2014年12月3日水曜日

恋は浮力に乗せて


 ワニの交尾が水中で行われるというのは、本で読んだりして知識としてはあったけれど、今まで実際に自分の眼で見たことはなかったので、あまり実感としてどのようなものなのかはよく知らなかった。何の変哲もない今日と言う、寒くてどんより曇った典型的東海岸の水曜日はしかして「ワニの結婚」という、このぼんやりとしたコンセプトが急にはっきり現実性を帯びた日でもあった。動物園で朝、たまたまキューバワニ - Crocodylus rhombifer キューバン・クロコダイルの温室の前を通りかかると、オスのミゲルと、メスのローズが二匹揃ってぷかぷかしていたのだ。哺乳類特有の発想で「ワニでもじゃれて遊ぶことがあるんかな。」と通り過ぎようとし、「ンなわきゃない」と思い直して戻ってきて見たところ(厳密には、あるらしい。→2015年2月23日追記)、交尾中だった、というわけなのだ。ローズは終始何かが気に食わないらしく目を見開きキバをむいて、こんな動物にまたがろうと思えるのは同じワニのオスをおいて他にいないと思われた。キューバワニは小型だけれど非常に気性の荒いワニで、野生下では生息地の破壊と近縁種間での遺伝子汚染によって絶滅が懸念されているため、この二匹の残す子孫は、種の未来を担う大切な子供達ということになる。ミゲル君、お疲れ様。ローズさん、がんばって元気な卵を産めますように。