2014年4月9日水曜日

灰色の美しさ。

BION TERRALIUM CENTER 外観(ウクライナ)
この、かわいいピンク色をしたかの国では「極めて平均的」外観の建物の中身は
爬虫類のブリーディングと貿易を行うためのファシリティとして改造されている。

一般に灰色といえば「グレーゾーン」とかいって、甲乙つけがたく、善悪が不明瞭だったり、是とも否ともとられるようなものごとの中間部分を指すあいまいな響きのせいか、あまりいいイメージがないような気がします。ものごとは、白か、黒か、より明瞭にすることが好ましいという人の潜在意識みたいなものを感じますね。概念世界においても、「X をより明瞭なカタチにしたい」という理念をもって人は動いていかねば、世の全ては混沌に帰してしまうだろうから、一理あるかもしれません。でも、それでも時には灰色のままにしておくことがいい事もあるんだと、管理人は思っています。

 おととしの今頃、当時ヨーロッパに住んでいた管理人は、ひとりウクライナのホテルでのんびりと休日を過ごしていました。今は連日報道される物騒な国となってしまいましたが、その頃の首都キエフは平穏でした。そこは、スラブの歴史の薫り高く、少々モダンさもあり、かつ田舎っぽくユルい空気も漂っていて、近隣の主要都市に比べたら物価は安く、人は無愛想だが素朴で、女性達はきれいだし食べ物はうまいという休暇を過ごすのにはもってこいな場所だったのです。実際観光シーズンになれば西欧からも、反対のロシア側からもたくさんの人が訪れていました。

 この西欧と旧ソの物・人・文化・経済的合流地点であるという事は、この国を語る上で外せないポイントです。それは滞在中に寄った爬虫類の卸業をしている会社でも再確認しました。そこで所長自らにセンター内を案内していただき、爬虫類の仕事に関するいろいろな小話を聞き、一見地味なこのウクライナという場所には、国際的なビジネスをする上で大きなアドバンテージがあると気が付いたのです。政情的にいちおう安定していて(※当時)ヨーロッパ、ユーラシア、そしてアジアへとつながるパイプがあり、そのうえ物価の安い国というのは探すとなかなかありません。そういうウクライナの経済もようをほんのちょっとでも垣間見た者からすると、今、人々が集まって「EUに加盟しようぜ」「いやロシアと共に生きようぜ」とやりあっているのは非常に残念です。なぜならウクライナにとって、パートナーを絞り込もうとする事自体が国の競争力を削ぐことになるからです。この国の場合、白とも、黒ともいえないグレーの状態で、ナアナアナアとやっていくことが企業が仕事をしやすい環境をつくり、それが国の発展の鍵になる。経済がいちおう安定してるから、めぐりめぐって人々は爬虫類の事まで考える余裕がでてきたりして、爬虫類屋のようなスキマ産業も生まれてきます。まあ、これはどこでも一緒かも分かりませんが。

 今回のメモはなんだか小難しくなってしまって書いてる当人が読み返してもあまりおもしろくないんですが、爬虫類を語る上で、こういう世の中の動きもけっこう関係あると思います。たとえば、今日び日本のエキスポに、外人のブリーダーが積極的に訪れてくれるようになった発端は、もとを辿ればリーマン・ショックだし、不況後も多くのアメリカのブリーダー達が手堅くビジネス出来ているのは、先手を打ってヨーロッパやアジアのマーケットに参入する努力をしていたためでしょう。そして、変な言い方だけど、エコロジー思想や「爬虫類を飼う」という趣味が成熟してきているヨーロッパとくらべ、まだまだ過渡期でどんどん生体を「消費」するアジア、中でも特に日本と韓国、中国は、今のアメリカのブリーダー達からするとこれから開拓できる「最後の市場」と考えられています(特に韓国と、上海を抜かした中国本土のもつポテンシャルは注目を集めています)。まあ、そんなこんなで21世紀のアジアでもメジャーなトレンドメーカーは相変わらず欧米なんだな~とちょっとつまらない気もするけど、そういう現状があります。今日はとにかく、大勢力に囲まれたちっちゃい国にとって白だの、黒だの、右だの、左だのを決めつけようとするのはあまり意味ないんじゃね、といいたかったのです。われわれ日本人にとっても結構身につまされる問題だと思いませんか?