栄養素の割合を変えてしまうので避けるべきとのこと。また肥料は科学的に合成されたものは避け、有機のものを使うよう書かれていました。適切な量の肥料をまいたら同時に軽く水撒きもして成分を土壌にしっかりと吸収させ、流れ出す成分を最小限に抑える(上記の理由で、大雨の前日などは肥料をまくのには適さない)。

 ・ミニコンポストの設置。

 有機肥料を自家製でまかなうということですね。お店で売られている「有機」「オルガニック」商品が、実はさまざまな規格をクリアしているだけで本当にそうかどうか分からないというのは、日本もアメリカも同じです。コンポストというとこじゃれた風ですが、我ら生き物好きの観点からみれば家の一角にかわいいミミズ達を飼うということと、似たようなものです(→ミミズコンポストの作り方)。管理人のセカンドホームのひとつは西日本にありますが、シーボルトミミズという、大きくて七色に光る芸術的に美しいミミズがたまにいるんですよ。自然の濃い場所に出るので家庭で飼えるのかは分かりませんが、もしもあのシーボルトミミズが飼えてしかもゴミを減らしてくれるとしたら・・・・・・と、妄想タイムスタートしてしまう。プランター1個で始められるプランターコンポストというのも、ベランダさえあれば始められるので便利でしょう(→定年オヤジさんの生ゴミ堆肥化実験)。

 ・マルチをまく。

「マルチ」とは、あまり耳馴染みがないですが、小さく破砕した樹木チップ(またはそれに似せたゴム製パルプ)のことです。日本の農家さんが使っている「黒マルチ」というのは、厳密にはこのマルチの下に敷くガーデン・ファブリックの事です。

 このファブリックで雑草の生えそうな場所全体覆いプラスチックのくさびで留めて、その上に藁くずや、より鑑賞性の高いマルチを置くというのは、ここでは非常に一般的な除草メソッドです。ファブリックは水は通しますが、光は通さないのでその下から草は生えてこないんですね。管理人は、色んな野草が好き勝手に生えている状態も好きなのでちょっと寂しい気もしますが、科学薬品を一切使わずに済むので、しばらく何かを植える予定もないスペースがあるが雑草がぼうぼうで見苦しい、という状況であれば最適の方法だと思います。マルチには赤系、茶系、黒褐色系と大きくわけて3つくらいの色みがあり、そんなに手間をかけなくても一応きちんとして見えるので、アメリカ人が好むアイテムのひとつです。今後日本のホームセンターで売られるようになったりしないだろうか?あれば便利と思うのですが。


 こうして並べてみると一個一個の対策法はけっこう普通というか、あまりたいしたことじゃないように見えるかもしれない。しかしこれらを組み合わせて行うことで、庭に使われる化学物質の総量を減らし、それがだんだん小さな昆虫を呼び、結果的に土着の両生類が生きやすい場所ができてくるという事なのでしょう。野生のカエルやイモリはとても繊細です。こういう生き物は去年まで何もしなくてもウジャウジャわいていたからといって、来年もそうとは限らないもろさがありますね。自分がもしも、生き物好きを謳うならば、こういう弱い生物が少しでも生きていきやすい環境維持に努めることも、責任のひとつと考えます。