2012年2月7日火曜日

 千石正一先生が亡くなった事をニュースで知りました。近年はずっと体調がすぐれないと人づてに耳にすることが多かった先生ですが、ついに亡くなられたと知って、大変残念に思いました。爬虫類のことについて、学術的なバックグラウンドをもっていて、メディアや行政に対して発言力のある人というのは多くない中、氏はその貴重な人の中の一人だったと思います。小学校の頃は、爬虫類の研究者で見た目もいかにもあやしい・あきらかに普通の大人じゃないかんじの先生のいでたちをテレビで見てゲラゲラ笑ったり、分かりやすい解説に聞き入ったりしていたし、中高のころは雑誌「ハペトロジー」を読んだり、また時たま都内の専門店で目にする氏に対して親しみを覚えていました。

 そういえば自分がまだ中学生くらいだったあるとき、専門店で売られている真っ黒なクサガメを見入っていたら千石先生が話しかけてくれたことがあった。戸棚からさっと本を持ってきて目的のページをぱっぱと開いて、成熟したオスのクサガメの黒化について教えてくれたことを、今でもとても鮮明に覚えています。とにかく、そこらへんにいるなんだかよくわからぬような子供にも、爬虫類に興味があるとあらば熱心に教えてくれるような方だったと思う。そんな先生が時に「爬虫類なんか飼うな」と発言されていたことも、憶えておきたいことです。自分にとって爬虫類をただ飼って消費するだけでなくて、まめに今日はどうだった、フンはああだったとかのメモをとったり、何らかのフィードバックを残す習慣がついたのも先生をはじめとする人たちの影響だと思う。そうして考えると、単なるいち学者さんとしてどうのこうのという事ではなく、氏の日本のハーペトカルチャーに対する文化的な貢献度は無限大だったと思う。心よりご冥福をお祈りします。

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